皆さんは、限界集落という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

限界集落とは、集落内の人口が減少し、地域としての機能がうまく回らなくなっている状態です。

この言葉が生まれた当初は、集落から若者が減ることはあまり考えられていませんでした。

しかし、現在では、集落内から段々と人が減少してきています。

○全国、過疎地域の人口の推移(将来推計人口含む) 

引用:平成19年9月21日総務省自治行政局過疎対策室 資料4過疎地域の現況

そこで今回は、限界集落についての問題点や対策について紹介していきます。

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限界集落とは?簡単に解説

限界集落とは、地域としての機能がうまく回らず、社会的共同生活が困難な集落を指します。

うまく回らない理由としては、65歳以上の人口の割合が集落の50%を超えたり、その集落で暮らしている人数が減少したりするなどが考えられます。

また、限界集落という言葉自体は、大野晃という社会学者が1990年代に提唱し、広まりました。

では、なぜこの限界集落は起こるのか、原因を見ていきましょう。

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限界集落が発生する原因

限界集落が発生する原因としては次の3つが考えられています。

集落内に盛んな産業がない

限界集落にある産業は、農林業や漁業など1次産業が多く、持続的で十分な収入を得ることが難しいです。

もし、集落の周辺や集落一帯を代表する盛んな産業があれば、発展を見込むことができますが、そうでない場合は衰退していく一方です。

そのため、集落から職を求め若者が減少していく一方で、昔から住んでいる方の高齢化が進んでいきます。

不便である

限界集落は、立地が不安定な場所にあることも多く、都市部に比べて生活が不便です。

携帯の電波が入らなかったり、近くに娯楽施設や店がないだけでなく、病院や市役所といった生活していくうえで重要となる施設もない場合があります。

また、公共交通機関などのインフラが整っていない集落が多く、車での移動が必須です。

集落に人が移住しない

人口流出が多くても、人口流入がそれを上回る集落であれば、限界集落にはなりません。

しかし、人口流出が人口流入よりも多い集落であれば、産業が衰退してしまい、限界集落になってしまいます。

近年、都会から田舎へ引っ越す方も増えています。しかし、集落の方が移住者を受け入れる制度や環境が整っていないことが多いです。

集落には強いコミュニティが形成されていることもあるので、入りにくい雰囲気などがあれば移住者は増えないでしょう。

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限界集落4つの問題点

限界集落となってしまったら、どのような問題が発生するのでしょうか。

4つの問題点を見ていきましょう。

害獣の増加

人口が減少することで、環境を整える人が減り、植物が根を生やすことや野生の動物が増えることは自然なことです。

しかし、集落に住んでいる方の生活を脅かしてしまう程になるケースも。

イノシシやクマなどは人里に降りてきて人に襲い掛かってきたり、育てている作物が食べられたりする危険性もあります。

限界集落では、このような自然と共に暮らしていくことも大きな問題となります。

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食料自給率の低下

多くの限界集落では、農業、林業、漁業などの一次産業が主な産業となり、人々が暮らしているため、間伐などが定期的に行われ、耕作に適した土地が整います。

また、山林を間伐することによって海にも良い栄養が渡り、海の生命が豊かになるのです。

しかし、高齢化が進んで農林業・漁業をする人がいなくなれば、耕作などができない土地になってしまうという問題が起こります。

そもそも、第一次産業をする人がいなくなるという問題が起こり、国産の農産物や水産物が減ってしまいます。

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自然災害リスクの増加

人口が減少したり、高齢化で様々な担い手がいなくなると、自然災害リスクも増加します。

例えば、空き家などが増えてくると土地を管理する人がいなくなるため、豪雨の際など土砂崩れが起こりやすくなります。

さらに、災害時、住民の方を安全な場所へ誘導したり、危険を伝えることが遅れてしまう危険性もあります。

インフラ維持の困難

高齢化のため、手入れの行き届かなくなった貯水槽や水道施設の老朽化、水源の枯渇などで生活用水の確保が難しくなっている現状があります。

