「環境問題に関わる仕事がしたい」という思いを持ちながら、具体的にどんな仕事があるのか、どこから始めればいいのかわからない——そんなあなたに向けた記事です。
気候変動・生物多様性の喪失・海洋プラスチック・廃棄物問題——環境問題は私たちの生活と密接に結びついており、これを「仕事」として解決する人材への需要は、今まさに急増しています。
この記事では、環境キャリアの主な活躍領域・企業事例・求められるスキル・キャリアロードマップを解説します。
「いつか環境の仕事に関わりたい」と思っているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
環境問題を仕事にするとはどういうことか
環境問題に関わる仕事は、気候変動・生物多様性の喪失・廃棄物・水資源など多岐にわたる課題に対して、ビジネス・政策・現場活動のいずれかの形でアプローチする仕事です。
大切なのは「課題への関心」と「自分が何のスキルで関わるか」の2軸を整理することです。
関わり方は「民間企業」「NPO」「行政・国際機関」「起業」の4つ
環境キャリアへの関わり方は、大きく4つに分けられます。
民間企業
サステナビリティ部門・再生可能エネルギー事業・環境コンサルタントとして関わります。
市場の仕組みを使って課題解決をスケールさせることができ、ビジネスとしてのインパクトを追求できます。
NPO・NGO
自然保護・気候変動啓発・政策提言の現場で活動します。
収益よりも課題の深さに向き合える環境で、現場感覚を持った活動ができます。
行政・国際機関
環境政策の立案・規制設計・国際協定への対応など、社会全体のルールを変える立場で関わります。
スケールの大きな変化を生み出せる反面、スピードや柔軟性には制約があります。
起業・ソーシャルビジネス
環境課題を事業として解決するモデルをゼロから作ります。
自分のビジョンを直接形にできる一方、事業化へのハードルも高い選択肢です。
環境キャリアで大切な「スキル×課題領域」の掛け算
環境キャリアを考えるとき、「どの課題に関わるか」と「どのスキルで関わるか」の2軸で整理することが大切です。
気候変動に関わりたいとしても、エンジニアとして・マーケターとして・研究者として・政策担当者として——関わり方は全く異なります。
「課題への関心」と「自分の強みになるスキル」の掛け算で、キャリアの方向性が具体的に見えてきます。
環境キャリアの主な活躍領域
環境キャリアとして活躍できる主な領域について解説します。
再生可能エネルギー
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど、化石燃料に依存しない再生可能エネルギー源への転換を推進する業界です。
発電事業の開発・エンジニアリング・プロジェクトファイナンス・電力市場の設計など、多様な職種が存在します。
国内外の再生可能エネルギー事業者・エネルギー商社・メーカーでの就職が主な入り口です。
詳しくは「再生可能エネルギー 仕事」の記事で解説しています。
サステナビリティ・ESG(民間企業)
企業のサステナビリティ部門・ESG推進部門での仕事です。
温室効果ガスの排出削減計画策定・サプライチェーンの環境負荷評価・統合報告書の作成・ESG投資家との対話など、幅広い業務を担います。
大企業を中心にサステナビリティ担当の採用が急増しており、環境×ビジネスのスキルを持つ人材の需要が高まっています。
詳しくは「サステナビリティコンサルタント 仕事」の記事も参考にしてください。
環境コンサルタント・シンクタンク
企業・行政・国際機関に対して、環境課題の分析・戦略策定・実行支援を行うコンサルタントです。
カーボンニュートラル戦略の支援・環境アセスメント・再生可能エネルギー導入支援・生物多様性対応など、専門性の高い業務が中心になります。
コンサルティングファームや環境専門のシンクタンクに所属しながら、多様なクライアントの課題を解決するやりがいのある仕事です。
NPO・NGO(自然保護・気候変動)
WWFジャパン・グリーンピース・気候ネットワーク・公益財団法人日本自然保護協会など、環境課題に特化したNPO・NGOでの活動です。
自然保護の現場調査・気候変動政策への提言・啓発活動・企業との連携など、多様な業務があります。
ビジネス的な成果よりも「課題の深さに向き合う」ことを優先したい人に向いています。
行政・国際機関(環境政策)
環境省・国土交通省・地方自治体の環境部門での政策立案・実施・評価です。
温室効果ガス削減目標の設定・廃棄物処理規制・自然環境保護区の管理など、社会全体のルールを作る立場から課題に関わります。
国際的には、UNEP(国連環境計画)・UNFCCC(気候変動枠組条約事務局)など、地球規模の環境政策を扱う機関での勤務も選択肢に入ります。
環境×テクノロジー(GreenTech)
IoT・AI・データ解析を活用した環境課題解決に取り組むスタートアップ・テクノロジー企業での仕事です。
省エネシステムの開発・環境モニタリング・カーボントラッキングツール・農業テックなど、技術で課題解決の効率とスケールを高めます。
エンジニア・データサイエンティストとして環境課題に関わりたい人に向いた領域です。
環境問題に取り組む企業3選
ここでは、環境問題に取り組む企業を3社紹介します。
別の記事では50社以上の環境問題に取り組む企業を紹介しています。
・環境問題に取り組む企業10選!
