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アニマルライツとは?アニマルウェルフェアの違いや私たちにできること【事例付き】

何かを検索した時、意図した検索結果ではなく別の事実を知り驚くことはありませんか?

私は先日アンゴラという国について検索したところ、毛をむしられたアンゴラうさぎの画像が目に止まりました。

その画像が気になりアンゴラうさぎについて調べました。

セーターなどに使われているアンゴラという繊維はアンゴラうさぎの毛から出来ています。

世界のアンゴラの生産の90%が中国であり、その中国ではアンゴラうさぎの毛を採取する時にうさぎの前脚を縛り付け毛をむしり取っています。

これは大変な苦痛を伴うため、アンゴラうさぎは声帯がないにもかかわらず叫び声をあげます。

自分も着たことがあるであろうアンゴラのセーターがこのようにできているとは全く知りませんでした。

人間の都合で動物を苦しめているとしたら、人間にそんな権利はあるのでしょうか?

アニマルライツとは

アニマルライツとは、「動物が動物らしく生きる権利」です。

動物は人間からの苦痛を被る事なく、その動物の性質に反することなく生きる権利があるということです。

先程のアンゴラうさぎを例に挙げると、アンゴラうさぎは人間の都合によって毛をむしられるという虐待のような扱いを受けてはいけないということです。

アニマルウェルフェア(AW)とは

アニマルライツとともに話題に上る言葉としてアニマルウェルフェアがあります。

アニマルウェルフェア=動物福祉は「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」を指しています。具体的に動物の5つの自由を挙げています。

1 飢え・乾き及び栄養不良からの自由
2 恐怖及び苦悩からの自由
3 物理的及び熱の不快からの自由
4 苦痛・傷害及び疾病からの自由
5 通常の行動様式を発言する自由
引用:農林水産省「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理等」令和3年7月

日本は諸外国と比較するとアニマルウェルフェアの認知度・理解度が低く対応が遅れています。

東京オリンピックでは、食材調達に関してアニマルウェルフェアに配慮することが求められていました。

しかし、日本独自の調達基準に留まり、アニマルウェルフェア度はロンドン、リオオリンピックより低いものとなりました。

アニマルライツとアニマルウェルフェアの違い

アニマルライツとアニマルウェルフェアの違いを見てみましょう。

アニマルライツ:全ての動物が対象。本来の生き方にフォーカスを当てた考え方。

アニマルウェルフェア:人間が動物を管理・飼育する動物が対象。管理・飼育する上でその動物本来の生き方を尊重する考え方。

アニマルウェルフェアは、人間が動物を利用することを否定していません。私たちの生活により関わりがあるのはアニマルウェルフェアと言えそうです。

身近な問題 にわとりの飼育環境について

身近な食材である鶏卵と鶏肉。

皆さんは、にわとりがどのような環境で飼育されているのか考えたことはありますか?

採卵鶏

アニマルウェルフェアは、対象となる動物によって求められる対応が異なります。

にわとりの場合、本来の生活をするために砂浴びができること、止まり木や爪研ぎがあること、適正な給餌、給水ができることなど飼育環境が重要になってきます。

採卵鶏におけるアニマルウェルフェアの実現度の順は次のとおりです。

「放牧」→「平飼い」→「*エンリッチドケージ」→「*バタリーケージ」

*エンリッチドケージとは、止まり木があり、一羽当たりのスペースが約750㎠
*バタリーケージとは、4,5段に重ねられた止まり木のないケージのことで、一羽当たりのスペースが平均470㎠(約B5サイズ)

日本は「バタリーケージ」が90%を占めています。

一方、欧州は2012年に「バタリーケージ」を廃止し、現在はエンリッチドケージの廃止と平飼いや放し飼いなどのケージフリーを推奨しています。

ブロイラー(食肉用鶏)

日本で出回る食用鶏には、地鶏・銘柄鶏・ブロイラーの三種類があります。

ブロイラーとは、短期で出荷できるように改良された若鶏のことです。

日本で出回る鶏肉の90%がブロイラーです。

一般に成鶏になるのに4~5カ月かかるところをブロイラーは50〜60日で食用の大きさに育ちます。

肉質が柔らかく値段もリーズナブルです。しかし品種改良により、にわとりの体重を急激に増加させています。

そのため、体のバランスも悪く足に障害を起こす場合もあり歩行困難になるにわとりも出てきます。

日本のにわとりの飼育密度は非常に高く、ブラジルと比較すると1.8倍になります。飼育密度が高いので飼育環境が悪くなり、歩行困難になっても発見されずそのまま放置される場合がほとんどです。

アニマルウェルフェアが人間に与える影響

アニマルウェルフェアは、動物のためだけだと考えてはいませんか?

