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デジタルデバイドとは?国内外の現状や原因、課題に取り組む企業を紹介

「デジタルデバイド」という言葉を聞いたことはありますか?

社会格差の一種で、情報化社会の今、生活に密接に関わってくるものです。

情報がお金で売り買いされるようになった現代では無視できない社会課題です。

「デジタルデバイド」と一言でいっても、複数に分類され、要因も様々です。

 そもそも、どのような状況を指すのでしょうか?まずは定義からみていきましょう

デジタルデバイドとは?

具体的にどのような意味を指し、どのような分類があるのでしょうか。

デジタルデバイドとは

「インターネットやパソコンなどの情報通信技術を使える人と使えない人との間に生じる格差」を指します。

情報格差とも言われ、デバイスの使用機会やICTリテラシーによってその差が生まれます。

 デジタルデバイドは、主に「国際間デバイド」と「国内デバイド」に大別されます。

*ICTリテラシー:コンピューター使い方、情報を取捨選択する力など情報化社会に対応する能力のこと

国際間デバイド

国家単位で見たときに現れるデジタルデバイドを指します。

具体的には、発展途上国と先進国との間でインターネット普及率やIT人材の確保などに格差が生まれています。

実際、2019年でもインターネットを使う人の比率は、先進国では86.7%なのに対し、

発展途上国では44.4%と大きな開きがあります。

国内デバイド

国内でおきているデジタルデバイドです。中でも、年齢や年収などの違いで起こるものを「個人間・集団間デバイド」、国内の都市部と地方部の間に生じている情報格差を「地域間デバイド」といいます。

個人間・集団間デジタルデバイドの原因

国内デバイドのうち、年齢や年収などの違いで起こるデジタルデバイド。

その要因は何でしょうか。

所得

所得の高い人の方が、情報通信が容易に出来る環境にあります。

実際に、2020年総務省の情報白書によると、インターネット利用率は年収が1000万円以上の世帯で94.5%です。一方、200万円以下の世帯では80.7%にとどまります。

また、所得差に応じて家庭で子どもがデバイスを操作する頻度も変わっていきます。

高所得家庭の子どもの方が情報に触れる機会が多くなり、子どもの間でも情報格差が生まれています。

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年齢

若い世代の方がICT教育を受けており、年代別でデバイスを使いこなせるかどうかに差が出ています。

例えば、2019年のインターネット利用率は、13〜69歳以下では90%を超えている一方で、70〜79歳になると74.2%、80歳以上になると57.5%にとどまります。

