環境問題が世界的に注目される中、多くの企業が環境に優しい取り組みをアピールする動きを見せています。

しかし、環境問題に向き合う姿勢が欠けているような場合も少なくありません。

このような現象を指して「グリーンウォッシュ」という言葉で表現されます。

この記事では、グリーンウォッシュとは何か、具体的な事例とともにその実態を探り、その見分け方や対策について詳しく解説します。

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グリーンウォッシュとは?

グリーンウォッシュとは、実際には環境に対する取り組みが不十分なのに、企業が環境に優しいかのように偽っている行為のことを指します。

この言葉は、「ごまかし」を意味する「whitewash」と「環境配慮」を意味する「green」を合わせた新語です。

最近、環境への意識が高まる中で、一部の企業がこのトレンドを利用して虚偽の宣伝を行うケースが見られます。

特に欧州では、グリーンウォッシュの疑いが持たれる企業は株価が急落したり、環境保護団体による訴訟を受けたりすることがあり、大きな問題となっています。

さらに、最近では「SDGsウォッシュ」という似た概念も登場しています。

これは、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った活動を行っているように見せかけるが、実際にはその活動が不十分であることを指します。

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グリーンウォッシュが疑われた企業の具体事例

グリーンウォッシュが疑われた企業の具体事例を3つ紹介します。

H&M

H&Mは2019年、「コンシャスコレクション」とのキャッチフレーズで、リサイクル素材を使用した商品を売り出しました。

しかし、リサイクル素材の使用量など十分な根拠が示されていないことから、ノルウェー消費者庁は「違法なマーケティングの疑いがある」と非難しました。

マクドナルド

マクドナルドは2018年、イギリス等の店舗でプラスチック製ストローの使用をやめ、「100%リサイクル可能」と謳った紙製ストローに切り替えました。

しかし実際には、ストローの強度を高めたために厚すぎてリサイクルできず、廃棄されていたとして大きな批判を受けました。

参考:マクドナルドの紙製ストローはリサイクルできず廃棄されていた

スターバックス

マクドナルド同様に、スターバックスもストローに関連した内容で、グリーンウオッシュの指摘を受けています。

ストローのいらない蓋の取り組みをリリースしましたが、従来の蓋とストローよりもプラスチックが使われていることが判明し、批判を受けました。

三井住友銀行

三井住友銀行は、パリ協定に関する政府方針に準じて脱炭素社会を実現すると表明しました。

しかし実際には、大規模石炭火力発電所への融資を継続しており、NGOからグリーンウォッシュだと指摘を受けました。

参考:SMBCの新石炭投融資方針は、新経営理念に矛盾 – 国際環境NGOグリーンピース

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グリーンウォッシュの見分け方

消費者として、グリーンウォッシュを見分ける8つのチェックポイントを紹介します。

①キャッチフレーズに注意
(例:エコ、環境にやさしい、エシカル)
②誇大主張に注意
(例:メイン事業ではなく、小さな環境活動を大々的に宣伝する)
③イメージ図に注意
(例:無関係な緑の画像を使う)
④根拠のない主張に注意
(例:外部からの根拠や評価を得られていない)
⑤独自の表現に注意
(例:独自で作成したエコラベル)
⑥専門用語での表現に注意
(例:専門家にしか分からない用語で解説)
⑦矛盾したグリーン商品に注意
(例:エコなタバコ)
⑧捏造や偽造に注意
(例:完全なでっち上げ)
 

グリーンウォッシュの七つの罪と対策

悪意はなくても、グリーンウォッシュになってしまうことも少なくありません。

カナダのグリーンマーケティング・エージェンシーのTerrachoice社が発表した、「グリーンウォッシングの七つの大罪」をついて紹介しまs。

自社の商品やサービスを環境にやさしいと謳うときには、以下の7つの罪に該当していないか注意し、客観的に見て正確な表現をしましょう。

1.隠れたトレードオフの罪
一部の属性のみ抽出し、その製品がグリーンであると主張すること。
2.証明しないことの罪
環境主張を実証できにくいこと。
3.あいまいさの罪
定義・意味の幅があり、消費者に誤解を与えかねない表現のこと。
4.偽りのラベル崇拝の罪
あたかも第三者認証があるように思わせる表現のこと。
5.的外れの罪
嘘を言ってはいないが、消費者に重要度が低い部分だけアピールすること。
6.「かろうじて良い」罪
商品カテゴリー内ではいいとされるが、誤解を招きかねない表現のこと。
7.嘘をつく罪
そもそも、“嘘”をつくこと。

グリーンウォッシュの影響

グリーンウォッシュと批判を受けると、どのような影響がでてしまうのでしょうか?

結果として、社会的活動を全く行っていない企業よりも企業の評価が下がってしまう可能性が高いです。

具体的には、不買運動や取引の打ち切りなどが起こります。

さらに、世界のESG投資の割合が35%を超えているため、株価の暴落も可能性としては考えられます。

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また、近年では、SDGsの取り組みや企業の社会貢献性を就活の軸に置く学生が増えており、採用への影響も避けられないでしょう。

社会的活動に取り組んでいたとしても、グリーンウォッシュを疑われては元も子もありません。


まとめ

近年では、環境問題は他人事ではなく、できるだけ環境に優しい行動をしようと考える人も増えてきました。

これを逆手に取って虚偽のアピールをすることは許されないことです。

私たち消費者も、企業の見せかけの活動に騙されず、「具体的に何をしているのか?」「それは本当に環境に良いことなのか?」をしっかりと考えるようにしたいですね。

当サイトでは、環境問題その他の社会課題をキャリアにしたい方のお手伝いをしています。

ご興味のある記事があれば、是非ご覧ください。

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