マレーシアで起業、失敗。そして就職。
ーーー様々な活動をする中で、ボーダレス・ジャパンに就職した理由は何ですか?
マレーシアの無国籍問題を解決する最短距離だと考えたためです。
ボーダレス・ジャパンは、社会問題を解決するための”ソーシャルビジネス”しかやらない会社です。
「マレーシアの無国籍問題解決をどうすれば解決できるか」だけを突き詰めて考えられる環境であることが最終的にボーダレス・ジャパンという選択肢を選んだ理由です。
―――ご自身で起業することは考えられましたか?
実は、ボーダレス・ジャパンに入社する前、小さな餅屋をマレーシアで開いていました。
ビジネスを成功させることに加えて社会問題を解決するということは決して簡単なことではないんですね。
私自身、この餅屋を通してソーシャルビジネス立ち上げの難しさを身に染みて感じて、まずはボーダレス・ジャパンで修行を積もうと考えるに至りました。
ーーーボーダレス・ジャパンではどのようなことを身につけたのですか?
一言で言うと、「問題を”本質的”に捉え、解決策を出す力」です。
ボーダレス・ジャパンに入社して初めの3ヶ月間は、ボーダレス・ジャパングループの一社であり、地球温暖化を再生可能エネルギーの普及を通して解決する、「ハチドリ電力」でボーダレス・ジャパン代表の田口と働いていました。
「問題ではなく”本質的な原因”に対してアイデアを出しなさい」「概念ではなく、実態を伴った”景色”で考えなさい」と教えを耳にタコができるぐらい叩き込まれました。
間違いなく、この考え方がいまも日々事業を進める中で生きています。
―――マレーシアの無国籍問題においては、どのように解決策を見つけていったのでしょうか?
「誰の問題を解決するか」「どのような社会を目指すのか」については当然ながら、自分自身で決めました。
一方で、「何が問題か(何に対して本人が痛みを感じているか)」「何が原因でその問題が起きているか」については、問題の当事者に何度も話を聞いたり、ボーダレス・ジャパンの仲間の意見を聞きながら解釈をしました。
本質的な原因が決まりさえすれば、解決策は自ずと定まってきます。
マレーシアの無国籍問題の場合、対象者は「フィリピンに帰国し国籍を得たいがマレーシアに留まらざるを得ない無国籍の親とその子ども」です。
「学校や病院にいくことができず、不法就労をしながら警察に捕まることを恐れながら生活をする以外に選択肢がない」問題が「家族が安心して生活できる収入を得られる仕事がフィリピンにない」という本質的な原因によって生まれています。
なので、解決策は「フィリピンにて雇用創出+帰国・国籍取得支援」となりました。
ーーーアノテーション事業を軸に起業をすると決意が固めた背景を詳しくお聞かせください。
解決策が定まればあとは、その解決策を実現するビジネスモデルを考えてゆきます。
アイデアを出す上で、以下の三つの点を”制約条件”として考えました。
①特別なスキルがなくても始められる仕事(無国籍者は十分な教育を受けられていないため)
②遠隔でできる仕事(フィリピンの中でも故郷はそれぞれ違うため)
③525世帯を雇用するだけの市場規模がある
この軸を持ってとにかく周囲の人からアイデアをもらいました。
少しでも良さそうなアイデアがあれば、本当に需要があるのかを色んな人にインタビューをしながら検証しました。
いくつかのアイデアを検証する中で、最終的に辿り着いたのが、アノテーションだったのです。
描いている将来
ーーー今後のキャリアプランがあれば教えてください。
まずは1,000名の無国籍だった子どもが、母国で新しい生活をスタートできる状態を2026年までにつくりたいと思っています。
その後、マレーシア-フィリピン間で起きている無国籍問題を完全に解決したいです。
また、その先の将来では、東南アジア地域で社会問題を継続的に解決していくためにボーダレスASEANを創り、
年間100個のソーシャルビジネスが立ち上がる仕組みを作りたいと考えています。
ーーー最後に、社会貢献を軸に就活をする学生へ応援メッセージをお願いします。
社会問題に関わりたいと考えている皆さんは、大袈裟な話ではなく”社会の宝”だと思っています。
就活は自分と自分の人生に向き合い、どのように社会と関わっていくかを考える、とてもとても大切な時間です。
“今からきっかり365日後”に死ぬと思った時に、本当にその選択をするのか。何度も何度も自分の心に問いかけてみてください。
他者との比較や他者からの見られ方は脇に置いて、とにかく自分に問いかけてください。
自分の心に正直であること。そうすれば自分と他者をしあわせにでき、理想の社会に向かうことができるはずです。
社会に偏在する、様々な格差を根本から解決することが目標。
自分に何ができるのか、どう行動を起こすべきか、模索中。
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。