このタイトルを目にしてコラムをポチったということは、何かしらの関心分野があり、社会貢献に取り組まれているのだと思います。

そんなあなたと考えたい「自分が社会を見る視野」について書きました。

そもそも「社会」ってなんだ?

自分で書いておきながら、「社会ってなんだ?」なんて、ものすごく漠然とした問いですよね。

僕も「これだ!」という説明は出来ないので、辞書を引いてます。

1.人間の共同生活の総称。また、広く、人間の集団としての営みや組織的な営みをいう。「社会に奉仕する」「社会参加」「社会生活」「国際社会」「縦社会」
2.人々が生活している、現実の世の中。世間。「社会に重きをなす」「社会に適応する」「社会に出る」
3.ある共通項によってくくられ、他から区別される人々の集まり。また、仲間意識をもって、みずからを他と区別する人々の集まり。「学者の社会」「海外の日本人社会」「上流社会」
4.共同で生活する同種の動物の集まりを1.になぞらえていう語。「ライオンの社会」
5.「社会科」の略。
『デジタル大辞泉』より引用

キーワードは共同体などの「自分たちは一緒だ!」という認識です。

世界/日本全体を考えることもあれば、住んでいる地域や所属する学校・会社・団体などが当てはまることもあります。

つまり、”社会”の具体的なイメージは時と場合で異なるのです。

この点を踏まえると、「社会課題解決」や「社会貢献」も“自分がどこまでを社会と認識するか”によって、視野や考える範囲が変わるのではないかと感じました。

抽象的な話ばかりなので、イメージしやすく例え話で考えてみましょう。

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子ども食堂は食品ロス問題を解決しているのか

とある子ども食堂は、近くのスーパーマーケットから廃棄される食品をもらって運営しています。

・食事を満足に食べられない子どもたちに無償で食事を提供する
・孤独な子ども/家庭と地域とのつながりが生まれる


本来廃棄されるはずの食品を有効活用していることから、子どもの貧困だけでなく、食品ロス/フードロス問題への解決にも貢献していると言われるようになりました。

スーパーも「子ども食堂支援で地域に貢献している」と発信し、以前より多くの食品を受け取るようになりました。

子ども食堂のスタッフの方々も「スーパーからの食品が増えたことで、もっと多くの子どもたちに届けられるようになった!」と喜びました。

果たして、これは社会にとって良い循環なのでしょうか。

子どもの貧困への対策』『地域コミュニティの活性化』という視点ではプラスに働いていますが、『食品ロス問題』の視点では、本質的な解決からは遠ざかっているように思います。

食品ロス(廃棄ロス)は「農家など→メーカー→卸売(問屋)→小売→消費者」のサプライチェーンにおける余分な在庫や不必要な切り捨てが大元の原因となっています。

余った食品の行先は、①廃棄(焼却)②リサイクル③フードシェアリングとして再分配のいずれかとなり、①になるものを②や③に回して食品ロスを減らす動きが高まっています。子ども食堂やフードバンクの場合は③のケースです。

上記の具体例では、スーパーが「品切れさせないことを優先し、余った分は子ども食堂に配ればいいや」という動きになったことで、子ども食堂に渡る食品が増えた可能性があります。

ある小売部門(スーパーなど)から発生する余剰が増えることは、子ども食堂などに渡ったとしても、食品ロス問題を解決していると言えるのでしょうか?

食品ロス削減という視点では、このケースは水が出る蛇口(課題の上流)を閉めずに、あふれた水(課題の下流)をすくっている状況なのです。

子ども食堂の運営・地域活性・食品ロス削減それぞれの観点で望ましい形は、一つのスーパーから多くの食品を受け取ろうとするよりも、提携する飲食店や小売店を増やしたり、農家で捨てられている規格外野菜を受け取るなど、チャネルを増やしていくことだと思います。

その他に極端な例だと、国立自然公園を切り崩して太陽光パネルを設置したことで、事業者の方が逮捕されたこともあります。

再生可能エネルギーの観点ではプラスだとしても、明らかな自然破壊です。

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『社会課題解決』が本当に”社会”にプラスかは、あなた次第

あなたが環境分野や食品ロス問題に関心がある場合、子ども食堂に対してマイナスなイメージを持ったかもしれません。

しかし、子どもの貧困対策として活動されている現場の方々からすれば、「知ったこっちゃない」話だと思います。

このケースでは食品ロス問題への影響に視点を当てましたが、多くの子ども食堂は、食品ロス削減を主目的に運営されているわけではないからです。

そのため、各々が個別最適で考えると「子ども食堂と食品ロス削減は矛盾する」という構造になりかねません。ソーシャルセクターに携わる人々の間ですら対立する恐れがあるのです。

ここで”社会”の定義に立ち戻りましょう。

ポイントは「自分がどこまでを社会と認識するか」です。

あなたが自分の関心分野とそのステークホルダーだけを”社会”と見る場合、そのテーマに対する課題と解決策を考えることに専念するのが良いと思います。

ただ、あなたが周辺に関わる人々や地域、社会問題も視野に入れているなら、あなたや組織の活動が社会に与えるインパクトを”社会”全体で考えることも大切です。

社会問題は人々の活動や経済の流れが絡み合って生まれます。

だからこそ、あなたの活動が自分の認識する”社会”に対して、どんなインパクトを生むのかという観点が大事ではないでしょうか。

ただ、視野を広げすぎると思考の迷路になって、行動できなくなるので注意が必要です。

もちろん、自分が注力する部分を定めて、その”社会”に絞って活動するも、広く”社会”をとらえてSDGsのパートナーシップのように考えるのもあなたの自由です。

あなたの『社会課題解決』が世の中にとってプラスなのか・ソーシャルグッドなのかは、その”社会”、つまりあなたの価値観によって変わります。

おわりに

以上を踏まえて、3つ質問します。

あなたの考える”社会”は、どこまでの範囲を視野として見ていますか?
その範囲の中で、あなた何に視点を当てていますか?
視点以外の視野の部分も考えて社会課題解決に取り組んでいますか?

拙文でしたが、最後まで読んでいただき、考えていただきありがとうございました。

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ライタープロフィール
よこぴー@ソーシャルキャリアをよこよこ

ソーシャルグッドについて考えていたらこのコラム書いてました。
関心分野は“社会貢献×投資”
Twitter:よこぴー@ソーシャルキャリアをよこよこ