2025年度、おためし地域おこし協力隊には1,450人、地域おこし協力隊インターンには1,414人が参加しました(参考:総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」)。
インターンの参加者は、2021年度の106人から10倍以上に増えています。
「地域で働いてみたい。でも、いきなり移住して3年間の任期を引き受けるのは不安」。
そう感じて、一歩を踏み出せずにいる人もいるはずです。
おためし地域おこし協力隊と協力隊インターンは、着任する前に、その地域の暮らしと仕事を短期間で体験できる仕組みです。
ここでは、2つの制度の違い、報酬や交通費の扱い、参加の流れ、自治体の実施例を紹介します。
参加したあとに選べるキャリアの道も、COCOCOLOR EARTHのインタビューをもとにまとめました。
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おためし地域おこし協力隊とは
おためし地域おこし協力隊とは、協力隊に応募する前の「下見」にあたる、短期の体験プログラムです。
協力隊に関心のある人が主に2泊3日で受け入れ地域を訪れ、地域の人と交流しながら、協力隊の仕事や暮らしを体験します(参考:総務省 地域おこし協力隊ナビ)。
もとになる地域おこし協力隊は、都市部から過疎地域などに住民票を移し、地域の仕事に取り組みながら定住を目指す総務省の制度です。
任期はおおむね1年以上3年以下で、着任すれば生活の拠点ごと地域に移ります。
おためしは、その前に「この地域でやっていけそうか」を自分の目で確かめる場です。
プログラムの例は、自治体の職員や受け入れ先の人たちとの顔合わせ、地域の案内、交流会などです。
移住は参加の条件になっていません。
自治体によっては、おためしの期間中に面接などの選考を行ったり、おためしを選考の過程に組み込んだりしています。
総務省の資料によると、おためし地域おこし協力隊は2019年度に始まりました(参考:総務省「地域おこし協力隊について」(2021年9月))。
地域おこし協力隊インターンとは
地域おこし協力隊インターンは、おためしよりも長い期間、隊員と同じような活動に実際に取り組むプログラムです。
期間は2週間から3か月で、地域の人と交流しながら、協力隊と同様の地域協力活動に携わります。
おためしと同じく、移住は条件になっていません。
総務省は、着任後の働き方を具体的にイメージしてもらうことを目的に、この制度を設けています(参考:総務省 地域おこし協力隊ナビ)。
インターンは、おためしと協力隊本体の間をつなぐ新たな仕組みとして、2021年度に始まりました(参考:総務省「地域おこし協力隊について」(2021年9月))。
参加者は自治体から委嘱を受けて活動し、都市部などから過疎地域や山村、離島などに滞在する人が対象です。
そのため、すでにその市町村に住民票を移して暮らしている人は、原則として対象に含まれません(参考:総務省「地域おこし協力隊推進要綱」)。
自治体は、必要に応じて書類審査や面接を設けます。
期間や活動内容は参加者に合わせて柔軟に調整でき、終わったあとの関わり方を一緒に考える自治体もあります。
総務省は、募集の周知にあたって大学との連携も有効だとしています。
インターンの経験は、就職活動で話せる材料にもなります。
経験を言葉にするコツは、社会課題解決キャリアに活かせる経験の作り方と伝え方の記事で紹介しています。
おためしとインターンの違い
2つの制度のいちばん大きな違いは、期間の長さと、参加者がどこまで実際の活動を担うかです。
総務省の地域おこし協力隊ナビとFAQをもとに、違いを表にまとめました。
| 項目 | おためし地域おこし協力隊 | 地域おこし協力隊インターン |
|---|---|---|
| 期間 | 主に2泊3日 | 2週間〜3か月 |
| 内容 | 関係者との顔合わせ、地域の案内、交流会、活動の体験 | 協力隊と同様の地域協力活動に従事 |
| 移住条件 | なし | なし |
| 費用の扱い | 国の財政措置は募集・PR費や体験プログラムの経費など。参加者の往復旅費は対象外 | 国の財政措置はプログラム作成の経費に加え、参加者の報償費、住居の借上費、活動旅費なども対象。プログラム作成の経費からは参加者の往復旅費を除く |
| 向いている人 | 応募先の雰囲気や生活環境を確かめたい人 | 仕事の中身まで体験してから判断したい人 |
おためしは「この地域に住めそうか」、インターンは「この仕事を続けられそうか」を確かめる場と考えると、選びやすくなります。
