日本は2035年度に60%、EUは2035年に66.25〜72.5%、中国は2035年に「ピークから7〜10%」。
3つとも、2025年に各国が国連に出した、新しいNDC(国が決定する貢献)の数字です。
ところが、この3つは、そのまま大きさを比べることができません。
何年と比べた数字なのか、森林が吸収する分を差し引いているのか、年と年度のどちらなのかが、国ごとに違うからです。
では、ニュースに出てくる「〇%削減」は、どこを見れば正しく読めるのでしょうか。
NDCの意味と仕組み、数字の読み方、日本のNDCが決まるまでの流れ、主要国の比較を、国連や各国政府の一次資料をもとに整理します。
後半では、NDCに関わる仕事も紹介します。
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NDC(国が決定する貢献)とは
NDCの定義と、NDCにどんな情報が書かれているのかを確認します。
NDC(国が決定する貢献)とは、パリ協定にもとづいて、各国が自ら決めて国連に提出する、温室効果ガスの排出削減目標とその取り組みです。
NDCは、英語の「Nationally Determined Contribution」の頭文字をとった略語です。
パリ協定第4条は、各国に、NDCを準備・通報・維持し、その達成に向けて国内で対策を取ることを求めています。
提出されたNDCは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局が管理する公開の登録簿に記録され、だれでも読むことができます。
2015年のパリ協定の採択前に各国が出した目標案は、「約束草案(INDC)」と呼ばれていました。
日本は2015年7月17日に約束草案を提出し、2030年度に2013年度比26.0%削減を掲げました。
パリ協定が採択された経緯や京都議定書との違いは、パリ協定の目標と仕組みをまとめた記事で先に確認できます。
そもそもなぜ排出を減らす目標が必要なのかは、気候変動の原因と影響から読むと、つながりが見えやすくなります。
参考:パリ協定の条文(UNFCCC、英文)、環境省「日本のNDC(国が決定する貢献)」
NDCに書かれていること
NDCは、削減の数字だけを書いた紙ではありません。
各国は、数字を正しく理解してもらうための情報(明確性・透明性・理解のための情報)を、決められた項目に沿って添えて提出します。
たとえば、2025年2月18日に日本が提出したNDCには、次のような項目が並んでいます。
| 項目 | 日本のNDCでの記載 |
|---|---|
| 基準となる年 | 2013年度(排出量は14億700万トン) |
| 目標 | 2035年度に60%減(5億7,000万トン)、2040年度に73%減(3億8,000万トン) |
| 実施期間 | 2031年4月1日から2041年3月31日まで |
| 対象範囲 | すべての部門。二酸化炭素、メタンなど7種類のガス。カバー率は100% |
| 決め方 | 審議会での議論、パブリックコメント、地球温暖化対策推進本部での決定 |
基準年の排出量は、統計の見直しなどで今後更新されることがある、とも書かれています。
長期目標(ネット・ゼロ)との違い
NDCとよく一緒に出てくるのが、「2050年ネット・ゼロ」のような長期目標です。
長期目標は、排出と吸収を釣り合わせる最終的なゴールで、NDCは、そこに向かう途中の、10年ほど先の中間目標にあたります。
日本の場合、2020年10月に2050年ネット・ゼロを宣言し、NDCの60%・73%は、そこに向けた「直線的な経路」上にある目標と説明されています。
NDCの仕組み
NDCは、一度出したら終わりではなく、5年ごとに出し直す決まりです。
5年ごとの提出と「前進」のルール
パリ協定第4条9項により、各国は5年ごとにNDCを提出します。
新しいNDCは、それまでのNDCよりも前進したもので、その国にとってできる限り高い野心を示すものでなければならない、と第4条3項で定められています。
提出の時期は、パリ協定を採択した会議の決定(決定1/CP.21)で、関係する締約国会議の少なくとも9〜12か月前とされました。
