途上国だけでなく、実は日本にも存在する貧困。

今回は、「貧困女子」をテーマに日本の貧困に迫ります。

みなさんは、「貧困」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?

貧困には、二つの種類が存在します。それが、「絶対的貧困」と「相対的貧困」です。

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日本に存在する貧困

絶対的貧困とは、「食料や水、適切な衣類や住宅などの人間の生存に必要な基本的要素が欠如している状態」と定義されます。

逆に、相対的貧困とは、「その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。具体的には、世帯の所得が、その国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態」のことです。

多分、みなさんが「貧困」と聞いて思い描く大半は、絶対的貧困の状態だと思います。

その理由は、相対的貧困の多くが目には見えないことが多いことにあります。

少し古くなりますが、2018年現在、日本における相対的貧困率は15.4%となっています。
この値は、先進国の中でも上位です。

 

https://www.hinkonstat.net/%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81-%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%94%9F%E6%B4%BB%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E8%AA%BF%E6%9F%BB-%E3%82%92%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E7%9A%84%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%8E%87%E3%81%AE%E5%8B%95%E5%90%91%E5%88%86%E6%9E%90/

特に、子どもや女性の貧困が顕著に現れているとされています。

そんな現状の中、話題になっている「貧困女子」について詳しく書いていきます。

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貧困女子とは

現在、日本の20~64歳の一人暮らしの女性の3人に1人が*貧困状態とされています。

*貧困状態とは
厚生労働省の国民生活基礎調査(’10年)のデータを基に国民1人当たりの可処分所得を高い順に並べ、真ん中となる人の所得額(中央値)の半分に満たない人。可処分所得が125万円未満の人が貧困状態に当たり、20~64歳の単身女性の32%、実に3人に1人が相対的に貧困であることが明らかになったのです。

ここでいう貧困状態は、相対的貧困に当たります。

若い年代での貧困が最近では多く取り立たされています。

それを表す「プア充」という言葉が存在します。

「リア充」という言葉を聞いたことある方は多いのではないでしょうか。

リア充とは、一流企業に勤めていたり、友だちや恋人がいたりして、ネット上だけでなくリアル(現実)も充実している若者のことです。

一方、プア充は貧困ラインを大きく下回る年収100万~150万円の地方の若者たちのことです。

しかし、「彼らはプアではあるが“貧困”ではない」といいます。

なぜなら、彼らの日々の生活は充実しているからです。

乏しい収入を人的ネットワーク(社会資本)で補うのは、東南アジアなど貧しい国ではごく当たり前。彼らは、友達ネットワークを当てにする。

友だちを大切にしますが、金融資産や人的資本はほとんど持っていません。

そんな若者の貧困が顕在化している今「貧困女子」という言葉も良く聞くようになりました。

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なぜ「貧困女子」が生じるか

生活保護の現状

1つ目は、「生活保護を受給しにくいという現状」です。

このテーマに関しては、「生活保護 不正受給」で調べたことがある人もいると思います。

日本の生活保護制度は、収入額の他にも多くの要件を設け、違法な制度運用を含めて受給を著しく制限しています。

そのため、本当に生活保護が必要な世帯の大多数は受給できず、貧困状態のまま放置されている現状があります。

雇用の現状

2つ目は、「雇用形態」です。

令和2年現在、非正規雇用者は、男性が665万人、女性は1425万人。

正規雇用者は、男性は 2345 万人、女性は 1194 万人という現状があります。

女性の非正規雇用率は54%で、働く女性の2人に1人が正社員ではないという状態です。

女性においては、正規雇用より、非正規雇用のほうが多く、非正規雇用者は、男性よりも女性の方が多い傾向にあります。

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労働賃金の安さ

職業に関して、働く女性の人数や割合は、長期的には増加傾向にあります。

これは、「雇用が不安定である」ことに加え、「低賃金という劣悪な雇用形態で働く女性」が大半を占めており、これと密接に関連した、男性との間にある大きな賃金格差が存在しています。

平成30年時点で、男女別の年収について男性は337.6千円、女性は247.5千円と90.1千円の差が生まれています。


貧困女子のリアル

新型コロナウイルスの影響でさらに追い討ちをかけた貧困化。
今回は、特に貧困女子として注目されるようになった中年女性の貧困の例をいくつか取り上げます。

<事例1>

大手スポーツクラブのインストラクターをしていた30代女性は、以前まで月18万円ほど振り込まれていた給与が、昨年の3月では1.2万円になった。その頃、私生活の方では旦那と離婚をし一人暮らしを決意。その矢先でのこの事態。貯蓄もなく生活ができない状態に。
両親も離婚しており、家が遠くお金がない。食品関連で勤務している兄も借金まみれ。
離婚時の慰謝料請求をしなかったため、元夫に10万円を請求するそう。直近の出費はそれで乗り切る予定だ。その後は、生活保護受給を受けに行く予定。

<事例2>

手取りで、月20万円もらい家賃に6万円を支払っている20代の派遣社員の女性。
一見、生活は困窮していないようだが、、、
毎月5,6万円が借金の返済で消えているという。

最初に就職した会社をパワハラで退職した後に、できた借金だそうだ。
退職後、アルバイトで稼いだものの、時給は900円台。

最初は、10万円だった金額が130万円を超えるほどに。
そんな彼女は、タレントを夢見てレッスン代に月1万円を払っている。

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最後に

今回は、2つの事例を紹介したが貧困女子の事例は後を絶ちません。
現在、3分の1の女性が相対的貧困状態にあります。
普段生活している上では、見えない貧困が日本には多く存在します。

日本の相対的貧困の原因には社会の仕組みや、新型コロナウイルスなど様々な要因が考えられます。
今一度、これをきっかけに社会の仕組みや貧困女子について考えてはいかがでしょうか?


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