・エシカル消費に取り組む企業10選!
・サステナブルに取り組む企業10選!
・気候変動に取り組む企業10選!
・フードロスに取り組む企業10選!
・フラワーロスに取り組む企業7選!
・農業問題に取り組む企業10選!
株式会社ユーグレナ
株式会社ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功しました。
ユーグレナなどを活用した機能性食品や化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究などを行っています。
また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大しました。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開しています。
サラヤ株式会社
サラヤ株式会社は、世界の衛生・環境・健康に関わる革新的な商品とサービスを提供する企業です。
具体的には、医療や福祉、食品工場やオフィス・公共施設などの衛生管理に関わる各種洗浄・消毒剤の他、環境に配慮した台所用品や洗濯用品、健康食品等の商品を取り扱っています。
直接的には、原料生産地の一つであるマレーシア・ボルネオ島での生物多様性保全活動や岡山県西粟倉村の健全な森づくりの支援などを行っています。
株式会社大川印刷
株式会社大川印刷は、1881年に創業され、再生可能エネルギー100%での印刷を可能として、ゼロカーボンプリントに取り組むなど積極的な「環境印刷」に取り組んでいる会社です。
配送では、より環境負荷の少ない電気自動車やディーゼル車を、インクには環境負荷の少ないノンVOCインキを、用紙にはエコ用紙を使用しています。
また、様々な環境団体とともに、環境に配慮した取り組みを行っています 。
≫環境問題に取り組む企業が見つかる求人サイト5選!おすすめのサイトを紹介
環境キャリアに求められるスキル
環境キャリアで必要とされるスキルについて解説します。
専門知識系
気候変動の科学的な基礎知識・カーボン会計・生物多様性・再生可能エネルギーの仕組みなど、環境課題に関連する専門知識です。
大学・大学院での環境系学部・理工系学部での学びが基礎になりますが、社会人になってから独学・資格取得で身につけるルートもあります。
環境社会検定(eco検定)やTCFD・TNFD関連の実務知識は、特にビジネス系の方にとって取り組みやすい最初の一歩です。
ビジネス系
ESG投資の仕組み・サステナビリティ開示(TCFD・TNFD)・環境関連規制・グリーンファイナンスなど、「環境×ビジネス」の知識です。
近年は、ビジネス経験を持つ人材が環境領域にシフトするケースが増えており、ビジネス系のスキルと環境知識の掛け算が強みになります。
実務・現場系
環境アセスメント・現地調査・フィールドワーク・地域住民との合意形成など、現場での実務スキルです。
現場経験があることで、「机上の理論」ではなく「実態に即した課題解決」ができる人材として評価されます。
環境キャリアのロードマップ
環境キャリアのロードマップについて、新卒・転職・資格取得それぞれの入り口を解説します。
新卒から入るルート
理系・環境系学部から、再生可能エネルギー企業・環境コンサルタント・環境省などに就職するルートが代表的です。
文系からも、ESG・サステナビリティ担当・NPO広報・政策系機関への就職は可能で、課題への関心と行動実績(ゼミ・インターン・ボランティア)が評価されます。
インターンシップを活用して、就職前に現場感覚をつかんでおくことが有効です。
転職・スキルシフトで入るルート
民間企業でビジネス経験を積んだ後、環境系企業・コンサルタント・NPOに転職するルートです。
マーケティング・エンジニアリング・ファイナンスなど、環境課題に関わる組織で必要とされるスキルを持っている場合、転職のハードルは大きく下がります。
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資格・学位でキャリアを強化する
環境キャリアを強化する主な資格・学位として、以下が挙げられます。
環境社会検定(eco検定)
環境問題の基礎知識の体系化に有効な資格で、文系・理系問わず取り組みやすいのが特徴です。
TCFD・TNFD関連の実務知識
サステナビリティ開示担当者として評価される、実務に直結する知識です。
省エネルギー診断士・環境計量士
再生可能エネルギー・環境コンサル領域での専門性を示す資格です。
大学院(環境系・政策系)
研究職・政策立案・国際機関を目指す場合に有効な選択肢です。
まとめ
環境問題を仕事にするルートは、民間企業・NPO・行政・起業と多様です。
再生可能エネルギー・サステナビリティ・環境コンサル・NPO・政策・GreenTechと、活躍できる領域も広く、自分の関心とスキルに合わせて選ぶことができます。
「環境課題に関わりたい」という気持ちがあるなら、まず自分が「どんな立場で・どんなスキルで関わりたいか」を整理し、関心のある組織の採用情報やボランティア機会から一歩踏み出してみてください。
「完璧に準備してから」ではなく、「動きながら学ぶ」姿勢が、環境キャリアを切り開く最大のエンジンになります。
→ 関連記事:社会課題ごとのキャリアロードマップまとめ
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