目標の年も、そろえる方向に進んでいます。
2021年の会議の決定(決定6/CMA.3)は、2025年に2035年までの、2030年に2040年までのNDCを出すよう、各国に促しました。
2025年に提出が進んだ、2035年までを目標とする今回のNDCは、「NDC 3.0」と呼ばれています。
参考:共通の目標期間に関する決定(UNFCCC、英文)、UNFCCC事務局のNDC統合報告の更新(2025年11月10日)
グローバル・ストックテイクとの関係
5年ごとのNDCとかみ合うように、世界全体の進み具合を点検する「グローバル・ストックテイク」があります。
最初の点検は2023年に終わり、各国は、その結果をふまえて次のNDCを作ることになっています(第4条9項)。
「世界全体を点検し、足りない分を各国のNDCで上積みする」というのが、パリ協定の基本のサイクルです。
達成できなかったら罰則はあるのか
NDCの目標を達成できなかった場合の罰則は、パリ協定には定められていません。
その代わり、各国は進み具合を報告し、互いに確かめ合う仕組みで、目標の実行を促しています。
遵守を促す委員会の性格は、パリ協定の罰則と遵守の仕組みの節で紹介しています。
NDCの読み方
各国のNDCの数字を比べる前に、確かめておきたい点が5つあります。
基準年:何年と比べた数字か
1つ目は、何年の排出量と比べた削減率なのかです。
日本は2013年度、米国・カナダ・ブラジル・インドは2005年、EUと英国は1990年を、基準にしています。
基準年の排出量が多い年ほど、同じ排出量まで減らしても、削減率は大きく見えます。
2015年の約束草案でも、日本は「2013年度比26.0%減」と並べて、「2005年度比25.4%減」を示していました。
年と年度
2つ目は、暦の年(1月〜12月)か、年度(4月〜翌年3月)かです。
日本のNDCは年度で書かれていて、2035年度は、2035年4月から2036年3月までを指します。
多くの国は暦年で目標を立てているため、日本の目標の期間は、それらの国より3か月後ろにずれています。
吸収源を含むか
3つ目は、森林などが吸収する二酸化炭素を差し引いた「正味(ネット)」の数字かどうかです。
日本のNDCは、森林管理や都市緑化などの吸収を含めて評価します。
EUの2035年の目標も、ブラジルの目標も、「正味の排出量」の削減です。
ブラジルは、2005年の正味の排出量を25億6,000万トンとし、2035年に10億5,000万〜8億5,000万トンにする目標を示しています。
英国の目標は、国際航空と国際海運の排出を含めていません。
目標の形:総量・原単位・ピーク比
4つ目は、目標の形です。
パリ協定第4条4項は、先進国には経済全体の排出総量を減らす目標を、途上国には、状況に応じて、時間をかけてそうした目標へ移っていくことを求めています。
インドの目標は、総量ではなく、GDPあたりの排出量(排出原単位)を、2035年までに2005年比で47%減らすというものです。
経済が大きくなれば、原単位が下がっても、排出総量は増えることがあります。
中国の目標は、排出がピークに達した年の水準から、2035年までに7〜10%減らすという形で、ピークの年と量はNDCの数字だけでは決まりません。
無条件と条件付き
5つ目は、他国からの資金や技術の支援を前提にした「条件付き」の部分があるかどうかです。
インドは、2035年までに発電設備の約60%を非化石電源にする目標を、技術移転と低コストの国際的な資金の助けを得て達成するものと書いています。
2025年11月時点の国連の集計では、新しいNDCを出した113の締約国の排出量(土地利用を除く)は、条件付きの部分まで実行すれば2035年に2019年比14%減です。
無条件の部分だけなら10%減にとどまり、条件付きの部分をどこまで実行できるかで、見込みが変わります。
5つの点を表にまとめると、次のとおりです。
| 確かめること | 見る場所の例 |
|---|---|
| 基準年 | 「2013年度比」「1990年比」「ピーク比」 |
| 年か年度か | 「2035年」か「2035年度」か |
| 吸収源 | 「net(正味)」や「LULUCF(土地利用・森林)」の記載 |
