国連機関の「2022年世界の食料安全保障と栄養の現状」によると、2022 年の世界の飢餓人口は6億9,100万~7億8,300万人と推定され、世界のほぼ10人に1人が飢餓に苦しんでいると推定されています。

この背景にはパンデミックが大きく影響していると考えられています。

しかし、日本で暮らしていると食糧危機を意識することは多くありません。

今回は、日本で食糧危機が起こる可能性がどれほどあるのか、その要因を検討します。

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日本の飢饉の歴史

まずは、日本の飢饉の歴史から見ていきましょう。

実は、古くは『日本書紀』の時代から昭和時代に至るまで、大小およそ500回もの飢饉があったというほど、日本は飢饉が身近な国でした。

第二次世界大戦後も深刻な食糧不足に陥り、小麦粉に木くずを混ぜたり、ネズミを食べたりしていたほどです。

過去の飢饉の原因としては、旱害や冷害、風水害、震災などの自然災害が主ですが、戦乱や疫病、虫害も見逃すことができません。

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日本が食糧危機になる3つの懸念点

ここでは、今後日本が食糧危機に陥る原因となりうることについて考えていきます。

  • 食料自給率
    • パンデミック
    • 人口爆発
    • 戦争・紛争
  • 農業従事者の高齢化
  • 気候変動

食料自給率

日本の食料自給率は低いと一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

令和4年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)です。

食糧の多くを海外からの輸入に依存する日本は、世界中に入り組んでいるサプライチェーンのどこかで問題が起きれば、たちまち甚大な影響を受けてしまいます。

参考:日本の食料自給率

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パンデミック

最近では、コロナウイルスの感染拡大によって人手不足や輸出制限などの問題に直面しており、国際物流が混乱しました。

慢性的な飢餓に直面している世界の人口の割合は、2019年の7.9%に対し、2022年には約9.2%となりました

日本は、現時点で食糧危機に陥っていないものの、食料の価格が上がったことは記憶に新しいでしょう。

参考:「2023年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」|JIRCAS

人口爆発

日本では人口が減少していますが、世界では急激に人口が増加しています。

2000年は、世界人口60億人だったのが、2023年では80億4500万人と1年間で約9000万人の増加を続けています。

さらには、2055年の世界人口は100億人を超えると予想されています。

これは、食糧の需要が高まり続けることを意味しています。

参照:世界人口白書2023

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戦争・紛争

世界では今も戦争・紛争が起こっています。

それが起こる場所によっては、日本の食糧確保にも大きな影響を及ぼします。

たとえば、シーレーン破壊によって、農産物を積んだアメリカやオーストラリアからの船が日本に来れなくなるようなことが挙げられます。

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農業従事者の高齢化

日本国内の問題としては、農業従事者の著しい高齢化が挙げられます。

現在、日本の農業従事者は、65歳以上が6割、 40代以下が1割というアンバランスな年齢構成になっています。

農林水産省を筆頭に、国をあげて若者の就農支援が行われていますが、数年で解決できる程度の問題でないことは明らかです。

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気候変動

世界的な平均気温の上昇は、食料の生産にも大きく関わっています。

すでに、日本でも一部の農作物で高温障害等の発生が問題化しています。

例えば、水稲では白乳化したり粒が細くなったりする「白未熟粒」が多発しています。

また、近年では毎年のように記録的大雨などの異常気象も問題です。

これにより日照時間が短くなったり、畑が冠水してしまったりして、野菜の生産量が下がります。

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まとめ

近い将来、日本が食糧危機に陥りうる要因を考えてきました。

世界ではすでに、食糧危機を見据えて、昆虫食や微生物、ファームテックなど様々な取り組みが行われています。

食糧危機を未然に防ぐための対策も、食糧危機になった場合に乗り越える手段も、地球市民のひとりとして考える必要があるのです。

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他にもご興味のある記事があれば、ぜひご覧ください。


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