社会課題の解決にお金の面から関わりたいと思っても、どの金融機関が本気で取り組んでいるのかは外から見えにくいものです。

「インパクト投資」を掲げる会社は増えましたが、言葉だけでは中身の違いが分かりません。

手がかりになるのが、金融機関が業態を超えて署名する「インパクト志向金融宣言」の署名機関一覧です。

2026年10月1日時点の総署名機関は79社で、内訳は署名金融機関69社、署名協力機関10社です。

この記事では、79社の機関名と業態、本店所在地を全件一覧にまとめました。

あわせて、宣言の中身、署名機関の区分の違い、一覧から見える傾向、4社のピックアップ、関わる仕事を紹介します。

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インパクト志向金融宣言とは

インパクト志向金融宣言とは、投融資を通じて環境・社会課題の解決を目指す金融機関が、互いに連携してインパクト志向の投融資を進めるための民間イニシアティブです。

2021年11月29日に、金融機関21社が署名して発足しました。

英語名はJapan Impact-driven Financing Initiativeで、略称はIDFIです。

宣言の前文は、政府や自治体、国際機関の公的資金だけに頼る対応には限界があり、民間資金による投融資が欠かせないと述べています。

そのうえで、金融機関が投融資先の企業が生む環境・社会への変化を「インパクト」としてとらえ、課題解決に資金を振り向けることを求めています。

参考:インパクト志向金融宣言/プレスリリース(2021年11月29日)

宣言で署名機関が約束する7つの行動

宣言の本文には、署名機関が横断的に実践する7つの行動が書かれています。

番号行動の内容
1経営にインパクト志向を持ち、インパクト志向の投融資を各機関で実践する
2インパクトの測定・マネジメント(IMM)を伴う投融資や金融商品の提供を進める
3各機関の状況に応じた計画をつくり、好事例や課題を署名機関どうしで共有する
4実務担当者のレベルで、意見交換や調査研究などの協調した活動を行う
5宣言に参加していない金融機関も含め、業界全体に取り組みを広げる
6海外のイニシアティブに参加し、日本からの発信を積極的に行う
7金融業界が自律的にインパクト志向の投融資を発展させられるまで活動を続ける

宣言でいう「インパクト志向の投融資」は、GSG国内諮問委員会が定義する「インパクト投資」と同じ意味です。

融資、債券、上場株式、未公開株式など、あらゆる金融の形態を含みます。

インパクト投資の考え方や、金融庁がまとめた基本的指針の要素は、インパクトスタートアップの定義と国内の動きで紹介しています。

IMMは「測る」だけでなく「管理する」こと

IMMは、Impact Measurement and Managementの略です。

宣言の注釈では、投融資で生まれるインパクトを測定して見えるようにし、戦略づくりや投資先との対話を通じて管理することと説明されています。

測定の手法やロジックモデルの考え方は、社会的インパクト評価の手法とロジックモデルで詳しく扱っています。


署名機関は5つの区分に分かれる

インパクト志向金融宣言の一覧には、署名する機関と、署名せずに活動を支える機関の両方が載っています。

運営規程と公式サイトの一覧をもとに、区分ごとの対象と数をまとめました。

区分対象数(2026年10月1日時点)
署名金融機関預金取扱金融機関、保険会社、年金基金、証券会社、資産運用会社、投資ファンド運営会社など69社
署名協力機関金融機関ではないが、インパクト志向の金融のために金融機関へサービスを提供する営利の事業者10社
賛同機関宣言の趣旨に賛同する政府機関、国際機関、公益・非営利の団体11機関
特別賛同機関(創立者)宣言に特別な人的・財務的支援を提供した賛同機関1機関
特別協賛宣言の活動を継続的に支援する法人1社

「総署名機関79社」と数えられるのは、署名金融機関と署名協力機関の合計です。

参考:「インパクト志向金融宣言」運営規程(2025年1月29日)

