日本では今、集落の存続が危機にさらされています。

2019年の国土交通省の調査によると、65歳以上が人口の半数を超える集落は全体の32.2%(20,372集落) にのぼり、10年以内に消滅する可能性がある集落も全国に存在します。

引用:令和3年度版 過疎対策の現況|総務省

この記事では、限界集落の定義・現状・発生原因・問題点・対策をわかりやすく解説します。

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限界集落とは

限界集落とは、65歳以上の人口比が50%以上で高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態の集落を指します。

冠婚葬祭などの共同作業、農地の管理、インフラの維持といった地域生活を支える機能が、担い手不足によって回らなくなっている状態です。

「限界集落」という言葉は、社会学者の大野晃氏が1990年代に提唱したもので、その後急速に広まりました。

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限界集落と7つの区分

集落の状態は高齢化の度合いと戸数によって、次の7段階に分類されます。

〇存続集落
定義:55歳未満、人口比50%以上
跡継ぎが確保されており、共同体の機能を次世代に受け継いでいける状態。

〇準限界集落
定義:55歳以上、人口比50%以上
現在は共同体の機能を維持しているが、跡継ぎの確保が難しくなっており、限界集落の予備軍となっている状態。

〇限界集落
定義:65歳以上、人口比50%以上
高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態。

〇危機的集落
定義:65歳以上、人口比70%以上、9軒以下
高齢化が進み、共同体の機能維持が極限に達している状態。

〇超限界集落
定義:特定の定義なし(約5軒以下)
限界(危機的)集落の状態を超え、消滅集落への移行が始まっている状態。

〇廃村集落
定義:1軒2名以下
残り1軒となり、集落の機能が完全に消滅した状態。

〇消滅集落
定義:人口0
かつて住民が存在したが、完全に無住の地となった状態。

引用:大野晃著, 『限界集落と地域再生』

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限界集落の現状:どこに多い?

限界集落が多い地方をランキングで解説します。

順位 地域 機能低下 継続維持 限界集落数
1位 中国圏 2,710 479 3,189
2位 九州圏 2,389 492 2,881
3位 四国圏 1,336 682 2,018
4位 東北圏 1,584 213 1,797
5位 中部圏 941 200 1,141
6位 近畿圏 602 263 865
7位 首都圏 579 61 640
8位 北海道 483 135 618
9位 北陸圏 229 90 319
10位 沖縄県 40 30 70

参考:過疎地域における集落の状況に関する現況把握調査最終報告|総務省

中国・九州・四国など西日本を中心に限界集落が多い傾向がありますが、首都圏や北海道にも相当数の限界集落が存在しています。

都市部でも進む「限界集落化」

限界集落は山間部・過疎地だけの問題ではありません。

東京都内の大規模団地やマンションでも、入居時の世代が高齢化しそのまま留まることで、高齢者比率が急上昇する「都市型限界集落」が広がっています。都内では高齢者の4人に1人が「買い物難民」とも言われており、近隣の商業施設が閉店した団地では生活インフラが成り立たなくなるケースも出ています。

また、孤独死の増加も深刻です。高知県や東京都内の団地では、隣人の孤独死の発見が遅れるケースが報告されており、地方・都市を問わずコミュニティの維持が社会的課題となっています。

限界集落が発生する3つの原因

限界集落が発生する原因としては、次の3つが挙げられます。

  • 集落内に盛んな産業がない
  • 不便である
  • 集落に人が移住しない

集落内に盛んな産業がない

限界集落にある産業は農林業や漁業などの一次産業が多く、持続的で十分な収入を得ることが難しいです。

集落の周辺や一帯を代表する盛んな産業があれば発展を見込めますが、そうでない場合は衰退する一方です。そのため、職を求めて若者が集落を離れ、昔から住む住民の高齢化が進んでいきます。

不便である

限界集落は立地が不安定な場所にあることも多く、都市部に比べて生活が不便です。

携帯の電波が届かなかったり、近くに娯楽施設や店がないだけでなく、病院や市役所といった生活に欠かせない施設もない場合があります。公共交通機関などのインフラが整っていない集落も多く、車での移動が必須です。

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集落に人が移住しない

人口流出より人口流入が多い集落であれば、限界集落にはなりません。しかし流出が流入を上回り続けると、産業が衰退し限界集落へと向かいます。

近年は都会から田舎へ移住する人も増えています。しかし、集落側に移住者を受け入れる制度や環境が整っていないことが多く、強固なコミュニティへの入りにくさから移住が定着しないケースもあります。

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限界集落4つの問題点

限界集落が引き起こす問題点を4つ解説します。

  • 害獣の増加
  • 食料自給率の低下
  • 自然災害リスクの増加
  • インフラ維持の困難

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害獣の増加

人口が減少すると環境を整える人が減り、野生動物の生息域が広がります。イノシシやクマなどが人里に降りてきて住民の生活を脅かしたり、育てている作物が食べられたりするケースも増えています。2025年秋には東日本を中心にクマの人身被害が増加しており、限界集落における野生動物との境界変化は深刻な問題です。

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食料自給率の低下

多くの限界集落では農業・林業・漁業などの一次産業が主な産業です。住民が定期的に間伐や農地管理を行うことで、耕作に適した土地と豊かな自然が維持されています。

しかし、高齢化で農林漁業の担い手がいなくなれば耕作放棄地が拡大し、国産の農産物・水産物の供給が減少します。食料自給率の低下は、日本全体の食料安全保障にも影響します。