| 目標の形 | 総量か、GDPあたりの原単位か |
| 条件 | 「conditional(条件付き)」や資金・技術支援の記載 |
参考:ブラジルのNDC(2024年11月、英文)、インドのNDC(2031〜2035年、2026年4月、英文)
日本のNDC
日本のNDCは、目標の数字だけでなく、それがどの会議でどう決まったのかまで公開されています。
目標の変遷
日本は、パリ協定のもとで、目標を段階的に引き上げてきました。
| 提出日 | 削減目標(2013年度比) |
|---|---|
| 2015年7月17日(約束草案) | 2030年度に26.0% |
| 2021年10月22日 | 2030年度に46%(50%の高みに向け挑戦を続ける) |
| 2025年2月18日 | 2035年度に60%、2040年度に73% |
この間、2020年3月30日にも、初回のNDCが提出されています。
日本のNDCが決まるまでの流れ
2025年2月に提出されたNDCは、国の総合計画である「地球温暖化対策計画」と一体で作られました。
流れは次のとおりです。
- 中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合で、計画の中身を議論する
- エネルギー政策は、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で議論する
- 2024年12月27日、政府原案をまとめる
- 2024年12月27日から2025年1月26日まで、パブリックコメント(国民からの意見募集)を行い、3,211件の意見が集まる
- 2025年2月18日、地球温暖化対策推進本部で決定し、閣議決定する
- 同じ日に、NDCを国連気候変動枠組条約の事務局に提出する
同じ2月18日には、第7次エネルギー基本計画とGX2040ビジョンも閣議決定され、政府は、地球温暖化対策計画と一体で取り組むとしています。
合同会合には、産業界、研究者、自治体、労働組合、NGOなどが参加し、将来世代からのヒアリングも行われました。
委員の半数を女性にする取り組みも、NDCの中で紹介されています。
数字の裏側には、会議で資料を作る人、意見を述べる人、パブリックコメントを出す人など、多くの人の仕事があります。
参考:環境省の報道発表(2025年2月18日)、環境省 脱炭素ポータル、経済産業省「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」
目標と達成手段
NDCが「どこまで減らすか」という目標だとすると、「どうやって減らすか」を書いたのが、地球温暖化対策計画です。
国の産業政策としては、脱炭素と経済成長、エネルギーの安定供給を同時に目指す「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」が、目標達成の柱に置かれています。
GXの柱の1つが、排出に価格をつけて削減を促すカーボンプライシングです。
海外での削減も、NDCに組み込まれています。
二国間クレジット制度(JCM)とは、日本の企業や政府が、技術や資金の面で協力して相手国で対策を行い、その削減・吸収量を両国で分け合う仕組みです。
2026年9月時点で、日本は32か国とJCMの二国間文書に署名しています。
日本は、JCMによって、2030年度までに累積で約1億トン、2040年度までに累積で約2億トンの削減・吸収の確保を目指しています。
得たクレジットは、日本のNDCの達成に計上する方針です。
参考:環境省「JCM(二国間クレジット制度)について」、日本のNDC(2025年2月18日提出、英訳版)
2024年度の実績と目標との距離
環境省が2026年4月14日に公表した算定結果では、2024年度の日本の温室効果ガス排出・吸収量は、約9億9,400万トン(CO2換算)でした。
2013年度比で28.7%減、2023年度比で1.9%減で、初めて10億トンを下回りました。
2030年度の目標である46%減までは、約17ポイントの差があります。
主要国のNDC比較