ただし、実際の期間や内容、費用の扱いは自治体ごとに異なります。
参加者は年々増えている
おためしとインターンの参加者は、どちらも増え続けています。
総務省が2026年4月24日に公表した資料をもとに、参加者数の推移をまとめました(参考:総務省)。
| 年度 | おためし | インターン |
|---|---|---|
| 2021年度 | ― | 106人 |
| 2022年度 | ― | 315人 |
| 2023年度 | ― | 393人 |
| 2024年度 | 1,149人 | 1,047人 |
| 2025年度 | 1,450人 | 1,414人 |
おためしの参加者数は、2024年度から集計が始まりました。
2025年度は、2つを合わせて2,864人が参加したことになります。
同じ年度の地域おこし協力隊の隊員数は8,196人で、前年度から286人増えました。
隊員の増加と並んで、着任する前に地域を体験してから決める人も増えています。
報酬・交通費・住まい
参加するうえで多くの人が気になるのが、お金と住まいのことです。
報酬や交通費が出るかどうかは、受け入れる自治体によって決まります。
国が支援するのは自治体の経費
総務省は、自治体がおためしやインターンにかけた経費の一部を、特別交付税という形で支援しています(参考:総務省 地域おこし協力隊ナビ)。
これは国から自治体へのお金の流れで、参加者に直接支払われるものではありません。
おためしの場合
おためしの場合、支援の対象は、都市部での募集・PR費、体験プログラムの経費、職員の旅費、コーディネートを担うNPO法人などへの委託費などです。
参加者が現地まで往復する旅費は、対象から外れています。
インターンの場合
インターンの場合、プログラムを作る経費に加えて、参加者の活動に必要な経費も対象になります。
具体的には、報償費、住居や活動用車両の借上費、活動中の移動の経費、作業道具や消耗品の費用です。
一方で、プログラム作成の経費からは、参加者が現地まで往復する旅費が除かれています。
国の支援の上限
国の支援の上限は、おためしとインターンのプログラム経費がそれぞれ1自治体あたり100万円です。
インターン参加者の活動経費は、1人1日あたり1.2万円が上限です(参考:総務省「地域おこし協力隊推進要綱」)。
1.2万円は報償費や住居費、移動費などをまとめた国の算定の上限で、参加者が受け取る日当の額ではありません。
実際の条件は募集要項で確かめる
国の支援の対象になっていても、自治体が参加者に報酬を払うか、住まいを用意するかは、それぞれの判断です。
そのため、報酬や住まいの有無、交通費の補助は募集によって異なります。
条件は、応募する前に最新の募集要項で確かめましょう。
参加の流れと探し方
おためしもインターンも、自治体が出す募集に申し込むところから始まります。
一般的な流れと、選考に組み込まれている例を紹介します。
募集の探し方
募集は、ふるさと回帰・移住交流推進機構が運営するニッポン移住・交流ナビJOINの地域おこし協力隊ページや、各自治体のホームページで探せます。
気になる地域がある場合は、自治体の移住担当や地域振興担当の窓口に直接問い合わせる方法もあります。
応募の条件も自治体ごとに決められているので、年齢や参加できる時期をあわせて確認しましょう。
参加までの流れ
総務省が示す実施のイメージは、「事前準備」「周知・募集」「実施」「フォローアップ」の4段階です。
参加する側から見ると、募集を見つけて申し込み、必要に応じて書類審査や面接を受け、日程を調整して現地に向かいます。
終わったあとは、自治体と振り返りをしたり、その後の関わり方を相談したりします。
採用試験の中の「1.5次試験」
山形県鶴岡市や岡山県笠岡市などは、おためし地域おこし協力隊を採用の過程に組み込んでいます(参考:総務省「地域おこし協力隊取組ハンドブック」)。
笠岡市などの例では、採用は「1次試験」「1.5次試験」「2次試験」の3段階で、1次試験は書類審査などです。
1.5次試験では、応募者が受け入れ地域に2泊3日滞在し、協力隊の会議や地域協力活動に一緒に参加します。
そのうえで、2次試験の面接に進むかどうかを応募者自身が決めます。
地域が応募者を選ぶだけでなく、応募者も地域を選べるようにして、着任後のずれを減らす工夫です。
地域おこし協力隊への応募を考えているなら、選考の中にこうした体験の機会があるかどうかも確かめておくと安心です。
自治体の実施例
