「ある日、あなたの家が他人の手によって壊されてしまったら。」想像しただけでゾッとしますよね。

しかし、これは動物たちにとっては毎日人間の手によって起こされていることなのです。

それが「森林破壊」です。

それだけでなく、森林破壊は私たち人間の生活にも直接負の影響を与えます。

したがって私たちの生活を守るためには、今日からでも行動を起こしていく必要があるでしょう。

この記事では、森林破壊の影響や原因、私たちができることをお伝えします。

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森林破壊とは

森林破壊とは「目的のある森林の伐採」と定義されます。

例えば、農地の拡大やインフラの建設による森林の消滅です。

また、少ないケースですが、山火事などのアクシデントによる森林の破壊も含まれます。

森林破壊の現状は、日本10個分以上?

ナショナルジオグラフィックによれば、1990年からの約30年間で4億2千万ヘクタール、つまり420万平方キロメートルの森林が破壊されています。

日本の面積は38万平方キロメートルですので、日本10個分以上の森林が今日までに破壊されているのです。


熱帯林が持っている3つの価値とそれが失われることの影響

森林破壊の多くは熱帯で起こっています。ここでは、熱帯に広がる熱帯林の価値とその消滅による影響を説明します。

生物多様性

熱帯林、特に熱帯雨林には生物多様性を保全するという価値があります。

熱帯雨林には多くの生物が生息しており、森林破壊によって多くの動植物の住処が奪われているのです。

その悪影響は単純に動植物が絶滅の危機に陥り、生態系のバランスが崩れるだけではありません。

私たち人間は食料や住居などの確保を生物多様性に頼っており、そこへのアクセスが困難になる可能性があります。

また、生物多様性は新薬の開発と深く結びついており、将来新たな病気が出現した際に対応できなくなるかもしれません。

生物多様性が失われることで生まれる問題
・動植物の絶滅、生態系バランスの崩壊
・食料や住居の確保への悪影響
・新薬の開発への悪影響

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産業資源

森林破壊が進んでいる国の多くでは、林業が国の経済を支えています。

したがって、森林破壊によって木材資源が枯渇すると、将来的な林業資源の利用が見込めなくなる可能性があります。

また、木材を燃料として使用する地域もあり、将来的にその燃料が枯渇してしまうかもしれません。

産業資源が失われることで生まれる問題
・林業資源の枯渇
エネルギーの枯渇

カーボンストック

森林には二酸化炭素を吸収する効果があり、地球温暖化を緩和する働きがあります。

すなわち、森林が減れば、大気中の二酸化炭素量が増加して、地球温暖化が加速します。

そして、地球温暖化は異常気象や熱帯地域の病気の拡大、農業における不作などを引き起こし、私たちの生活に大きな影響を及ぼすでしょう。

カーボンストックとしての価値が失われることで生まれる問題
・地球温暖化とそれに伴う異常気象などの諸問題

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森林破壊が進む原因

森林破壊が進む原因を解説します。

産業

森林を焼き払って農業用地を拡大したり、家畜用の放牧地を作ったりすることで、森林が減少しています。

また、産業発展が著しい国では、森林を切り拓いて工場を建てる地域もあります。

インフラ建設

インフラは人間の生活環境を改善するために不可欠です。

その一方でダムなどは広大な土地を必要としており、建設に際して自然環境を大きく変化させてしまう恐れがあります。

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自然災害

カリフォルニアやオーストラリア、アマゾンなどの大規模な山火事は、ニュースで度々取り上げられているので知っている方も多いのではないでしょうか。

2019年から2020年にかけてオーストラリアで発生した山火事ではポルトガル1国分以上の面積の森林が焼け、10億匹以上の生物が死んだと推定されています。

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森林破壊に対する政府や国際組織の取り組み

森林破壊に対する政府や国際組織の取り組みを紹介します。

国際的な取り決め・法制化

森林の保護などを盛り込んだUNCED合意やSDGs 目標15、各国の諸施策の検討などを行う国連森林フォーラムが国際的な森林保護への枠組みとしてあります。

また、日本でも公的機関の持続可能な木材資源の利用を義務付ける「グリーン購入法」や民間需要における合法伐採木材の利用を促進する「クリーンウッド法」を施行しています。

地理データを使った監視活動

衛星写真などを使って、森林の破壊を監視する方法です。

例えば、以下の写真ではかつて森林だった地域(緑)が減り、非森林(黄色)の面積が拡大していますね。

アマゾン・パラ州の1996年と2010年の比較。左側は衛星画像。右側は森林と非森林の分類。緑色は森林を示す。©JAXA,METI analyzed by JAXA

島田 政信「世界初!高精細な地球規模の森林マップ」(2022年7月31日アクセス)から引用

これによって、上記であげた国際的な取り組みを客観的に評価できます。

また、無人飛行機を使って山火事を検知する方法も実験されています。

森林破壊に日々の生活から解決に貢献する3つの方法

まずは森林破壊を知る

まずは、森林破壊について正しい知識を身につけることが重要です。

特に、森林破壊は地球温暖化などを通じて先進国に住む私たちにも影響を与えるということの理解が重要でしょう。

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紙の使用量を減らす

紙は木材からできています。

そこで、紙を極力使わないようにすることで、木材の利用を減らすことができます。

例えば、紙袋を削減するためのマイバックや紙コップを削減するためのマイボトルを持参してみてはどうでしょうか。

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認証商品を買う

紙の使用を減らすとは言っても、紙を使うシーンは多いでしょう。

そこで購入の際に確認したいのがFSC認証です。

この認証は適切に管理された木材を用いた商品につけられています。

FSC logo

FSCの登録商標の種類」(2022/07/31アクセス)より引用

また、製紙業だけでなく農場の拡大も森林破壊を引き起こしています。

そこで参考になるのがレインフォレストアライアンス認証やフェアトレード認証です。

どちらの認証制度も、環境に配慮した生産方法をとることが認定の基準になっています。

また、これらの認証商品の購入は労働者の人権を保護することにも繋がります。

このように、認証された商品の購入は持続可能な森林利用に貢献できるのです。

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まとめ

途上国を中心に、多様な価値を持つ森林が破壊されてきました。

その原因の多くは人間の生活に起因しており、先進国に住む私たちにも深くつながっています。

森林破壊は、地球温暖化など様々な問題を引き起こすため、国際機関や政府が森林破壊を防ごうと取り組んでいます。

この機会に、私たちも日常の中から少しずつ取り組んでいきましょう。

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