主要な8つの国・地域の、最新のNDCを並べました(2026年9月時点で、各国政府と国連に提出された文書を確認)。
| 国・地域 | 提出 | 目標 | 基準 | 目標の形 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2025年2月18日 | 2035年度に60%減、2040年度に73%減 | 2013年度 | 正味の総量 |
| EU | 2025年11月5日 | 2035年に66.25〜72.5%減(目安) | 1990年 | 正味の総量 |
| 英国 | 2025年1月30日 | 2035年に81%以上減 | 1990年 | 総量(国際航空・海運を除く) |
| 米国(※) | 2024年12月 | 2035年に61〜66%減 | 2005年 | 正味の総量 |
| カナダ | 2025年2月 | 2035年に45〜50%減 | 2005年 | 総量 |
| ブラジル | 2024年11月 | 2035年に59〜67%減 | 2005年 | 正味の総量 |
| 中国 | 2025年11月3日 | 2035年にピークから7〜10%減 | ピーク時 | 正味の総量 |
| インド | 2026年4月 | 2035年にGDPあたり排出量47%減 | 2005年 | 排出原単位 |
※米国は、2026年1月27日にパリ協定から脱退しました(詳しくは後述)。
参考:EUのNDC(2025年11月5日、英文)、英国政府「UK’s 2035 NDC」、米国のNDC(2024年12月、英文)、カナダのNDC(2025年2月、英文)、中国生態環境部の発表(2025年11月、中国語)、中国政府の発表(2025年9月25日、英文)、インドのNDC(2026年4月、英文)
比較表から読み取れること
8つのうち、基準年が同じなのは、2005年を使う米国・カナダ・ブラジル・インドと、1990年を使うEU・英国です。
ただ、同じ2005年基準でも、インドは排出原単位の目標なので、総量で目標を立てる3か国とは、同じ物差しで比べられません。
EUの66.25〜72.5%は、「目安」の幅です。
2030年の55%減から2050年の気候中立へ向かう直線と、2030年から2040年の目標へ向かう直線の2本から導かれています。
中国は、ピーク比の目標とあわせて、2035年にエネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を30%以上にする目標も示しました。
風力と太陽光の発電設備は2020年の6倍以上に増やし、合計36億キロワットを目指すとしています。
米国のNDCの扱い
米国は、2024年12月に、2035年に2005年比61〜66%減とするNDCを提出しました。
その後、2025年1月27日にパリ協定からの脱退を通告し、国連条約集によると、2026年1月27日に脱退の効力が生じています。
2026年9月時点で、パリ協定の締約国は194です。
脱退までの経緯は、パリ協定と米国の離脱・再離脱の節で扱っています。
各国のNDCを足すと1.5度に届くのか
一国ずつの数字とは別に、国連は、提出されたNDCを足し合わせた姿を公表しています。
UNFCCC事務局は、2025年11月10日付の更新で、2024年1月1日から2025年11月9日までに登録簿に記録された新しいNDCを集計しました。
新しいNDCを出したのは113の締約国で、2019年の世界の排出量の69%を占めます。
この113か国を含む世界全体の2035年の排出量は、土地利用などを含めて、2019年比で約12%減る見込みです。
パリ協定の採択前に想定された、気候政策がないか、ごく穏やかなシナリオでは、2035年の排出量は20〜48%増える見通しでした。
それと比べると、排出は「増える」から「減る」へ、向きが変わっています。
一方で、2023年の最初のグローバル・ストックテイクの決定は、1.5度に抑える道筋として、2035年に2019年比60%減が必要と認識しています。
各国のNDCを足した姿と、必要とされる水準の間には、まだ大きな差があります。
参考:UNFCCC事務局のNDC統合報告の更新(2025年11月10日)、決定1/CMA.5(UNFCCC、英文)
