環境問題が世界的に注目される中、多くの企業が環境に優しい取り組みをアピールしています。

しかし、その実態が伴わないケースも少なくありません。このような現象を「グリーンウォッシュ」と呼びます。

この記事では、グリーンウォッシュとは何か、具体的な事例・6つの分類タイプ・七つの罪・EU規制の最新動向・見分け方・企業の回避策まで徹底解説します。

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グリーンウォッシュとは?

グリーンウォッシュとは、実際には環境に対する取り組みが不十分なのに、企業が環境に優しいかのように見せかける行為のことです。

この言葉は、「ごまかし」を意味する「whitewash(ホワイトウォッシュ)」と「環境配慮」を意味する「green(グリーン)」を合わせた造語です。

近年、環境への意識が高まる中で、一部の企業がこのトレンドを利用して根拠のない環境主張を行うケースが増えています。特に欧州では、グリーンウォッシュの疑いが持たれた企業の株価が急落したり、環境保護団体による訴訟を受けたりするケースが相次ぎ、国際的な問題となっています。

さらに近年では、「SDGsウォッシュ」という似た概念も登場しています。SDGsウォッシュとは、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを行っているように見せかけながら、実際にはその活動が不十分であることを指します。

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グリーンウォッシュが疑われた企業の具体事例

グリーンウォッシュが疑われた企業の具体事例を4つ紹介します。

  • H&M
  • マクドナルド
  • スターバックス
  • 三井住友銀行

H&M

H&Mは2019年、「コンシャスコレクション」とのキャッチフレーズで、リサイクル素材を使用した商品を販売しました。しかし、リサイクル素材の使用量など十分な根拠が示されていないことから、ノルウェー消費者庁は「違法なマーケティングの疑いがある」と非難しました。

マクドナルド

マクドナルドは2018年、イギリス等の店舗でプラスチック製ストローの使用をやめ、「100%リサイクル可能」と謳った紙製ストローに切り替えました。しかし実際には、ストローの強度を高めるために厚くなりすぎてリサイクルできず廃棄されていたとして、大きな批判を受けました。

参考:マクドナルドの紙製ストローはリサイクルできず廃棄されていた

スターバックス

スターバックスもストローに関連した取り組みでグリーンウォッシュの指摘を受けています。ストローが不要な新しい蓋を導入しましたが、従来の蓋とストローの組み合わせよりもプラスチックの使用量が増えることが判明し、批判を受けました。

三井住友銀行

三井住友銀行は、パリ協定に関する政府方針に準じて脱炭素社会を実現すると表明しました。しかし実際には大規模石炭火力発電所への融資を継続しており、NGOからグリーンウォッシュだと指摘を受けました。

参考:SMBCの新石炭投融資方針は、新経営理念に矛盾 – 国際環境NGOグリーンピース

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グリーンウォッシュの見分け方

消費者として、グリーンウォッシュを見分ける8つのチェックポイントを紹介します。

①キャッチフレーズに注意
(例:エコ、環境にやさしい、エシカル)

②誇大主張に注意
(例:メイン事業ではなく、小さな環境活動を大々的に宣伝する)

③イメージ図に注意
(例:無関係な緑の画像を使う)

④根拠のない主張に注意
(例:外部からの根拠や評価を得られていない)

⑤独自の表現に注意
(例:独自で作成したエコラベル)

⑥専門用語での表現に注意
(例:専門家にしか分からない用語で解説)

⑦矛盾したグリーン商品に注意
(例:エコなタバコ)

⑧捏造や偽造に注意
(例:完全なでっち上げ)

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グリーンウォッシュの6つの分類タイプ

グリーンウォッシュの6つの分類タイプとは、欧州委員会の調査をもとに整理された、企業が陥りやすいグリーンウォッシュのパターンのことです。後述する「七つの罪」と合わせて理解することで、自社の環境コミュニケーションを客観的に点検できるようになります。

1. グリーンクラウディング(Green Crowding)

業界団体や同業他社と「群れる」ことで、個社の環境責任を曖昧にする手法です。「業界全体で取り組んでいます」という表現の陰に個社の責任が埋没しているケースがあります。

2. グリーンライティング(Green Lighting)

環境面での優れた一側面だけにスポットライトを当て、全体的な環境負荷を隠す手法です。再生可能エネルギーへの小規模な投資を強調しながら、主要事業での大規模な排出を開示しないケースが代表例です。