署名に実績は問われない

金融機関が署名するときに、それまでにインパクト志向の金融の実績があるかどうかは問われません。

代わりに、その機関を代表する経営者の名前で、宣言の内容を理解し、趣旨に沿って活動することに同意する必要があります。

署名の効力は、署名書式が受け付けられた日から1週間を過ぎた日の、翌月1日に生じます。

署名したあとは、分科会の活動に参加でき、毎年の取組実績を事務局に報告する義務を負います。

報告された実績は、年に一度のプログレスレポートにまとめて公表されます。

署名協力機関は2023年7月に新設された

署名協力機関は、2023年7月に新しく設けられた区分です。

格付会社やコンサルティング会社のように、金融機関がインパクト志向の金融を実践するためのサービスを提供する事業者が対象です。

署名金融機関向けに、セミナーや勉強会、研修を企画することもできます。

参考:「署名協力機関」新設のお知らせ(インパクト志向金融宣言)

署名機関は21社から79社に

発足時に21社だった署名機関は、2025年3月には84社まで増えました。

2025年4月に会費制が導入されると、署名機関は70社に減りました。

その後は再び増え、2026年10月1日に1社が加わって79社になっています。

2026年10月1日時点の79社は、いずれも会費制のもとで署名している機関です。

インパクト志向金融宣言の署名金融機関69社一覧

以下は、公式サイトで公表されている署名機関一覧(2026年10月1日時点)の署名金融機関69社です。

並びは公式の一覧と同じで、本店所在地は都道府県と市区町村までにしています。

業態は、機関名に含まれる語(銀行、金庫、生命・保険、証券、アセットマネジメント、キャピタルなど)で機械的に分けました。

名称から業態を判別できない機関は「その他」としています。

ココキャリアに企業ページがある9社は、名称のリンクから掲載ページを見られます。

機関名業態本店所在地ココキャリア
アセットマネジメントOne株式会社資産運用東京都 千代田区—
特定非営利活動法人 ARUN Seed非営利法人東京都 文京区—
UntroD Capital Japan株式会社VC・投資会社東京都 港区—
UNLEASH Capital Partners株式会社VC・投資会社東京都 渋谷区—
インパクト・キャピタル株式会社VC・投資会社東京都 渋谷区掲載ページ
インパクトサークル株式会社その他東京都 港区掲載ページ
株式会社ウィズ・パートナーズその他東京都 港区—
株式会社UNERIその他愛知県 名古屋市掲載ページ
SMBC日興証券株式会社証券東京都 千代田区—
株式会社SDGインパクトジャパンその他東京都 千代田区掲載ページ
SBIインベストメント株式会社VC・投資会社東京都 港区—
株式会社SBI新生銀行(SBI新生銀行グループ)銀行東京都 中央区—
カディラキャピタルマネジメント株式会社VC・投資会社東京都 中央区—
株式会社環境エネルギー投資VC・投資会社東京都 品川区掲載ページ
株式会社かんぽ生命保険生命保険東京都 千代田区—
一般財団法人KIBOW非営利法人東京都 千代田区掲載ページ
株式会社キャピタルメディカベンチャーズVC・投資会社東京都 港区—
九州みらいインベストメンツ株式会社VC・投資会社熊本県 熊本市—
京都信用金庫信用金庫・中央金庫京都府 京都市—
GLIN Impact Capital株式会社VC・投資会社東京都 港区—
株式会社クレディセゾンその他東京都 豊島区—
Global Mobility Service株式会社その他東京都 千代田区掲載ページ
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブその他東京都 港区—
独立行政法人国際協力機構政府系機関東京都 千代田区掲載ページ
株式会社山陰合同銀行銀行島根県 松江市—
SIIFインパクトキャピタル株式会社VC・投資会社東京都 港区—
株式会社静岡銀行銀行静岡県 静岡市—
株式会社商工組合中央金庫信用金庫・中央金庫東京都 中央区—
信金中央金庫信用金庫・中央金庫東京都 中央区—
Spiral Capital株式会社VC・投資会社東京都 港区—
スパークル株式会社その他宮城県 仙台市—
住友生命保険相互会社生命保険大阪府 大阪市—
一般社団法人ソーシャル・イノベーション・パートナーズ非営利法人東京都 品川区—
第一生命保険株式会社生命保険東京都 千代田区—
大同生命保険株式会社生命保険大阪府 大阪市—
太陽生命保険株式会社生命保険東京都 中央区—
大和かんぽオルタナティブインベストメンツ株式会社VC・投資会社東京都 千代田区—
株式会社大和証券グループ本社証券東京都 千代田区—
但馬信用金庫信用金庫・中央金庫兵庫県 豊岡市—
株式会社脱炭素化支援機構政府系機関東京都 港区—
脱炭素成長型経済構造移行推進機構政府系機関東京都 千代田区—
ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社その他東京都 千代田区—
株式会社DGインキュベーションVC・投資会社東京都 渋谷区—
株式会社DG Daiwa VenturesVC・投資会社東京都 千代田区—
ニッセイアセットマネジメント株式会社資産運用東京都 千代田区—
日本生命保険相互会社生命保険大阪府 大阪市—
日本PMIパートナーズ株式会社その他東京都 新宿区—
農林中央金庫信用金庫・中央金庫東京都 千代田区—
株式会社バンカーズその他東京都 中央区—
肥銀キャピタル株式会社VC・投資会社熊本県 熊本市—
株式会社肥後銀行銀行熊本県 熊本市—
肥後銀行企業年金基金年金基金熊本県 熊本市—
Beyond Next Ventures株式会社VC・投資会社東京都 中央区—
株式会社ファストトラックイニシアティブその他東京都 文京区—
プラスソーシャルインベストメント株式会社VC・投資会社京都府 京都市—
株式会社みずほ銀行銀行東京都 千代田区—
みずほ証券株式会社証券東京都 千代田区—
株式会社三井住友銀行銀行東京都 千代田区—
三井住友DSアセットマネジメント株式会社資産運用東京都 港区—
三井住友トラストグループ株式会社金融持株会社東京都 千代田区—
株式会社三菱UFJ銀行銀行東京都 千代田区—
三菱UFJ信託銀行株式会社銀行東京都 千代田区—
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社証券東京都 千代田区—
ミュージックセキュリティーズ株式会社その他東京都 港区掲載ページ
明治安田生命保険相互会社生命保険東京都 千代田区—
ゆうちょアセットマネジメント株式会社資産運用東京都 千代田区—
株式会社ゆうちょ銀行銀行東京都 千代田区—
株式会社横浜フィナンシャルグループ金融持株会社神奈川県 横浜市—
株式会社りそなホールディングス金融持株会社東京都 江東区—

