日本全国で見られる少子高齢化や地方の過疎化は、地域コミュニティや経済に大きな影響を与えています。
これらの課題に立ち向かうため、多くの地域で「町おこし」が重要な取り組みとして行われています。
町おこしは、地域の人々が一丸となって地域を活性化させるさまざまな活動を指し、その目的は地域経済の振興や人口減少の抑制にあります。
しかし、成功する事例もあれば、想定した成果を得られなかった事例も存在します。
この記事では、町おこしの概念、目的、成功事例と失敗事例、成功に必要なポイント、そして取り組む企業について詳しく解説します。
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目次
町おこしとは?
町おこしとは、地域を活性化するためのさまざまな取り組みを指します。
「まちおこし」や「街おこし」、「村おこし」、「地域おこし」など、さまざまな呼び方がありますが、いずれも同じ意味を指します。
町おこしは自治体が中心となるだけでなく、地域住民や農協、企業、地元団体などが一体となって行うことが一般的です。
町おこしの目的とは?求められる背景を解説
町おこしの主な目的は、人口増加と地域経済の活性化です。
少子高齢化や都市部に人口が集中していることから、過疎化が深刻化している現状を改善する一環として町おこしが推進されています。
過疎化が進んだ地域をそのまま放置してしまうと、いずれは限界集落になったり、住民のライフラインが保証されない地域となってしまうなど深刻な問題が想定されます。
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町おこしの成功事例3選
ここでは町おこしに成功した3つの事例を紹介します。
長野県阿智村
長野県の阿智村では、星が綺麗に観測できることを強みに多くの観光客の集客に成功しています。
成功のきっかけとなったのは、環境省が「日本一の星空の村」と認定したことにあり、「スタービレッジ阿智誘客促進協議会」を設置したあとは観光客により星空を楽しんでもらうためのイベントの開催やカメラ機材の貸し出しを行っています。
参照:天空の楽園
山梨県富士吉田市
山梨県富士吉田市では、新規ビジネスを長期的にサポートする制度で町おこしをしています。
「創業するなら富士吉田市で!」というキャッチコピーを掲げ、登録免許税の軽減、信用保証、融資制度、資金サポート、セミナー開催など、幅広くサポートしています。
参照:富士吉田市「富士吉田市は創業者を全力でバックアップします!」
長崎県五島市
長崎県五島市では、世界遺産がある土地柄とテクノロジーを活用して町おこしをしています。
テレビドラマの舞台としても取り上げられるほど魅力的な世界文化遺産や重要文化財が残っている街並みに加え、ドローンによる医薬品配達事業など、高齢者でも安心して暮らせるテクノロジーを導入しています。
参照:NHK「五島から長崎へ ドローンで100キロ超える最長配送飛行」
町おこしの失敗事例
町おこしをする地域は非常に多いですが、中には失敗してしまう町おこしの事例もあります。
代表的な町おこしの失敗例としては、「ゆるキャラ」による地域のアピールが挙げられます。
「ふなっしー」や「くまモン」、「ひこにゃん」など、ゆるキャラを町おこしの材料として成功してる地域もありますが、ゆるキャラを作成したものの認知拡大に至らなかったゆるキャラは数えきれないほどいるのです。
また、ゆるキャラが人気になるための「ゆるキャラグランプリ」は終了し、「ゆるバース」として復活したものの、注目を集めるゆるキャラはほんの一握りだと言えます。
このように、ゆるキャラ頼りで町おこしをするのはあまりにも可能性が低いため、失敗している事例も多くあるのです。
町おこしの成功に必要な3つのポイントとは?
町おこしの成功に必要な3つのポイントは以下の通りです。
・地域資源の活用
・地域産業を活性化させる
・住民参加と協働
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
地域資源の活用
成功した町おこしは、その地域固有の自然資源、文化、歴史、産業などを生かした取り組みが行われています。
これらの資源を活用することで、他の地域との差別化を図り、訪れる人々に独自の魅力を提供することができます。
例えば、温泉地の活性化、伝統工芸品のブランド化、特産品を生かした食文化の発展などが挙げられます。
地域産業を活性化させる
人口を増加させて定着させるためには、地域産業を活性化する必要があります。
雇用が安定することで、人口の流入や移住者増加も期待できます。
地域の産業、教育機関、行政が連携することが成功の鍵になります。
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住民参加と協働
地域住民が町おこしの主体となり、計画段階から実施、運営に至るまで積極的に関わることが成功の鍵です。
住民自身が町おこしのプロジェクトに意欲的に参加し、意見を出し合うことで、地域に根差した持続可能な取り組みが生まれます。
また、地域外の人材や企業、行政との協力体制を築くことも重要です。
町おこしに取り組む企業3選
ここでは、町おこしに取り組む企業を紹介します。
株式会社カイト
HP:https://www.kites.co.jp/service/service_town
株式会社カイトでは、事業のひとつとして「まちおこし・地域活性化コンサルティング」を行っています。
町会や商店街、法人などの活性化や発展、課題解決などを目的とし、総合的にコンサルティングを行っています。
霧島酒造株式会社
HP:https://www.kirishima.co.jp/
霧島酒造株式会社は、南九州原産の素材にこだわった酒造により、地域産農作物の6次化に大きく貢献しています。
これにより、地元の生産者や加工場、流通などを行う事業者が活性化し、町おこしに成功したのです。
株式会社吉田ふるさと村
HP:https://www.y-furusatomura.co.jp/
株式会社化吉田ふるさと村は島根県雲南市吉田町の会社で、地域産業を盛んにすることや雇用の安定を目指すために設立されました。
吉田町の農産物を活用したビジネスを展開することで町おこしをし、都心からのU・Iターン者の雇用にも力を入れています。
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まとめ
町おこしは、ただ単にイベントを開催したり、特定のアトラクションを設置するだけではなく、地域全体の持続可能な発展を目指す総合的な取り組みです。
この記事を通じて見てきたように、成功するためには地域資源の活用、地域産業の活性化、そして何よりも住民の積極的な参加と協働が不可欠です。
また、失敗事例からは、短期的な成果に目を向けるのではなく、長期的な視野を持つことの重要性が浮き彫りになりました。
町おこしに取り組む企業の例を通して、民間企業が地域活性化に果たす役割の大きさも理解できます。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。