近年、企業の経営や投資の分野で「ESG」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

ESGとは、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の三つの要素を指し、企業の持続可能性や社会的責任を評価する指標となっています。

これに基づいて行われる「ESG投資」は、その歴史や現状を持ち、SDGsやCSRといった他の概念とも関連が深いものです。

この記事では、ESGの基本的な意味から、その投資の分類や企業の取り組み、さらには学生へのPR方法まで、包括的にESGに関する情報を提供します。

ESGとは?簡単に意味を解説

ESGとは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったものです。

これは、以下のように企業を投資対象に値するかどうかを判断する投資判断の指標の一つとなっています。

「その対象企業は、社会的に良い企業なのか?」

「環境に良い事業を展開している(環境に悪影響を及ぼさない)企業なのか?」

「ガバナンス(企業統治)はしっかりしている企業か?」

ESG投資は、すでに世界の投資の35.9%を占めており、今後さらに伸びていくと考えられています。


ESG投資とは?歴史と現状

ESG投資の歴史

ESG投資の始まりは、1920年代だと言われています。

キリスト教協会などが宗教上の理由でタバコやアルコール産業への投資を禁止したことから生まれました。

その後、社会課題環境問題への意識が高まり、2006年に国連が提唱した「責任投資原則」がきっかけで本格的に広がりました。

責任投資原則は、投資家が意思決定の際に、ESGの観点を考慮すべきという世界共通のガイドラインです。

このガイドラインでは、以下の6つの原則で構成されています。

私たちは、投資分析と意思決定のプロセスに ESG の課題を組み込みます

私たちは、活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG の課題を組み入れます

私たちは、投資対象の主体に対して ESG の課題について適切な開示を求めます

私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います

私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します

私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します

引用:責任投資原則

ESG投資の現状

世界のESG投資額の統計を集計している国際団体のGSIAの報告書によると、2020年の世界のESG投資割合は、35.9%にも及んでいます。

この数字は年々上昇しており、アメリカでは、2018年の11兆9,950米ドルから2020年には17兆810億米ドルへと42.4%増。

また、日本でも2018年の2兆1,800億米ドルから2020年は2兆8,740億米ドルへと31.8%増加しました。

さらに、ヨーロッパでは、2025年までに、最大で57%をESG投資が占めるとの予測も出されています。


ESGとSDGs、CSRなどの違いを解説

SDGsとESGの違い

SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称として知られています。

SDGsは、17の目標・169のターゲットから構成されます。

つまり、SDGsは今後世界中の社会・企業が目指すビジョンであり、ESGは投資家からみた投資戦略です。

CSRとESGの違い

CSRとは、corporate social responsibilityの略称で、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任です。

そして、「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。

つまり、CSRは企業の在り方を指すものであり、ESGは投資手法を指しています。

≫CSRとは?CSVとの違いや取り組むメリットデメリット、事例などを解説

CSVとESGの違い

CSVとは、Creating Shared Valueの頭文字を取ったもので、「共有価値の創造」を意味しています。

CSVは、企業の売上をあげる「経済的価値」と社会課題を解決する「社会的価値」を両立させる経営戦略のフレームワークです。

つまり、CSVは経営戦略を指し、ESGは投資手法を指します。

≫CSV経営とは?生まれた背景やソーシャルビジネスとの違い、事例などを解説


ESG投資の7つの分類

続いて、国際団体のGSIAが定義する7つの分類を解説します。

ネガティブ・スクリーニング

ネガティブ・スクリーニングとは、ギャンブルやタバコ、ポルノなど特定の業界を投資対象から除外することです。

ESG投資に語って代表的な手法となっています。

ネガティブスクリーニングとは?詳しくはこちら

ポジティブ・スクリーニング

ポジティブ・スクリーニングとは、ESGに対して積極的に取り組む企業に対して投資をする手法です。

具体的には、環境問題やジェンダーフリーD&Iなどの取り組みが挙げられます。

国際規範スクリーニング

国際規範スクリーニングとは、児童労働や強制労働、CO2の排出量などの国際規範を満たしていない企業を投資対象から除外することです。

ネガティブ・スクリーニングとは異なり、業界ではなく、企業単位でスクリーニングします。

サステナビリティ・テーマ投資

サステナビリティ・テーマ投資とは、持続可能な社会の実現に貢献するテーマを選び投資することです。

テーマの例として、再生可能エネルギーや食品ロス、気候変動などが挙げられます。

サステナビリティとは?詳しくはこちら

インパクト・コミュニティ投資

インパクト・コミュニティ投資とは、社会へのインパクトが大きい活動に対して行われる投資です。

主に、環境問題地方創生の解決などが投資の目的に掲げられます。

ESGインテグレーション

ESGインテグレーションとは、財務諸表だけでなく、ESGの分析も投資の判断に加えることです。

財務諸表とESGのバランスを取った投資手法となります。

エンゲージメント/議決権行使

エンゲージメント/議決権行使とは、投資家が投資先へ行う目的を持った建設的な対話です。

対話方法は、会議や対談、インタビュー、会見など多岐にわたります。

ESGに対する企業の取り組み

サントリーホールディングス株式会社

サントリーは、洋酒やビール、清涼飲料水の製造・販売等を行う企業です。

持続可能な豊かな地球環境を次世代に引き継ぐべく、環境ビジョン2050を定め、「再生・自然環境の保全」、「環境負荷低減」の2つの軸で、グループ全体での環境経営を推進しています。

エーザイ株式会社

エーザイの海外向けサイトには、「Sustainability/持続可能性」専用ページを設けています。

エーザイは「ESG」への取り組みを「非財務的価値」と位置づけ、持続可能な企業活動、雇用、社会との関係性、環境活動など、企業の姿勢と活動を世界へ的確に発信し続けています。

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ESGにおける注意点

効果を判断しにくい

ESGに取り組んだとしても、短期的には結果を測りにくく、判断が難しいです。

長期的な視点でリターンを期待することをおすすめします。

また、ESGの指標は様々な機関が計測をしており、統一した基準がない点も注意が必要です。

SDGsウォッシュに注意

SDGsウォッシュとは、実態以上にSDGsに取り組んでいると見せかけることです。

SDGsとwhitewash(ごまかし)を組み合わせた造語で、グリーンウォッシュが語源となっています。

ESGにおいてもウォッシングに気をつけましょう。

SDGsウォッシュには大きく以下3つのパターンがあります。

①SDGsの項目を掲げているが、実際には取り組んでいないパターン
②取り組みはしているものの、実態よりも盛ってPRをしてしまうパターン
③掲げている取り組みに対してマイナスとなる事業を行っているパターン

SDGsウォッシュにならないための対策はこちら

ESGの取り組みを学生にPRする方法

当メディアCOCOCOLOREARTHでは、100人以上の社会活動家にインタビューを行ってきました。

これまでの信頼や知見を活かして、社会貢献・SDGsに特化した採用PRや企業ブランディング、商品PRなどを独自にPRさせていただいております。

学生・若手社会人に対して、SDGsへの取り組みをPRしたい場合はぜひこちらをご覧ください。


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