参考:署名機関一覧(2026年10月1日時点)


インパクト志向金融宣言の署名協力機関10社一覧

署名協力機関は、格付、情報提供、コンサルティングなどの立場から署名金融機関を支える10社です。

10社とも本店は東京都にあります。

機関名業態本店所在地
アビームコンサルティング株式会社コンサルティング・シンクタンク東京都 中央区
株式会社 エッジ・インターナショナルその他東京都 港区
株式会社格付投資情報センター格付・情報東京都 千代田区
株式会社QUICK格付・情報東京都 中央区
GLIN Impact Consulting株式会社コンサルティング・シンクタンク東京都 港区
株式会社Sincその他東京都 中央区
株式会社日本格付研究所格付・情報東京都 中央区
株式会社日本総合研究所コンサルティング・シンクタンク東京都 品川区
PwC Japanグループコンサルティング・シンクタンク東京都 千代田区
Ridgelinez株式会社その他東京都 千代田区

賛同機関・特別賛同機関・特別協賛

賛同機関には、国際機関や業界の推進団体、証券取引所の運営会社が名を連ねています。

賛同機関は会費の支払い義務がなく、運営には関わらず、総会での議決権も持ちません。

機関名区分
国際機関日本アセアンセンター賛同機関
一般社団法人インパクトマネジメント実践機構賛同機関
一般社団法人科学と金融による未来創造イニシアティブ賛同機関
The Global Impact Investing Network(GIIN)賛同機関
GSG Impact賛同機関
GSG Impact JAPAN賛同機関
IMPACT FRONTIERS賛同機関
株式会社日本取引所グループ賛同機関
Japan Impact Institute賛同機関
Principles for Responsible Investment(PRI)賛同機関
一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI)賛同機関
公益財団法人社会変革推進財団特別賛同機関
中央日本土地建物株式会社特別協賛機関