3. グリーンシフティング(Green Shifting)

企業が負うべき環境責任を消費者や他者に転嫁する手法です。「消費者が選べばエコになる」という訴求で、製品自体の環境負荷から目をそらさせます。

4. グリーンラベリング(Green Labelling)

根拠の乏しいラベルや自社独自のエコ認証を用いて、あたかも外部認定を受けているかのように見せる手法です。国際的に認められた第三者認証(Bコープ認証など)との区別が重要です。

5. グリーンリンシング(Green Rinsing)

達成が困難な環境目標を掲げ、達成前に新しい目標に「すすぎ替える」手法です。カーボンニュートラル宣言を繰り返しながら具体的な進捗を示さない企業がこれに該当します。

6. グリーンハッシング(Green Hushing)

過度な批判を恐れ、環境への取り組みや目標をあえて公表しない手法です。情報開示そのものを避けることで透明性が欠如し、ESG投資の観点からも投資家の懸念を招きます。

グリーンウォッシュの七つの罪と対策

グリーンウォッシュの七つの罪とは、カナダのグリーンマーケティング・エージェンシーであるTerrachoice社が発表した、企業が陥りやすいグリーンウォッシュのパターンをまとめたものです。

悪意がなくても、以下の7つに該当してしまうことは少なくありません。自社の商品やサービスを環境に優しいと謳う際には、客観的に見て正確な表現かどうかを確認しましょう。

1. 隠れたトレードオフの罪
一部の属性のみを抽出し、その製品がグリーンであると主張すること。

2. 証明しないことの罪
環境主張を実証できる根拠を示さないこと。

3. あいまいさの罪
定義・意味の幅があり、消費者に誤解を与えかねない表現のこと。

4. 偽りのラベル崇拝の罪
あたかも第三者認証があるように思わせる表現のこと。

5. 的外れの罪
嘘を言ってはいないが、消費者にとって重要度が低い部分だけをアピールすること。

6. 「かろうじて良い」罪
商品カテゴリー内ではいいとされるが、全体として誤解を招きかねない表現のこと。

7. 嘘をつく罪
そもそも、事実と異なる主張をすること。


グリーンウォッシュをめぐる規制の最新動向(EU・日本)

グリーンウォッシュをめぐる規制の最新動向とは、企業の根拠なき環境主張に対して各国・地域が法的拘束力を持つルールを整備しつつある状況のことです。

グリーンウォッシュは企業イメージの失墜や不買運動・取引打ち切りを招くだけでなく、世界のESG投資の割合が35%を超える中で株価暴落のリスクも生じます。また、SDGsへの取り組みや社会貢献性を就職・転職の軸に置く求職者が増えており、採用面への影響も見逃せません。社会的活動に取り組んでいても、グリーンウォッシュを疑われては元も子もないのです。

EU「グリーンクレーム指令」(Green Claims Directive)

EUは2023年3月、「グリーンクレーム指令(Green Claims Directive)」の草案を公表しました。2026年頃の施行が見込まれており、主な義務内容は以下の通りです。

  • 「カーボンニュートラル」「エコ」など環境主張には科学的根拠の事前証明が必要
  • 主張内容は独立した第三者機関による認証が求められる
  • 違反企業には年間売上高の最大4%の制裁金が科される

EU域内でビジネスを展開する日本企業にとっても対岸の火事ではなく、サプライチェーン全体での情報開示体制の整備が急務となっています。

日本の規制動向

日本では、消費者庁が2022年に複数の事業者に対して景品表示法(優良誤認表示)に基づく措置命令を発出しました。根拠のない「環境にやさしい」「CO2削減」などの表現が問題視されたケースです。

また、金融庁もESG投信のグリーンウォッシュ規制を強化しており、投資信託のESG目標と運用実態の一致が厳しく求められるようになっています。SX(サステナビリティトランスフォーメーション)の観点からも、環境主張の正確性と透明性は経営上の必須要件になりつつあります。

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企業がグリーンウォッシュを回避するための4つの具体策

企業がグリーンウォッシュを回避するための具体策とは、意図せずグリーンウォッシュに陥ることを防ぎ、信頼性の高い環境コミュニケーションを実現するための実践的なアプローチのことです。

1. 第三者認証を取得する

ISO 14001(環境マネジメントシステム)・FSC認証・Bコープ認証など、国際的に認められた第三者認証を取得することで、環境主張の信頼性を客観的に担保できます。自社独自のエコラベルは根拠を問われやすいため、公的・国際的な認証の取得が有効です。