NDCに関わる仕事
NDCは、国の会議室で作られ、企業や自治体の現場で実行されます。
国の目標が決まると、工場や店舗、オフィスを動かす企業にも、具体的な削減の数字が求められます。
実際に脱炭素へ動いている会社は、気候変動に取り組む企業の紹介記事で探せます。
国の目標がNDCなら、企業の目標にあたるのが、SBT(科学と整合した目標)のような国際的な枠組みです。
企業は、パリ協定の目標と整合する削減目標を自ら立て、認定を受けることで、取引先や投資家に取り組みを示しています。
省庁・自治体
省庁・自治体は、NDCそのものを作り、国内の対策に落とし込む側の仕事です。
環境省や経済産業省では、審議会の資料づくり、排出量の統計、国際交渉などを担います。
政府機関で社会課題に関わるキャリアでは、民間企業との働き方の違いも紹介しています。
シンクタンク・研究機関
シンクタンク・研究機関は、排出量の見通しや、対策ごとの削減効果を計算し、審議会に材料を出す仕事です。
統計を読む力や、政策の文書を正確に読む力が活きます。
NGO・NPO
NGO・NPOは、パブリックコメントや意見表明を通じて、政策に声を届ける仕事です。
COCOCOLOR EARTHで取材した清水イアンさんは、大学在学中に、気候変動NGO「350.org」の日本支部の設立を支援しました。
2021年5月公開の清水イアンさんへのインタビューでは、政策や企業の決定を変える活動に関心を持ったきっかけが語られています。
企業のサステナビリティ部門・コンサルティング
企業のサステナビリティ部門やコンサルティング会社は、国の目標を受けて、企業の排出量を算定し、削減目標をつくり、開示する仕事です。
仕事の中身や必要なスキルは、サステナビリティコンサルタントの業務内容にまとめています。
商社・メーカー・国際協力
商社やメーカー、国際協力の分野では、JCMのように、海外で脱炭素の設備やサービスを広げる仕事があります。
語学や海外との調整の経験が、そのまま活きる分野です。
どの仕事も、理系の専門知識だけでなく、政策文書を読み、関係者の意見をまとめる力が求められるため、文系の人にも入口があります。
業界や職種ごとに全体を見渡したいときは、環境問題に携わる仕事の業界・業種の解説が役に立ちます。
よくある質問
NDCを調べるときに出てくる疑問を、4つ取り上げました。
Q. NDC(国が決定する貢献)とは何ですか?
A. NDC(国が決定する貢献)とは、パリ協定にもとづいて、各国が自ら決めて国連に提出する、温室効果ガスの排出削減目標とその取り組みです。各国は5年ごとにNDCを提出し、新しいNDCは前のものより前進した内容にする決まりです。提出されたNDCは、国連気候変動枠組条約の事務局が管理する公開の登録簿に記録されます。2025年からは、2035年までを目標とするNDCの提出が進み、これは「NDC 3.0」と呼ばれています。
Q. 日本のNDCの目標はどうなっていますか?
A. 日本は、2025年2月18日に、2013年度比で2035年度に60%、2040年度に73%の温室効果ガスを削減するNDCを提出しました。2013年度の排出量14億700万トンを、2035年度に5億7,000万トン、2040年度に3億8,000万トンにする計算です。森林などの吸収を含めた数字で、2030年度の目標は同じ基準で46%減です。環境省が2026年4月に公表した算定結果では、2024年度の排出・吸収量は2013年度比28.7%減でした。
Q. 各国のNDCはなぜそのまま比べられないのですか?
A. 国ごとに、数字の前提が違うためです。基準年は、日本が2013年度、米国やブラジルが2005年、EUや英国が1990年、中国は排出のピーク時と異なります。日本は年度、多くの国は暦年で目標を立てています。森林などの吸収を差し引いた正味の数字か、インドのようにGDPあたりの排出量の目標か、他国の資金支援を前提にした条件付きの部分があるかも違います。日本の60%とEUの66.25〜72.5%も、基準年が違うため、数字の大小だけでは比べられません。比べるときは、この5点を先に確かめると安心です。
Q. NDCを達成できなかったら罰則はありますか?
A. パリ協定には、NDCの目標を達成できなかった場合の罰則は定められていません。その代わり、各国は排出量や対策の進み具合を定期的に報告し、互いに確かめ合う仕組みがあります。さらに、5年ごとに世界全体の進み具合を点検するグローバル・ストックテイクがあり、各国はその結果をふまえて次のNDCを作ります。遵守を促す委員会も、対立的でも懲罰的でもない形で運営すると、第15条に定められています。罰則ではなく、情報の公開と点検を積み重ねることで、目標の引き上げを促す仕組みです。
まとめ
NDC(国が決定する貢献)とは、パリ協定のもとで、各国が5年ごとに自ら決めて国連に出す、温室効果ガスの削減目標です。
日本は2013年度比で2035年度に60%、2040年度に73%の削減をNDCとして提出し、その数字は、審議会やパブリックコメントを経て決まりました。
あなたが次に「〇%削減」というニュースを見かけたら、基準年、年か年度か、吸収源、目標の形、条件付きかどうかの5点を、確かめてみてください。
NDCを実行に移す企業の仕事に関心が出てきたら、ココキャリアで脱炭素に取り組む企業を探してみてください。
気になる会社が見つかったら、その会社が削減目標を公表しているかを、公式サイトで確かめる方法もあります。
国の目標を読む力は、企業の目標を読む力にも、そのままつながります。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
