貧困、男女格差、少子高齢化、ブラック校則、食品ロス、異常気象…

日本社会にはここに書ききれないほど多くの社会課題があります。

にもかかわらず、社会問題や政治に無関心な日本人は少なくありません。

この問題を解決する一つの方法として、「シティズンシップ教育」があります。

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シティズンシップ教育とは

シティズンシップ教育とは、「市民教育」「主権者教育」とも呼ばれ、市民としての資質・能力を育成するための教育をさします。

言い換えると、他者と協力しながら、社会の一員として主体的に課題に取り組む姿勢を身につける教育です。

シティズンシップ(citizenship)という言葉は、もともとは国籍や市民権という意味でしたが、そこに参加的な市民という意味が加わりました。

イギリスやアメリカをはじめとした欧米諸国で、シティズンシップ教育は広く普及しつつあります。


シティズンシップ教育がイギリスで進められている理由

イギリスでは、2002年に義務教育のカリキュラムの一部に組み込まれました。

そのカリキュラムの中では、意見表明の練習として輪になりディスカッションをするサークルタイムや、司法への理解を深める模擬裁判が行われ、実践的に社会参画への方法を学びます。

このようなシティズンシップ教育が欧米で重要視されるようになったのは、以下の2つの背景があります。

  • 若い世代の政治的無関心
  • グローバル化

若い世代の政治的無関心

1990年代のイギリスは、若い世代の投票率の低下、非行の増加、学校の無断欠席などが問題視されていました。

若い世代に関するこれらの問題は、社会からの疎外感から現れていると分析されました。

それらの問題を解決すべきだという危機感から、社会参加のための教育が必要だと考えられるようになりました。

グローバル化

近年イギリスでは移民の数が増大し、文化的に多様な社会になりつつあります。

そのため、異なる価値観、背景を持った人と向き合い、共生することが求められるようになりました。

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シティズンシップ教育は日本でも必要?

ご存知の方も多い通り、日本の選挙における投票率は低いです。

実際に、令和元年7月に行われた第25回参議院議員通常選挙では投票率が48.80%と、半分を下回りました。

若い世代の投票率はさらに低く、10歳代が32.28%、20歳代が30.96%です。

また、下の図で示された若い世代の学校や社会への参加意欲に関する調査からも、政治への関心の低さがうかがえます。

他の国に比べ日本の若い世代は、「自分が社会を少しでも変えられる」と考える人はわずか30%でした。

この数値から、1990年代のイギリスのように、日本には政治に無関心な若い世代が多いと言えます。

また、日本の外国人人口は伸び続けており、令和元年には過去最高の7.4%にまでなりました。
参照:令和元年末現在における在留外国人数について

そのため、日本社会において異なる価値観を持つ人と向き合う機会は増えています。

これらの現状から、シティズンシップ教育を導入する以前のイギリスのような状況に日本もなりつつあることがわかります。

そのため、シティズンシップ教育を日本でも普及させる必要がある、と言えるのではないでしょうか。


日本におけるシティズンシップ教育の現状

2000年以降、日本でも一部の小中学校でシティズンシップ教育が導入され始めましたが、ほとんどの学校では「総合的な学習の時間」や「公民」の授業のみで扱われます。

かつ、社会参画に関わる知識はインプットに留まり、欧米諸国に比べ実践的に学ぶ機会が少ないのが現状です。

また、2017年の学習指導要領改訂に伴い、「総合的な学習の時間」の授業時数が削減され、さらにシティズンシップ教育がなされる時間が減っています。

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さいごに

シティズンシップ教育の重要性と日本の現状をご理解いただけたでしょうか。

これからの時代を担うのは、若い世代です。

シティズンシップ教育によって、子ども一人ひとりが社会の構成員であることを自覚し、問題に関心をもち、行動に移せるようになれば、社会はより良くなるのではないでしょうか。