社会変革推進財団には、2024年7月25日の会合で「特別賛同機関(創立者)」の名称を付すことが決議されました。

中央日本土地建物株式会社には、同じ日に「特別協賛」の名義を付すことが決議されています。


署名機関一覧から見える傾向

69社の業態と所在地、署名機関が公表した残高の数字を見ると、宣言の広がり方が見えてきます。

名称で分けると「VC・投資会社」が17機関で最も多い

署名金融機関69社を名称で分けると、VC・投資会社が17機関で全体の24.6%を占めます。

次いで銀行が9機関、生命保険が7機関、信用金庫・中央金庫が5機関です。

業態(名称から分類)機関数割合
VC・投資会社17機関24.6%
銀行9機関13.0%
生命保険7機関10.1%
信用金庫・中央金庫5機関7.2%
資産運用4機関5.8%
証券4機関5.8%
非営利法人3機関4.3%
政府系機関3機関4.3%
金融持株会社3機関4.3%
年金基金1機関1.4%
その他13機関18.8%

「その他」の13機関には、クレジットカード会社や、車のローンを支えるFinTech企業、クラウドファンディングの運営会社などが含まれます。

メガバンクと地域の信用金庫、スタートアップに投資するVCが、同じ宣言に並んでいるのが特徴です。

54機関が東京都、熊本県に4機関

署名金融機関69社の本店所在地を数えると、東京都が54機関で全体の78.3%です。

東京都の中では、千代田区が25機関、港区が12機関、中央区が7機関でした。

東京都以外に本店があるのは15機関で、内訳は次のとおりです。

都道府県機関数機関名
熊本県4機関九州みらいインベストメンツ株式会社、肥銀キャピタル株式会社、株式会社肥後銀行、肥後銀行企業年金基金
大阪府3機関住友生命保険相互会社、大同生命保険株式会社、日本生命保険相互会社
京都府2機関京都信用金庫、プラスソーシャルインベストメント株式会社
愛知県1機関株式会社UNERI
島根県1機関株式会社山陰合同銀行
静岡県1機関株式会社静岡銀行
宮城県1機関スパークル株式会社
兵庫県1機関但馬信用金庫
神奈川県1機関株式会社横浜フィナンシャルグループ

熊本県の4機関のうち3機関は、株式会社肥後銀行、肥銀キャピタル株式会社、肥後銀行企業年金基金です。

地元の金融機関がインパクト投資にどう取り組んでいるかを知りたい人は、この15機関から調べ始めるとよいでしょう。

署名機関のインパクトファイナンス残高は27.36兆円

2026年8月28日に公表された「プログレスレポート2026」によると、署名機関のインパクトファイナンス残高は2026年3月末時点で27.36兆円です。

2024年調査の17.04兆円から、約10.3兆円増えました。

レポートは、インパクトの測定の度合いによって残高をレベル分けしています。

レベル内容残高
レベル2意図・戦略があり、成果を測定し、インパクトのマネジメントまで行っている9.19兆円
レベル1意図・戦略があり、成果を測定している18.17兆円
レベル1と2の合計インパクトファイナンスとして集計される残高27.36兆円

測定まで至っていない残高は、インパクトファイナンスの周辺にある「レベル0」として別に集計されています。

形態別では融資が71.1%を占め、債券と合わせると約93%が融資や債券による資金です。

地域別では、国内向けの比率が前回の53.2%から66.7%に上がりました。

この金額は署名機関のうち残高を公開した機関の合計で、日本全体のインパクト投資の市場規模とは集計の範囲が違います。

参考:インパクト志向金融宣言 プログレスレポート2026

インパクト志向金融宣言の署名機関から4社をピックアップ

インパクト・キャピタル、環境エネルギー投資、SDGインパクトジャパン、ミュージックセキュリティーズの4社は、社会的インパクト投資に取り組む企業10選で紹介しています。

ここでは、それとは別に、業態の異なる4社を取り上げます。

京都信用金庫

京都信用金庫は、「コミュニティ・バンク京信」の名で営業する京都市の信用金庫です。

2021年11月の発足時に署名した21社のひとつです。

企業が地域社会や地域の人々に与えている良い影響を評価・認証する「ソーシャル企業認証制度(S認証)」を運営しています。

預金者から預かる「京信ソーシャル・グッド預金」の資金は、S認証企業などへの融資に充てられます。

店舗を「事務手続きの場」から「課題解決の場」と位置づけ直した「課題解決型店舗」も設けています。

参考:地域・社会・環境への取組(コミュニティ・バンク京信)