総務省の地域おこし協力隊ナビでは、インターンを活用した自治体の例として、北海道森町と岡山県高梁市が紹介されています。
どちらも、インターンが終わったあとの地域とのつながりまで見すえたプログラムです。
北海道森町
北海道森町は、都市圏などほかの地域の学生を呼び込むため、大学と連携したインターンを行っています。
2024年度には5人の大学生が参加し、林業や木材産業に関わる活動を中心に、町内の事業者と連携した木育イベントや町のイベントに参加しました。
プログラムは約90日間で、自分の卒業研究のテーマに沿った住民への聞き取りから始まります。
その後は町内のイベントに出店して実践を重ね、終盤には、地域の木材を生かして住民や観光客と対話する場を卒業研究としてつくる流れです。
参加した5人のうち1人は、大学を卒業したあと、町の地域おこし協力隊員として活動する予定とされています。
岡山県高梁市
岡山県高梁市は、移住を考える若者などに地域の当事者になる機会をつくるため、「高梁大人の里山留学」を行っています。
期間は1〜3か月で、地域の人とのコミュニケーションを大切にしながら、暮らしや仕事を体験し、地域のニーズに沿ったプロジェクトに取り組みます。
プロジェクトの例は、地域のSNS運用のサポート、食育イベントの開催、貸店舗でのカフェ営業などです。
最後の1か月は、コーディネーターが残りの滞在をその後の仕事や進路につなげられるよう伴走します。
2024年度は6人が参加し、協力隊の内定者も含め、全員がインターン後も地域とのつながりを持ち続けています。
移住しなくても地域に関わり続ける人は「関係人口」と呼ばれ、インターンはその入り口にもなっています。
参加したあとの道
おためしやインターンに参加したあとの進み方は、1つではありません。
ここでは、主な3つの道と、COCOCOLOR EARTHがインタビューした2人の歩みを紹介します。
協力隊に着任する
協力隊に着任するのは、体験した地域や仕事に手応えを感じた人が選ぶ、いちばん直接的な道です。
森町の大学生のように、学生のうちにインターンを経験し、卒業後に着任する人もいます。
地域で何をしたいのかを体験の中で確かめておけるので、着任後のずれを小さくしやすくなります。
制度の仕組みや任期後の進路は、地域おこし協力隊の記事で詳しく紹介しています。
関係人口として関わり続ける
関係人口として関わり続けるのは、住む場所は変えずに、副業や定期的な訪問などで地域とつながる関わり方です。
高梁市の里山留学のように、参加者がインターン後も地域とのつながりを保っている例があります。
いまの仕事や学業を続けながら地域の力になりたい人に向いています。
地域の企業に就職する
地域の企業に就職するのは、自治体の制度ではなく、民間の仕事として地域の課題に取り組む道です。
体験の中で出会った観光、農林業、ものづくりなどの分野に、地元の企業の一員として関わることもできます。
どんな業界や職種があるかは地方創生・まちづくりに携わる仕事の記事で、具体的な会社は地方創生に取り組む企業10選で紹介しています。
藤江開生さん:インターンで確信を持って新卒で協力隊へ
藤江開生さんは、立教大学を卒業後、新卒で宮崎県椎葉村の地域おこし協力隊になり、図書館司書として働きました。
大学3年生の冬にキャリア相談で協力隊という選択肢を知り、大学で取った司書の資格を生かせる募集を探して椎葉村にたどり着きました。
周囲からは「新卒で行って大丈夫か」と心配されたそうです。
それでも、4年生の9月に2週間のインターンに参加して村の空気や職場の人間関係を確かめ、「ここならやっていける」と決めることができたといいます。
取材当時の2026年3月には、村の資料のアーカイブや住民のライフヒストリーの記録に取り組む「時おこす司書」として、3年の任期を終えようとしていました。
新卒で地域に飛び込むまでの経緯は、藤江開生さんのインタビューで読めます。
篠原智昭さん:社会人経験を生かして小豆島の協力隊に
篠原智昭さんは、社会人としての経験を積んでから協力隊になった1人です。
神奈川県の教育行政職員としてキャリアを始め、娘さんの難病をきっかけに難病支援の道に進みました。
その後、バイオベンチャーの立ち上げやコーチングの仕事を経て、香川県の小豆島に移住しています。
取材当時は、地域おこし協力隊として小豆島観光協会に所属し、フルタイムで働いていました。
並行して、旅行会社のセブンシーズトラベラーズ株式会社で、車いすでも旅行できる環境づくりに取り組んでいました。
移住を決めるまでの歩みは、篠原智昭さんのインタビューで紹介しています。