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自然災害リスクの増加

人口減少・高齢化で担い手がいなくなると、自然災害リスクも高まります。空き家が増えると土地を管理する人がいなくなり、豪雨の際に土砂崩れが起こりやすくなります。また、災害時に住民を安全な場所へ誘導したり危険を伝えたりすることも遅れる危険性があります。

インフラ維持の困難

老朽化した貯水槽や水道施設の手入れが追いつかず、生活用水の確保が難しくなる地域があります。どの自治体も財源に余裕がなく、水道管・道路・電気などのインフラに十分な予算を回せない現状があります。人口が少ない限界集落への投資は後回しにされやすく、インフラの老朽化が加速します。

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限界集落の4つの対策

限界集落を再生・維持するための対策を4つ紹介します。

  • 企業の誘致
  • イベント開催
  • 古民家を活用した観光
  • 空き家の活用

企業の誘致

集落に大きな企業の仕事場が設置されると、従業員の移住・税収入の増加・若者の雇用創出など複数のメリットが生まれます。テレワーク普及により都市部の企業がサテライトオフィスを集落に設けるケースも増えており、企業誘致は限界集落再生の有力な手段の一つです。

イベント開催

集落への移住者を増やすには、まず外部の人に集落を知ってもらい、関係人口を増やすことが重要です。特産品・景観・体験プログラムを活かしたイベントを開催することで、集落の魅力を広く伝えられます。参加者が移住を検討したり、リピーターとして通い続けるきっかけになります。

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古民家を活用した観光

都心では味わえない自然・風情・昔の暮らしを体験できる場所として、古民家を活用した宿泊施設やカフェの運営が注目されています。観光資源として集落を再定義することで、外部から人と収益を呼び込むことができます。

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空き家の活用

限界集落では空き家が大きな問題です。そこで注目されているのが「空き家バンク」です。自治体が運営するこのサービスでは、空き家を貸したい・売りたい所有者と、移住目的で物件を探す希望者をマッチングします。移住促進と空き家問題の同時解決を図る施策として全国で広がっています。

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限界集落からの再生事例

限界集落が再生に成功した事例も各地で生まれています。

兵庫県丹波篠山市「集落丸山」

丹波篠山市の「集落丸山」は、2009年から地域再生プロジェクトを開始し、わずか3年で再生を実現した事例です。廃屋を改修して農家民宿を開業し、都市部からの観光客・移住者を受け入れることで、集落としての機能を取り戻しました。古民家と里山の景観を活かした観光が主軸となっており、住民が主体となって継続できる仕組みが成功の鍵とされています。

このような事例は、地域資源を再発見し「よそ者・若者・ばか者」の力を借りることで、集落が再び活性化できることを示しています。

限界集落の問題に取り組む企業3選

限界集落・地方創生の問題に取り組む企業を紹介します。

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地方創生に取り組む企業10選~ベンチャーから大企業まで~
まちづくりに取り組む企業10選!~ベンチャー企業を中心にご紹介~

株式会社LIFULL

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、安心と喜びをさまたげる社会課題を事業で解決するソーシャルエンタープライズです。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」などを展開しています。

インタビュー記事:【株式会社LIFULL 内定者】社会貢献が仕事になる社会を創るために~吉田宏輝~

株式会社フューチャーリンクネットワーク

フューチャーリンクネットワークは、地域の人と情報が集まるプラットフォーム「まいぷれ」の構築・運営・全国展開を通じて、持続可能な地域活性化に寄与するソリューションを提供する企業です。ボランティアではなくビジネスとして成り立つ仕組みをつくることで、継続的に地域課題を解決しています。

インタビュー記事:【株式会社フューチャーリンクネットワーク】「地方創生」に取り組む仕事とは?~丹羽智貴~

ランサーズ株式会社

ランサーズは「個のエンパワーメント」の実現を目指し、フリーランスマッチングプラットフォームを運営しています。クラウドソーシングという「新しい働き方」の仕組みと人材を活用した地方創生を地方自治体に提供し、地域の活性化を図るサービスを展開しています。

地方創生・限界集落問題に関わるキャリア

限界集落問題や地方創生は、NPO・自治体・民間企業・コンサルティングなど幅広い分野での活躍が期待される領域です。移住コーディネーター・地域おこし協力隊・まちづくりコンサルタントなど、地域と向き合うキャリアの選択肢は近年広がっています。

地方創生に取り組む企業への就職・転職を検討している方は、ぜひ以下の記事もご参考ください。

地方創生・まちづくりに携わる仕事がしたい!就活・転職に役立つ業界・業種を解説

地方創生に取り組む企業10選~ベンチャーから大企業まで~

よくある質問

Q. 限界集落の定義は何ですか?

A. 65歳以上の人口比が50%以上で、共同体の機能維持が限界に達している集落を指します。社会学者の大野晃氏が1990年代に提唱した概念です。

Q. 限界集落は現在日本にどのくらいありますか?

A. 2019年の国土交通省調査によると、65歳以上が人口の半数を超える集落は全体の32.2%(20,372集落)にのぼります。また、10年以内に消滅する可能性がある集落も全国に存在します。

Q. 限界集落が増える主な原因は何ですか?

A. 主な原因は「集落内に盛んな産業がない」「生活が不便」「移住者が来ない」の3つです。若者が職を求めて都市部に流出し、残った住民の高齢化が加速することで限界集落化が進みます。

Q. 限界集落の対策として有効なものは何ですか?

A. 企業誘致・イベント開催による関係人口の増加・古民家を活用した観光・空き家バンクの活用などが有効とされています。兵庫県丹波篠山市の「集落丸山」のように、地域資源を活かして3年で再生を実現した事例もあります。

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