株式会社かんぽ生命保険

かんぽ生命保険は、発足から11日後の2021年12月10日に署名し、署名機関は22機関になりました。

インパクト志向の投資を広げるため、独自のインパクト投資フレームワーク「インパクト“K”プロジェクト」を立ち上げています。

条件を満たした投資案件を認証し、その後の管理まで行うしくみです。

署名機関の三菱UFJ信託銀行、特別賛同機関の社会変革推進財団と連携し、国内上場企業を対象にしたインパクト投資ファンドの運用も始めました。

参考:サステナブル投資の手法・投資事例(かんぽ生命保険)

Global Mobility Service株式会社

Global Mobility Serviceは、与信が足りずにローンを組めなかった人に、車のローンを利用する機会を届けるFinTech企業です。

車両に載せる独自のIoTデバイス「MCCS」で走行や位置、稼働状況のデータを集め、利用状況や返済の行動を見えるようにしています。

データをもとに信用を評価し、必要に応じて遠隔で車両の起動を制御するしくみです。

名称から業態を判別できない「その他」13機関のひとつで、宣言の顔ぶれの幅広さを示す1社です。

参考:Global Mobility Service株式会社

≫Global Mobility Service株式会社の事業内容を詳しく見る

インパクトサークル株式会社

インパクトサークルは、インパクトファイナンスの提供と、インパクトの可視化サービスを手がけるスタートアップです。

国内外で、貧困削減や就業機会の創出などを目的としたファイナンスを提供しています。

その運用を通じて可視化の手順をノウハウ化・システム化し、定量・定性のデータをもとにインパクトの評価・分析・レポーティングを行います。

チームには、事業開発やガバナンスに加えて、マイクロファイナンスの専門家が加わっています。

参考:インパクトサークル株式会社

≫インパクトサークル株式会社の事業内容を詳しく見る


インパクト投資に関わる仕事と働き方

署名機関の一覧を志望先探しに使うときに、知っておきたい点をまとめます。

署名金融機関の多くが「人員・経験者不足」を課題にしている

インパクト志向金融宣言は2025年9〜10月に、主に署名金融機関に所属する86名を対象に、人材育成のニーズを問うアンケートを行いました。

推進上の課題として最も多かったのは「人員・経験者不足」で、回答者の約5割が挙げています。

インパクトファイナンスの専門組織を社内に置いているという回答も約5割ありましたが、そのうち約4割が同じく人員・経験者不足を課題にしていました。

知見が足りないと感じる部署としては、経営層と、法人営業を担う一般社員がそれぞれ約4割で多くなっています。

裏を返すと、インパクトの考え方を理解している人材を、金融機関がこれから育てようとしている段階です。

参考:インパクトファイナンス人材育成ニーズアンケート結果(インパクト志向金融宣言、2025年11月)

