誰もがSNSで発信できる時代となり、膨大な情報については、一人ひとりが正しく対応することが必要となっています。

本記事では、情報のパターン化となるステレオタイプについて、バイアスとの違いや事例、メリット・デメリットを解説していきます。

ステレオタイプとは

ステレオタイプとは、多くの人に浸透している一般化された固定観念や先入観、思い込みのことです。

例えば、性別、人種、職種、年齢、血液型など、さまざまなカテゴリーで区分された集団について、一般大衆が思い込んでいるイメージを一つの枠にはめ込んだ考え方を示します。

ステレオタイプは、一例の考え方として参考にすることはできますが、昨今のSNS時代では、一つの考え方を型にはめた発信が、逆に偏見や差別を引き起こす要因となっています。

したがって、ステレオタイプでの発信については、かなり慎重になる必要があります。


ステレオタイプとバイアスの違い

ステレオタイプとバイアスの違いについて解説します。

ステレオタイプがパターン化されたイメージに対して、バイアス(bias)は、「傾向、先入観、偏見」という意味になります。

例えば、「インド人は毎日カレーを食べている」これはステレオタイプ。「インド人は毎日カレーを食べているから、カレー以外の食べ物は好きでない」これはバイアスの入った言い方になります。

インド人に対するパターン化されたイメージに加えて、カレー以外はあまり好まないだろうというバイアスが加わっています。


ステレオタイプが起こる理由

ステレオタイプが起こる理由について解説します。

昨今では、インターネット上であらゆる情報を得ることが可能となったため、未知の世界の情報をいつでもどこでも手に入れることができるようになっています。

これらの膨大な情報をパターン化して要約した内容の方が、受信側は理解しやすく、ステレオタイプが起こる理由になっています。

つまり、人間の習性として、難解な考え方よりもパターン化された考え方の方が、脳がキャッチしやすいということです。

さらに、パターン化されたイメージ(ステレオタイプ)が世の中に定着することで、これに対してバイアスのかかった発信が世の中に蔓延するような動きになっています。


ステレオタイプの事例

では、具体的にステレオタイプの5つの例をあげていきます。

血液型

血液型の特徴を調べてみると、A型は几帳面、B型はマイペース、0型はおおらか、AB型は二面性があるなどが挙げられます。

ここに示した内容も、ステレオタイプによるイメージです。

血液型によるイメージは、相手を判断する上で使われることがありますが、時と場合によっては、ステレオタイプにとらわれて、相手の個性を見えにくくすることもあります。

各国のイメージは、実際に訪れて感じたイメージやその国に住んで体感した場合では、大きなギャップがある傾向です。

例えば、日本のイメージは「勤勉で礼儀正しい国」や「大人しくて控えめな国民性」などが一例としてあります。

しかし、日本人の中にも多様性があり、これはステレオタイプのイメージに過ぎないことがわかるでしょう。

したがって、国によるステレオタイプは、まさしくパターン化されたイメージに過ぎないということになります。

企業広告

広告による繰り返しの発信もステレオタイプの一例です。

広告表現において、人種や性別、文化などのカテゴリーにより、ステレオタイプが受け入れられる場合とそうでない場合があります。

世の中の動向や、受信側の考え方や価値観の変化によって、広告のステレオタイプは、シビアに取り組むことが必要とされています。

性別

性別によるステレオタイプは、社会通念として偏見や差別に繋がるケースも多くなっています。

例えば、男は泣くな女は泣いても良い。男は強く女は弱い。男がリーダー女は補佐。など、いまだにステレオタイプな考え方が定着しています。

性別によるステレオタイプは、社会構造、家庭環境、宗教、情報などにより浸透するケースがあります。

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第一印象

初めて会う人に対して、バイアスを加えて認知することが人間の習性としてあります。例えば、同じ人に対して感じる第一印象というのは、人によって異なります。

第一印象を良いと感じる人もいれば、良くないと感じる人もいます。

さらに、相手に会う前に、何らかの情報を知ってから対面した場合は、見た目以外のイメージを描きやすくなります。

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ステレオタイプのメリット・デメリット

では、ステレオタイプのメリット・デメリットについて解説します。

ステレオタイプのメリット

ステレオタイプのメリットは、たくさんの情報を要約して効率的に判断しやすくなる点です。

インターネットが普及して情報が溢れる中で、簡略化されたステレオタイプに頼る傾向が強まるのは、情報整理を速やかに行いたいという脳の働きによるものです。

ステレオタイプのデメリット

ステレオタイプのデメリットは、簡略化された情報が間違っている場合もあり、誤報によって差別や偏見に連鎖反応する点です。

SNSによる個人的な発信が容易となった現代では、膨大な情報を整理するためにステレオタイプの発信が増えて、さらにバイアスのかかった情報へと、負の連鎖状態が起きている傾向です。


まとめ

ステレオタイプの情報は、受信と発信の際に、偏った情報である場合もあることを前提に対応することが必要となります。また、ステレオタイプの情報に、発信者のバイアスがかかっていることもあり得ます。

昨今では、誰もが自由に発信できる世の中となっていますので、ステレオタイプの流れがあることをしっかり意識するようにしていきましょう。