応募前に確かめておきたいこと
おためしやインターンを有意義な時間にするために、応募の前に確かめておきたいことを4つ挙げます。
期間と時期
期間と時期は、学業や仕事と両立できるかを左右します。
インターンは2週間から3か月と幅があるので、授業や仕事の休みと重なる時期の募集を探しましょう。
費用の負担
費用の負担は、募集ごとに大きく変わります。
交通費、宿泊費、食費のどこまでが自己負担なのか、報酬が出る場合はどんな形で受け取るのかを、募集要項で確かめておきましょう。
活動内容と自分の目的
活動内容と自分の目的が合っているかも大切です。
協力隊への着任を考えているのか、地域の仕事を体験してみたいのかによって、選ぶべき地域とプログラムは変わります。
人や地域と直接向き合う働き方が自分に合うかは、現場職のキャリアの記事も参考になります。
終わったあとのつながり
終わったあとのつながりも、事前に聞いておくと安心です。
選考と結びついているのか、参加後も地域と関われる機会があるのかは、自治体によって異なります。
体験で得たことは、社会課題解決キャリアに活かせる経験の作り方と伝え方の記事を参考に、言葉にしておきましょう。
よくある質問
おためし地域おこし協力隊と協力隊インターンについて、よくある質問にお答えします。
Q. 大学生でも参加できますか?
A. 参加できる募集があります。総務省が紹介している北海道森町では、2024年度に5人の大学生がインターンに参加し、そのうち1人は卒業後に町の協力隊員として活動する予定とされています。総務省は、インターンの募集にあたって大学との連携も有効だとしています。ただし、年齢や参加できる時期などの応募条件は自治体ごとに決められています。気になる募集を見つけたら、学生が対象に含まれているか、授業や長期休みと日程が合うかを募集要項で確かめましょう。
Q. 報酬や交通費は出ますか?
A. 自治体によって異なります。国は、自治体がおためしやインターンにかけた経費の一部を特別交付税で支援しています。インターンでは参加者の報償費や住居の借上費も対象ですが、どちらもプログラムの経費からは、参加者が現地まで往復する旅費が除かれています。ただ、これは自治体への支援で、参加者に報酬を払うか、交通費を補助するかは各自治体が決めます。金額や支払い方は、応募する前に最新の募集要項で確認しておきましょう。インターンの場合は、住まいが用意されるかどうかもあわせて確かめておくと安心です。
Q. 参加したら協力隊にならないといけませんか?
A. おためしもインターンも、移住は参加の条件になっていません。岡山県笠岡市のように、おためしを採用の過程に組み込み、体験のあとで次の面接に進むかを応募者自身が決める仕組みもあります。参加の目的が選考の一部なのか、地域を知るための体験なのかは募集によって違うため、申し込む前に確かめておくと安心です。参加後は着任を目指す人のほか、関係人口として地域と関わり続ける人もいます。岡山県高梁市では、2024年度のインターン参加者6人全員が、終了後も地域とのつながりを持ち続けています。
Q. おためしとインターンはどちらを選べばいいですか?
A. 目的によって選びましょう。おためしは主に2泊3日で、地域の人との顔合わせや交流会を通じて、その地域で暮らせそうかを確かめるのに向いています。インターンは2週間から3か月で、協力隊と同じような活動を実際に担うので、仕事の中身まで体験してから判断したい人に合っています。どちらも移住は条件になっていません。応募したい募集がすでに決まっているならおためし、地域や分野を探している段階ならインターンから始める方法もあります。
まとめ
おためし地域おこし協力隊は主に2泊3日、協力隊インターンは2週間から3か月で、どちらも移住を条件にせず地域の暮らしと仕事を体験できる仕組みです。
2025年度は合わせて2,864人が参加し、着任の前に地域を知る流れが広がっています。
報酬や交通費の扱いは自治体ごとに違うため、気になる募集を見つけたら、まず募集要項を読んでみてください。
体験のあとは、協力隊に着任する道、関係人口として関わり続ける道、地域の企業で働く道があります。
地方創生に取り組む企業は、ココキャリアで探すことができます。
短い滞在でも、地域の人と一緒に過ごした時間は、あなたが働き方を選ぶときの確かな手がかりになります。
まずは小さく体験してみることから、地域に関わるキャリアを始めてみましょう。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