インパクト投資に関わる4つの働き方

署名機関の顔ぶれから見ると、インパクト投資への関わり方は大きく4つに分かれます。

銀行・保険会社・信用金庫で投融資を担う

銀行や生命保険会社、信用金庫で、融資や債券投資にインパクトの視点を取り入れる働き方です。

インパクトファイナンス残高の約7割は融資で、先のアンケートでも法人営業を担う社員の知見不足が課題に挙がっていました。

法人営業の経験や、取引先の事業を評価する力が生きます。

入口は、各機関の新卒・キャリア採用と、サステナブルファイナンスを担う部署の募集です。

ESGの視点を仕事にする職種やスキルは、ESGに関わるキャリアと関連職種でまとめています。

VC・資産運用会社で投資先を選ぶ

VCや資産運用会社で、社会課題の解決と成長を両立する企業を探し、投資する働き方です。

COCOCOLOR EARTHが取材したレオス・キャピタルワークスの松本凌佳さんは、新卒で入社してアナリストとして企業調査を担当しました。

3年目からファンドマネージャーとなり、未上場企業と上場企業の両方に投資する投資信託を運用しています。

上場の前後で企業が資金を確保できずに成長が止まる「死の谷」の解消が、このファンドの掲げる課題です。

松本さんの仕事は、ファンドマネージャー松本凌佳さんのインタビューで読めます。

企業調査や財務分析の経験が生き、入口はアナリスト職の採用です。

評価・コンサルティングの立場から支える

格付会社やコンサルティング会社で、金融機関や企業のインパクト測定や情報開示を支える働き方です。

署名協力機関の10社は、この立場から宣言に加わっています。

COCOCOLOR EARTHが取材した宮澤大喜さんは、経営コンサルティング会社を経てCSRデザイン環境投資顧問に転職しました。

不動産会社やインフラファンドが海外の機関投資家から求められるサステナビリティ調査「GRESB」に参加するのを支え、評価を高めるコンサルティングを担っています。

宮澤さんの歩みは、ESGを軸にキャリアを築いた宮澤大喜さんのインタビューにまとめています。

仕事の内容や必要なスキルは、サステナビリティコンサルタントの業務内容とスキルも参考になります。

資金を受けてインパクトを生み出す側で働く

インパクト投資を受ける企業や、公的な立場で資金を出す機関で働く道もあります。

署名金融機関には、独立行政法人国際協力機構(JICA)も入っています。

途上国の課題に資金と技術で関わりたい人は、JICAで働くための職種や採用ルートも比べておくと選択肢が広がります。

投資を受ける側のスタートアップで働く方法は、インパクトスタートアップの働き方で紹介しています。

まとめ

インパクト志向金融宣言は、インパクトの測定・マネジメントを伴う投融資を進めるために、2021年11月29日に金融機関21社が署名して発足しました。

2026年10月1日時点の総署名機関は79社で、署名金融機関69社と署名協力機関10社からなります。

署名金融機関を名称で分けるとVC・投資会社が最も多く、54機関が東京都に本店を置いています。

署名機関のインパクトファイナンス残高は2026年3月末時点で27.36兆円で、その約7割が融資です。

気になる機関を一覧から選んだら、公式サイトのサステナビリティや投資方針のページと、採用ページを見比べてみてください。

社会課題に取り組む企業は、ココキャリアでも分野や地域から探せます。

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よくある質問

インパクト志向金融宣言と署名機関について、よく見かける疑問にお答えします。

Q. インパクト志向金融宣言の署名機関は何社ですか?

A. 2026年10月1日時点で、インパクト志向金融宣言の総署名機関は79社です。内訳は、銀行や保険会社、証券会社、資産運用会社、VCなどの署名金融機関が69社、格付会社やコンサルティング会社などの署名協力機関が10社です。ほかに、署名はしていない賛同機関が11機関、特別賛同機関(創立者)と特別協賛がそれぞれ1つあります。署名金融機関69社のうち54機関は東京都に本店があり、熊本県が4機関、大阪府が3機関で続きます。

Q. インパクト志向金融宣言とはどのようなものですか?

A. インパクト志向金融宣言は、投融資を通じて環境・社会課題の解決を目指す金融機関が、互いに連携してインパクト志向の投融資を進めるための民間イニシアティブです。2021年11月29日に金融機関21社が署名して発足しました。署名機関は、インパクトの測定・マネジメント(IMM)を伴う投融資を進めること、好事例や課題を署名機関どうしで共有すること、業界全体に取り組みを広げることなど、7つの行動を宣言しています。

Q. 署名金融機関と署名協力機関、賛同機関は何が違いますか?

A. 署名金融機関は、銀行や保険会社、年金基金、証券会社、資産運用会社、投資ファンド運営会社などの金融機関です。署名協力機関は、金融機関ではないものの、インパクト志向の金融のために金融機関へサービスを提供する営利の事業者で、2023年7月に新設されました。どちらも会費を払い、毎年の取組実績を報告します。賛同機関は政府機関や国際機関、公益・非営利の団体で、会費の支払い義務はなく、運営に関わらず、総会での議決権も持ちません。

Q. 署名機関のインパクトファイナンス残高はどのくらいですか?

A. 2026年8月に公表されたプログレスレポート2026によると、署名機関のインパクトファイナンス残高は2026年3月末時点で27.36兆円です。2024年調査の17.04兆円から約10.3兆円、約61%増えました。このうち、インパクトの測定に加えてマネジメントまで行うレベル2が9.19兆円、測定まで行うレベル1が18.17兆円です。形態別では融資が71.1%、債券が21.7%を占め、国内向けの比率は66.7%でした。

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