ワーキングプアは、今、日本の社会問題のひとつとなっています。ワーキングプアになると、生活水準が落ちて健康面やメンタルに支障が起きたり、子どもの教育や高齢者の介護など家族への影響も出てきます。

また、収入を上げるために働き過ぎて過労死になるケースもあり、生活保護に対する抵抗感等も低収入から脱却できない理由にもなっています。

本記事では、ワーキングプアについて年収や問題、ワーキングプアになる原因などを解説します。

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ワーキングプアとは

ワーキングプアとは、正社員などフルタイム勤務であっても収入が低く、生活保護の水準を満たさない貧困層を示します。

一般的に貧困は、失業している場合に陥る状態となりますが、ワーキングプアの特徴は、働いているのに貧しい状態になってしまうということです。

世の中の失業問題に加えて労働問題の1つとして社会に係わる課題となっています。

なお、ワーキングプアの年収については、明確な数値は定義されていませんが、厚生労働省では、年収192万円未満の者と位置付けています。

厚生労働省:非正規労働者データ資料(P41)


ワーキングプアの現状、年収はいくら?

ワーキングプアの現状については、日本の平均年収と比較しながら以下のデータを参考に確認していきましょう。

国税庁「令和2年分の民間給与実態統計調査」によりますと、以下の結果となっています。

・給与所得者数:5,245万人

・日本の平均年収:433万円

・給与所得者数:男性3,077万人/女性 2,168万人

・平均給与:男性 532万円/女性 293万円

・正規平均給与:496万円

・非正規平均給与:176万円

・年収100万円~ 200万円以下:723万人 13.8%

・年収100万以下:4,42万人 8.4%

国税庁「令和2年分の民間給与実態統計調査」

ワーキングプアの年収を200万円以下とした場合、給与所得者数:5,245 万人のうち、年収100万円超 200万円以下が7,23万人で13.8%。年収100万以下が442万人で8.4%となっています。


ワーキングプアが生まれる背景と原因

ワーキングプアは、もともとアメリカなど先進国から始まった社会問題です。

ワーキングプアの生まれる背景と原因については以下のポイントがあげられています。

バブル経済崩壊後の影響

バブル経済崩壊後の景気の低迷期に、企業は人材コスト削減のために正規雇用から非正規雇用に切り替えた経緯があります。

非正規雇用とはアルバイト・パートを示し、正規雇用とは異なりいつでも会社の都合で解雇できることがあげられます。

景気の低迷により人材雇用の管理がしやすくなることで、このような方法が取り入れられました。

高学歴の人を受け入れる会社が少ない

日本の企業では大学院卒の高学歴の人を受け入れる会社が少ない傾向があります。

そのため、修士号や博士号を取得していても、無職や非正規雇用になっている人が多くいるのが現状です。

高学歴であることでかえって就職先の選択が少なくなり、いわゆるワーキングプアの状態が生まれています。

ライフスタイルの変化

現代はライフスタイルが多様化してきているため、仕事を第一優先しない生き方を選ぶ人もいます。

低収入であっても好きなことをしながら自由に生きることを選んだ場合、必然とワーキングプア状態になる人もいます。

ワーキングプアは、自ら選んでいる人と、望まずになっている人がいるということです。


ワーキングプアに関連する国の取り組み

ワーキングプアに関する国の取り組みについて紹介します。

教育の無償化

ワーキングプアは、子育て環境の質を低下させる要因にもなっています。

国の取り組みとして教育の支援する内容を紹介します。

幼児教育・保育の無償化については、以下の内容となっています。

・幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する場合、3〜5歳児クラスが無料。0〜2歳児クラスは、住民税非課税世帯は無料。

・幼稚園の預かり保育を利用する場合、3〜5歳児クラスが最大月額1.13万円まで無償。

・認可外保育施設等を利用する場合、3〜5歳児クラスは月額3.7万円まで無償。0〜2歳児クラスは、住民税非課税世帯が対象で月額4.2万円まで無償。

・就学前の障害児の発達支援を利用する場合、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間は無償。

就労支援

ハローワークは、厚生労働省が所管する公的機関サービスです。

ハローワークは、働く意欲のある人に対して、相談窓口を設けて就活支援を行っています。

求職者と事業者双方への情報提供や、雇用保険手続きや助成金事務等、様々なサービスを無料で行っています。

また、再就職を目指す方に向けて、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講できるプランを提供しています。

厚生労働省:求職者支援制度のご案内

ワーキングプアを解消するためにできること

ワーキングプアを解消するためには、自ら積極的に転職したりスキルアップしたりすることが必要となります。

では、くわしく解説していきます。

転職をする

ワーキングプアから抜け出して収入アップするためには、現職の条件から転職することを検討しましょう。

ハローワークや転職エージェントのサポートを受けながら、ワーキングプアになっている状況を見直して新しい環境へとステップアップしていきましょう。

スキルアップをする

ワーキングプア状態になっている理由には、スキル不足で正規雇用になれなかったり希望の業務に就くことができなかったりしているケースもあります。

その場合、まずは需要のある分野のスキルを磨いて、仕事への柔軟性を高めましょう。

もし現職を維持しながら収入を増やしたい場合は、可能であれば副業を始めるのも良いでしょう。Web系の在宅ワークなどは、パソコンスキルがあれば対応できる仕事もあります。

節約をして固定費を抑える

なるべく節約の習慣を身に付けると良いでしょう。

収入を上げるための転職活動やスキルアップ等と並行して、固定費を抑えることも心がけましょう。


まとめ

自由な働き方を求める人以外で、ワーキングプア状態となっている人は、なぜこの状況になってしまっているのかを客観的に見直して、スキルアップや新しい転職先を検討することをおすすめします。

また、行政の支援サービスを利用したり相談窓口を使って、ワーキングプアを解消できるようにしていくと良いでしょう。

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