効率を重視した工業型畜産を進めることにより、人間の健康が脅かされています。

先程挙げたにわとりの飼育環境ですが、劣悪な環境の中で飼育するため、病気を抑える必要があり抗生物質が与えられています。

実は、この抗生物質の投与が人間にも影響を及ぼし薬剤耐性菌の死亡率を上げています。

薬剤耐性菌の検出率は外国産が34%であるのに対し、国産は59%となっており日本の耐性菌検出率が高いことが分かります。

私たちにできること

まずは知ること

認定NPO法人アニマルライツセンターの代表理事の岡田さんは、まずは事実を知ってほしいと訴えています。

私自身も冒頭のアンゴラうさぎの件は全く知りませんでした。

日本はアニマルライツ・アニマルウェルフェアともにまだ認知度が低く、欧州連合(EU)と比較すると後進国と言わざるを得ません。

私たちの生活に関わるさまざまな動物たち。

食肉処理の方法などにも目を背けず、事実として受け止めることが解決への一歩ではないでしょうか?

アニマルライツ・アニマルウェルフェアに配慮した生活に挑戦しよう

まず個人の消費者としてできることを考えてみましょう。

食生活の見直し

・放牧卵や平飼い卵の購入
・大豆製品などの代替肉を取り入れてみる

いきなりヴィーガンやベジタリアンになるのは難しいと思います。

最近ではスーパーでも植物性タンパク質を使った商品が並びはじめました。

また、ハンバーガーや焼肉などでも代替肉を使ったメニューもあるので気軽に取り入れてみて下さい。

商品やタグやラベルを意識して見るだけでも情報が手に入るので、消費の判断の一つになると思います。

ファッションを見直してみる

・ヴィーガンレザーやエコファー、リサイクルダウンのチョイス

最近では、ヴィーガンレザーの中にはブドウやパイナップル、りんごなどの食品廃棄物を使ったバイオレザーも登場しています。

エシカルファッションとして取り入れてみるのもいいかも知れません。

他の社会課題との関連性

アニマルライツ・アニマルウェルフェアは、他の問題にもつながっています。

アニマルライツ・アニマルウェルフェアに配慮して選択するヴィーガンですが、一方で他の問題につながっています。

下記は一例ですが、正しい知識とともに自分で考えて判断する必要がありそうです。

ヴィーガンで使われるアーモンドミルク

牛乳の代用としてヴィーガン食で使われるアーモンドミルクは、環境負荷が高いのではないかとも言われています。

アーモンドの栽培には大量の水が必要になります。

英国の非営利団体「サスティナブル・レストラン」によると、世界のアーモンド供給量の8割を占めるアメリカのカリフォル州では2004年〜2015年で1粒あたりに平均12リットルの水が使われていました。

現在同州では、2020年からの干ばつによる水不足でアーモンド栽培が立ち行かなくなる事態も起きています。

同州のアーモンド協会では、2025年までに20%水の使用量を削減する目標を掲げています。

大豆はどこから?

植物性タンパク質源の代表格である大豆は、アニマルライツ・アニマルウェルフェアへの関心の高まりだけでなく、そのヘルシーさからも需要が伸びています。

大豆の生産量は、この50年で2700万トンから2億6900万トンへと10倍に増え、今や 栽培面積は100万平方キロメートルを超えています。

これはフランス、ドイツ、ベルギ ー、オランダを併せた面積に当たります。

近年拡大が゙著しいのは南米で、1996年から2004年 の間に生産量は123%増加しています。(引用: 世界自然保護基金)

その他にも以下のような問題が生まれています。
・世界の大豆消費量の4分の3が家畜用飼料である
・新規耕作地の開拓によって先住民集落が強制移転させられている(アルゼンチン・パラグアイ)
・森林伐採により最も地球上で生物多様性が豊かと言われるアマゾンの生態系に変化をもたらしている

5ミートフリーマンデーを考えるきっかけに

元ビートルズのポール・マッカートニーさんと娘のステラ・マッカートニーさん親子が提唱を始めた、週に1度、月曜日に動物性タンパク質をとらないというキャンペーンです。

地球環境保護を目的としたものですがアニマルライツ、アニマルウェルフェアにも配慮することができます。

既にニューヨーク市の全小学校でも導入されているこの習慣。

みなさんもミートフリーマンデーをきっかけにアニマルライツ、アニマルウェルフェアについて考えてみてはいかがでしょうか?

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