しかし、どの自治体も財源に余裕がない為、水道管や道路、電気などのインフラに十分なお金を回すことができません。

人口が少ない限界集落よりも、人口が集中している所のインフラ整備や観光資源などに十分な予算を充てるでしょう。

限界集落では、インフラ整備が十分に行き届いていないことも生活していくうえではリスクとなっています。

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限界集落の対策

企業の誘致

集落に大きな企業の仕事場が設置されると、会社に勤めている人が移住したり、自治体にも税収入が入ったり、若者の雇用が生まれたり、と様々なメリットがあります。

上記で挙げた3つの要因を補えるため、企業誘致によっていくつものメリットを得ることが期待できます。

イベント開催

集落への移住者を増加させる為には、まず集落のことを外部の人に知ってもらい関係人口を増やさなければなりません。

そこで、イベントを行い集落の魅力をアピールし、知名度を向上させるという方法があります。

集落の特産品や、景観の良さなどを活用してイベントを開催することで多くの人が集落の魅力を知ることができます。

魅力的に感じた人は、移住してきたり、観光にきたりするでしょう。

このように、集落の今まで知られていなかった魅力を、知ってもらうようなきっかけづくりをすることは大切なことです。

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古民家を活用した観光

集落での暮らしは、都心での暮らしと違い、自然を感じながら暮らすことができたり、昔の風情を感じたりできます。

そのため、都心ではあまり見られない古民家を活用した宿泊施設の運営や、カフェを開いたりといった観光地化というのも考えられます。

空き家の活用

限界集落では空き家が大きな問題となっています。その空き家を活用する方法として注目されているのが「空き家バンク」です。

「空き家バンク」とは、自治体が運営しているもので、空き家を所有しているがその空き家を活用したい人と、移住目的で物件を探している希望者をマッチングするというサービスです。

空き家を貸したい人、又は売りたい人が「空き家バンク」に登録し、空き家を使いたい人は自治体に連絡をして紹介してもらいます。

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限界集落に対する企業の取り組み

株式会社LIFULL

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。

現在は、グループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、主要サービスである不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」などの事業を展開しています。

【株式会社LIFULL 内定者】社会貢献が仕事になる社会を創るために~吉田宏輝~

株式会社フューチャーリンクネットワーク

フューチャーリンクネットワークは、地域の人と情報が集まるプラットフォーム「まいぷれ」の構築・運営・全国展開を通じて、持続可能な地域活性化に寄与するソリューションを提供する企業です。

地域活性化というテーマにおいて、ボランティアではなくビジネスとして成り立つしくみをつくることで、継続的且つ発展的に地域の課題を解決しています。

その他にも、公共ソリューション事業やマーケティング支援事業を展開しています。

【株式会社フューチャーリンクネットワーク】「地方創生」に取り組む仕事とは?~丹羽智貴~

ランサーズ株式会社

ランサーズは、「個のエンパワーメント」の実現を目指して、フリーランスマッチングプラットフォームを運営しています。

地方創生において、クラウドソーシングという「新しい働き方」の仕組みと、それを実践する「人」を活用した地方創生を、地方自治体に提供し、地域の活性化を図るサービスを行っています。

≫地方創生に取り組む企業10選~ベンチャーから大企業まで~
≫まちづくりに取り組む企業10選!~ベンチャー企業を中心にご紹介~


まとめ

今回は、限界集落とその問題点や解決方法についてご紹介しました。

限界集落とは、集落内の人口減少により、人が生活していくために必要な人数が揃わないため、地域としての機能がうまく回らなくなってしまっている状態のことをいいます。

今後も限界集落は増えていくでしょう。

他人事とは思わず、1人1人が限界集落が増えている現状を認識し、行動を起こすことも大切になります。

まずは、限界集落というものを理解し、現時点で起こっていることと向き合うようにしましょう。

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