2. 具体的な数値と根拠を開示する

「環境にやさしい」という抽象的な主張ではなく、CO2削減量・再生可能エネルギー比率・リサイクル率などの具体的な数値データを根拠とともに示すことが重要です。データの測定方法・対象範囲・基準年も合わせて開示することで透明性が高まります。企業が正しく環境をPRする方法については、別記事でも詳しく解説しています。

3. 事業全体・サプライチェーン全体の環境戦略を構築する

一部の取り組みだけを強調するのではなく、事業全体・サプライチェーン全体を見渡した包括的な環境戦略を策定することが求められます。「グリーンライティング」や「グリーンクラウディング」を避けるためにも、部分最適ではなく全体最適の視点が不可欠です。

4. 情報開示とコミュニケーションの一貫性を保つ

環境目標・進捗・課題を定期的に開示し、社内外でのコミュニケーションに一貫性を持たせることが重要です。「グリーンハッシング」に陥らないよう、達成できていない目標についても正直に進捗を報告する姿勢が、長期的な信頼構築につながります。

環境・サステナビリティ領域でのキャリアに関心がある方は、以下の記事も参考にしてください。

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グリーンジョブとは?種類・年収・なり方を解説
サステナビリティコンサルタントとは?仕事内容・年収・なり方を解説


まとめ

近年では、環境問題は他人事ではなく、できるだけ環境に優しい行動をしようと考える人も増えてきました。

グリーンウォッシュは、この意識の高まりを逆手に取った虚偽のアピールであり、企業・消費者・社会の三者にとって有害な行為です。これを逆手に取って虚偽のアピールをすることは許されないことです。

私たち消費者も、企業の見せかけの活動に惑わされず、「具体的に何をしているのか?」「それは本当に環境に良いことなのか?」をしっかりと考えるようにしましょう。

当サイトでは、環境問題その他の社会課題をキャリアにしたい方のお手伝いをしています。ご興味のある記事があれば、ぜひご覧ください。

よくある質問

グリーンウォッシュとは何ですか?

グリーンウォッシュとは、実際には環境への取り組みが不十分であるにもかかわらず、企業が環境に優しいかのように見せかける行為のことです。「whitewash(ごまかし)」と「green(環境配慮)」を組み合わせた造語で、根拠のないエコ表示や誇張した環境主張が該当します。

特に欧州では法規制が強化されており、2026年頃にはEUの「グリーンクレーム指令」の施行が見込まれています。消費者・投資家・求職者の目が厳しくなる中、企業にとっては深刻なリスク要因となっています。

グリーンウォッシュの具体的な事例にはどのようなものがありますか?

代表的な事例として、H&M・マクドナルド・スターバックス・三井住友銀行が挙げられます。H&Mは根拠が不十分なリサイクル素材の主張でノルウェー消費者庁に指摘を受け、マクドナルドは「100%リサイクル可能」と謳いながら実際にはリサイクルできない紙製ストローを使用していました。

スターバックスはストロー不要の蓋が逆にプラスチック使用量を増やすと批判され、三井住友銀行は脱炭素を宣言しながら石炭火力への融資を継続していたとNGOから指摘されました。

グリーンウォッシュの見分け方を教えてください。

グリーンウォッシュを見分けるには8つのチェックポイントが有効です。

①「エコ」「環境にやさしい」などの抽象的なキャッチフレーズ、②メイン事業を隠した小さな活動の誇大宣伝、③無関係な緑の画像の使用、④外部根拠のない主張、⑤独自エコラベルの使用、⑥専門家にしか分からない用語の多用、⑦「エコなタバコ」のような矛盾した商品表示、⑧捏造・偽造の有無を確認しましょう。国際的な第三者認証の有無も重要な判断基準です。

企業がグリーンウォッシュを避けるためにできることは何ですか?

企業がグリーンウォッシュを回避するためには4つの具体策が有効です。①ISO 14001・Bコープ認証など第三者認証の取得、②CO2削減量・リサイクル率などの具体的な数値と根拠の開示、③事業全体・サプライチェーン全体を見渡した包括的な環境戦略の構築、④環境目標・進捗・課題の定期的な開示による情報発信の一貫性の維持、です。根拠のない抽象的な環境主張は景品表示法(優良誤認表示)の規制対象となる可能性があるため、正確な情報開示が不可欠です。

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