国際協力 社会課題コラム

紛争鉱物とは?あなたの身近なモノの裏側にある、恐ろしい現実。

「あなたのPCやスマホは、多くの犠牲者の上に存在している」と聞いたら、

どう感じるでしょうか。

PCやスマホに含まれるレアメタルの多くは、アフリカ諸国で産出されます。

その中に「紛争鉱物」も多く含まれています。

劣悪な環境の中で、心身ともに多くの人が被害を受けながら採掘された鉱物です。

紛争鉱物が引き起こすのはどのような問題か、私達ができることは何か、をみていきましょう。

紛争鉱物の定義と現状

紛争鉱物の定義

紛争鉱物とは、アフリカ諸国などの紛争地域で採掘され、武装勢力の資金源となるおそれのある鉱物を指します。

かつては、非人道的な環境で採掘されたダイヤモンドが話題となり、「血塗られたダイアモンド」と呼ばれていました。

現代では、パソコン部品に使用されるタンタルなどのレアメタルが問題となっています。

蔓延する紛争鉱物の現状

紛争鉱物が問題になっているのは、コンゴ民主共和国をはじめとし、南スーダンやルワンダ、ブルンジなどアフリカの国々がほとんどです。

これらの国は共通して、武装勢力と国家の対立や、市民と政府の対立といった要因で紛争が続いている国です。

なぜ、紛争鉱物が問題なのか

紛争鉱物を通じて得た資金が、武装勢力を拡大させることに繋がっているからです。

大きな問題点は、採掘の過程での「人権問題」と資金の増加による「紛争の長期化」の2つです。

 人権問題

武装集団は、多くの鉱物を手に入れるため鉱山周辺の支配を狙います。彼らは、その地域や村の人々に力を見せつけることで住民を脅かすという方法をとります。その際、最も被害を受けているのが女性です。

武装集団は、女性への性暴力を村全体で行います。それを、夫や子どもを含めた村中の人々に見せつけることによって、権力を持っていることを示します。

それを見た人々は、武装集団に恐れを抱いて村を出ていきます。村に残ったとしても、鉱山採掘に際して奴隷のように扱われます。

暴力をうけた女性を治療してきたコンゴのムクウェゲ医師によると、女性の被害状況を見ることによって、

どの武装集団によるレイプなのか分かるそうです。

つまり、一過性のものではなく、組織的に行われている性暴力だということが分かります。

 詳しくは、ムクウェゲ医師によるこちらの動画をご覧ください。

https://todai.tv/contents-list/2016FY/mukwege/lecture

 子どもに関しても、武装集団によって連れ去られ、子ども兵として扱われている事例が見られています。

このように、武装勢力は子どもや女性といった「弱い立場」にある人を中心に心身とも攻撃して鉱山を支配、勢力拡大を行っているのです。

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  紛争の長期化

武装勢力は、手に入れた資金で武器を購入することで紛争を継続します。

その結果、紛争には関係のない市民の多くが巻き込まれます。

南スーダンでは、2011年に独立したものの、2013年から再び内戦が反政府勢力と政府との間で始まりました。

その紛争は現在も続いており、これまでの死者は40万人以上、230万人以上が難民として国を離れました。

紛争鉱物への規制

過去の反省から、国際的に規制が行われてきました。実際に、どのような規制が行われてきたのでしょうか。

紛争鉱物対策を行なっている組織

責任ある鉱物イニシアチブ(RMI):スズ・タルタル・タングステン・金(以下、3TG)の精錬・鍛錬事業者向けの、世界規模での第三者監視サービス。3TG各々に監視基準を設けて、紛争鉱物でないかどうかを確認しています。責任ある企業同盟(RBM)内イニシアチブの一つです。

 *責任ある企業同盟(RBA) : グローバルなサプライチェーンにおいて、労働者などの権利と福祉の支援を行う非営利組織。様々な業種のグローバル企業が加盟している。

 

責任ある鉱物調査検討会:日本の紛争鉱物調査を推進している組織。多数の企業が参加し、人権侵害に関わる鉱物を使用しないように対策を検討・実施しています。

法律による規制

キンバリープロセス:2002年国連総会で採択された紛争ダイアモンドの流通を抑えることを目的とした決議。参加国は、紛争ダイアモンドの取り引きをした人を処罰する法の整備を求められています。ただし、国連加盟国のうち、一部だけが参加しているという問題点があります。

ドッド・フランク法:アメリカで定められている法律で、紛争地帯で採掘された3TGに規制をかけた法律。コンゴ民主共和国とその周辺国が対象地域とされています。上場企業は、これらの製品使用の有無を証券取引所に報告かつ各ホームページに掲載することが義務づけられています。

EUの紛争鉱物資源に関する規制:欧州連合(EU)の精錬事業者や輸入事業者に対し、紛争地域や高リスク地域からの鉱物資源に対する事前調査を義務づけています。ドッド・フランク法と異なり、対象地域が世界全体のためより最も幅広い規制と言われています。

 紛争鉱物調査

製品に含まれる3TGの原産地域を調査することです。

CMRTと呼ばれるフォーマットに沿って、部品や材料のサプライヤーの協力を得ながら行い、最終的には最も川上の精錬・精製業者にたどり着くまで製造元を明らかにする依頼を繰り返します。(以下図、参照)

出所:https://www.wti.jp/contents/blog/blog210513.htm

フォーマットでは、3TGの有無や精錬所の特定確認が行われます。

CMRT回収後、スメルターリストと照合して、使用されている鉱物が武装勢力の資金源となるリスクや人権侵害に関わるリスク評価を行います。

*CMRT:責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)が出している調査フォーマット

*スメルターリスト:紛争鉱物にあたるものを製造していると推測される製造業者の一覧 

この現状を知ったからこそやってほしいこと

今日から、皆さんができる行動をご紹介したいと思います。

より深く知る

この記事の中では、表面的に説明したに過ぎません。詳しく知れる映画を2つご紹介します。

①『女を修理する男』 

コンゴ共和国で、紛争鉱物を求める武装勢力から性被害を受けた女性の治療に当たる医師の物語。

②『ブラッド・ダイアモンド』

ダイアモンド採掘現場における人権侵害を描いた物語。資金を得た武装勢力によって、村が壊されていく様子が描かれています。

 ほかの人に伝える

紛争鉱物問題は遠いものと感じる人が多いのが現状です。

学校の友人、会社の同僚、どんな方でも構いません。

SNSなどのツールを使って、ぜひ周囲の方に紛争鉱物の現状を伝えてみましょう。

 「コンフリクトフリー(紛争鉱物不使用)」製品を購入する

紛争鉱物調査が行われている製品かどうかを確認しましょう。

その商品の会社ホームページをみると、調査が行われているか否かがわかります。

イアモンドやスマホなど日々の買い物の中で、ぜひ意識を向けていただきたいです。

  3TGが使用されている製品の例

鉱物名製品例
スズ液晶ディスプレイ、ガラス製品
タンタル携帯電話、パソコン、電子機器のコンデンサー
タングステンオーディオ関連の部品、病院のCTスキャンの一部、研磨工具、

 

宝飾品

まとめ

鉱物資源は案外、私達の身近に使われていること、そして、その裏側にある悲惨さを少しでも感じることができたと思います。 

このような現状が起きていることを知って、無視できるでしょうか?

行動を起こしたいと感じたら、ぜひ出来ることから始めてみてください。

少しの行動が、誰かの人生の手助けにつながるかもしれません。

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