そのため、デバイスの有無に関わらず、年代別で得る情報量に差が出ています。

障がいを抱えていること

障がいに応じたデバイスがないため通常のデバイス操作ができず、十分な情報が得られないからです。

企業によってデバイスの操作方法は異なり、スタンダードはありません。

そのため情報リテラシーがあっても、操作方法がわからないことからデバイスを使うことが出来ず、十分な情報を得られていない現状があります。

地域間デジタルデバイドの原因

国内の都市部と地方部の間に生じている格差のことを言います。

次は、その要因を考えていきましょう。

不十分なインフラ

離島や山間部の場合、地理的な理由からインフラ整備にかかるコストが高くなります。

人口が少ないこともあり、企業側は費用対効果が小さいと判断して参入せず整備が進んでいません。

そのため、デバイスがあっても使えない状況が生まれています。

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故障対応への遅れ

トラブルが発生しても、地理的な問題から時間的・金銭面でコストがかかりやすいため、地方には都市よりも対応の遅れが生じます。

その遅れは、情報スピードの遅れにも繋がり、結果的に情報格差につながります。

IT人材の不足

地方部ほど、エンジニアなどのIT人材が少ないため、予算があってもシステム開発が進まないことがあります。

また、緊急の際にも対応できる人がいません。

結果、都市部と地方部の間に情報格差を生み出すことに繋がります。

デジタルデバイドが引き起こす問題

 デジタルデバイドによって、情報弱者となる人や集団が生まれることがわかりました。

彼らにはどのような問題が起こるのでしょうか。

グローバル化への遅れ

情報技術分野で遅れをとっている国は、国際競争力が下がります。

教育、観光、労働などあらゆる分野で情報技術が活かされるようになっているからです。

その結果、グローバル化の波に乗ることが出来ず、国家の発展が見込めなくなってしまい、生活水準も低下していくでしょう。

高齢者世代の孤立化

日本では、高齢者ほどデバイスの使い方に不慣れです。

そのため、SNSを中心としたコミュニケーションが取れず、孤立化に繋がります。

また、キャッシュレス化など、デバイスの新たな利用方法に追いつけず、サービスを逃してしまうことも懸念されています。 

経済格差の拡大

IT人材の不足から、ICTリテラシーが高い人ほど収入を得られやすくなっています。

しかし、高いICT教育を受けられるかどうかは、経済状況に依存します。

その背景から、高収入家庭の子どもは、そのような職業に就きやすくなり経済格差がより大きくなります。

事件や災害に巻き込まれる可能性が上がる

 緊急時に情報を十分得られず、災害時に逃げ遅れる可能性があります。

また、不十分なICTリテラシーにより、個人情報を盗まれてしまうなど犯罪に巻き込まれるおそれもあります。

デジタルデバイドに取り組む企業

IT企業を中心に、デジタルデバイド改善に向けた活動を行っています。

以下に3社の活動を紹介します。

ソフトバンク株式会社

障がいを持つ子どもたちへの教育の取り組みとして「魔法のプロジェクト」に取り組んでいます。

例えば、2019年には「魔法のWallet」というプロジェクトを行い、電子マネーなど最新テクノロジーの利用サポートを学校機関を通じて行いました。

プロジェクトを通じて、子どもたちはデバイスの使い方を理解し、生活の中で有効活用できるようになりました。

日本マイクロソフト株式会社

世界中でのコンピューターリテラシー向上を目的とした「Unlimited Potential」を立ち上げ、途上国の教師などに対してトレーニングプログラムを実施しました。

その国でのICTリテラシーが高まるのみならず、就業機会の増加にも繋がると言われています。

日本では、2011年に東北で被災者に対して行いました。ICTスキルの取得を支援し、就労機会の拡大をはかりました。 

KDDI株式会社

ネット環境の整っていない地域への通信インフラの提供を行なっています。

例えば、ネパールの山岳地帯では、光ファイバーケーブルを敷設することで地域のネットワーク構築を行いました。今後、医療などの地域を支える分野で活かされていく予定です。

これから社会で必要とされていること

デジタルデバイドを解消するためには、より多くの人がデバイスを手に取れる環境を作り、情報を手に入れられる環境を作る必要があります。

デバイス使用機会の平等

より多くの人にデバイス使用の機会を提供するためです。

例えば、公共施設に無料で使用できる端末を設置することが考えられます。

また、廃棄処分される予定の電子機器端末をリユースすることも考えられます。

こうすることで、経済状況にかかわらず誰もがデバイスを使用できる環境で暮らすことができます。

IT人材の増加

地方部にITスキルを教える人を配置できるからです。

例えば、彼らがITスキルを教える学校を地方部で運営することで、IT技術が地方部でも普及します。その結果、地方でのインフラ整備が進みます。

また、進出企業の増加から、地域の活性化につながるかもしれません。

在宅勤務が可能な環境を整える

IT技術を持った人が地元にいながらでも在宅ワークができるためです。

在宅で仕事ができることで、地元から離れる人を減らせます。

そのため、地方部にいながらIT技術に触れられる環境ができ、地方部でのIT技術の普及が見込まれますし、地方の雇用創出にも繋がります。

操作のしやすいデバイスの普及

高齢者へのデバイス普及を促進するためです。

親戚や家族とオンライン上でのコミュニケーションが簡単になります。

また、障がいを持つ人にとっても簡単に使える端末となり、情報格差を埋めていくことに繋がります。

まとめ

コロナ禍でオンライン化が急激に進んだ日本ですが、それに伴って、デジタルデバイドは広がったと言われています。

国際的にみても、IT技術を持つことは今後の国の発展のために欠かせないものになっています。

個々人のデジタルデバイドは、国や国際社会と比較すると小規模なものです。

しかし、一つの情報がその人の人生に大きく関わることもあります。

デジタル化が大きく進んだコロナ禍の機会を使って、今一度、「デジタルデバイド」の問題に着目してほしいと思います。

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