ファイナンス 社会課題コラム

ソーシャルキャピタルとは?生まれた背景や関わり方をわかりやすく解説!

今回ご紹介するソーシャルキャピタルとは、これからの社会において非常に重要な概念です。

日本語でいうと「社会関係資本」

資本と聞くと、お金やモノなど目に見える財産をイメージする方も多いと思いますが、「社会関係」の資本とはなんでしょうか?

そして、21世紀、特にSDGsの目標地点である2030年にかけて重要性が高まっている理由とは何でしょうか?

できるだけわかりやすく、簡潔に解説していきます!

ソーシャルキャピタルとは

○ 人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、 「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴

○ 物的資本 (Physical Capital) や人的資本 (Human Capital) などと並ぶ新しい概念 

(参考) 人的資本とは、教育によってもたらされるスキル・資質・知識のストックを表す個人の属性

〈アメリカの政治学者、ロバート・パットナムの定義〉

出典:厚生労働省「資料7 ソーシャル・キャピタル

こちらは厚生労働省が公表している定義ですが、簡単にいうと、個人や社会の未来に価値をもたらす「人間関係」や「ネットワーク」ということになります。

「資本」というのはこれまで、

・お金・家・家電・飲食物などの「物的資本」

・価値あるモノを生産する人としての「人的資本」

などがありました。

しかし、最近は情報や知識などの目に見えない価値が重要視されるようになり始めています。

その一つが「関係」です。

身近な人との関係遠い国の人との関係など、今後の利益や価値につながる、人や組織が持っている「関係」こそ、貴重な「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」なのです。

身近な「ソーシャルキャピタル」

ここでは「ソーシャルキャピタル」の身近な例を紹介したいと思います。

「人」が持つソーシャルキャピタル

まずは「人」が持つソーシャルキャピタルですが、これは「コネ」というとわかりやすいかもしれませんね。

就活において、特定の人にしか開示されない情報を知れるとか、知り合いしか通れない選考ルートなど。

知らない人にとってみれば「不平等!」と言われることかもしれませんが、これもまたお金と同じように持つ者と持たざる者に分かれる資本なんですね。

学生や若い社会人のうちに、自分の興味のある業界や領域で活躍する人や組織との「コネ」を持つことは、とても大切なことです。

「企業」「団体」が持つソーシャルキャピタル

人がコネを持つのと同じように、企業や団体にもコネは必要ですよね。

コネクションネットワークといった形で言われることも多く、非常に重要な財産になり得ます。

地方の方々に使ってもらいたいサービスがあるときは、地方自治体や企業とのコネクション大切だし、

ビジネスにおいてアフリカに進出したいときは、アフリカの特定の国に滞在している人やその国の経済に詳しい人とのネットワークが大切ですよね。

なぜソーシャルキャピタルが重要視されるのか?

これまで紹介したように、ソーシャルキャピタルは、将来の利益を期待するビジネスにおいて、既に重要視されています。すぐに利益に繋がるものではないですが、長い時間をかけて価値に還元されていきます。

しかし、21世紀になってビジネスに限らず、社会問題に対してもソーシャルキャピタルの重要度が高まっているのです。

地域社会の課題解決にとって重要

まずソーシャルキャピタルは、医療介護や教育など、地域に関連する社会課題に取り組むうえで、共助・コレクティブインパクトの根本になっています。

都市に比べて使える資源や手段が限られている地域社会では、地域内外の人々や企業、自治体同士の繋がりが、その地域独自の課題を解決する上で非常に重要なのです。

またこうしたソーシャルキャピタルの概念は、ソーシャルセクターでの議論をする土台となっており、国にとっても重要な役割を持っているとされています。

「孤独」を超えるためにソーシャルキャピタルが必要

そして21世紀になり、「人との繋がり」の欠如が招いた「孤独」や「不安」が問題として取り上げられています。

テクノロジーによって便利な世の中にあり、物質的な貧困が削減されたとしても、精神的な豊かさを失うことによる新たな問題が生まれるのです。

こうした課題を解決するためには、今一度「人との繋がり」を見直さないといけません。ソーシャルキャピタルは「自殺」や「うつ」などの精神的な豊かさの欠如を解決していく上でも、非常に重要なテーマなのです。

ソーシャルキャピタルに関わる仕事

国際協力・ソーシャルセクター

国際協力やソーシャルセクターでは、多くの活動がソーシャルキャピタルの形成に紐づいています。アフリカと日本を繋ぐ活動という意味では、ナイケルさんこと、内藤獅友さんや、株式会社Darajapan角田弥央さんは代表例で、アフリカと日本にまたがった事業により、つながりが生まれています

ソーシャルセクターでもNPO法人カタリバなどは世代を超えた若者同士を繋ぐ「ナナメの関係」をもたらすことを強みとしているなど、地域社会や教育にソーシャルキャピタルを増やしていく活動が目立ちます。

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スタートアップ

21世紀における課題が見えてきてから創業されたという点で、タートアップがビジネスを通してソーシャルキャピタルというテーマに挑戦するチャンスも増えています。

ソーシャルキャピタルの可視化をコンセプトにしているスタートアップです。「人と組織の新しい“つながり“をつくる」ことをビジョンに掲げ、応援したい企業と、それに応えたい人をつなぐコラボレーションSNS「Spready」など複数サービスを運営しています。

「Empowering the people to connect ~人と人をつなげる」ことをミッションとして、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー関連の事業を展開しているスタートアップです。

どんな職業も「ソーシャルキャピタル」が関わる

ビジネスの中でもソーシャルキャピタルに絶大な影響を及ぼしているのは、「SNS」でしょうか。Twitter、facebook、LINE、そして昨今話題のclubhouseなどですね。

こうしたサービスは、ネットワークを広げ深め、ソーシャルキャピタルを形成するためのサービスの代表格です。

ソーシャルキャピタルに関わる課題に、事業や活動を通して取り組む事例はまだ多くないですが、働くすべての人にとってソーシャルキャピタルの蓄積と循環が重要であることは間違いありません。

これまでは所属する一つの組織だけで関係性を作ればよかったかもしれませんが、働き方改革などの時代の変化を受けて、仕事以外も含めたあらゆる関係性に価値が見出されるようになってきています。

ソーシャルキャピタルを高めるためには

積極的に色んな人とコミュニケーションをとって、人間関係を拡大させることも大切ですが、「最初からそんなに広げられるほどコミュ強じゃないよ」という方も多いと思います。

筆者が思う、大切なことは「今ある関係を大切にして、しっかり太い関係をつないでいくこと」だと思います。

どんな人にも、友達や知り合いの一人や二人はいると思いますし、そうした関係を大切にしてより太くしていくことが、やがて様々な人との関係を持てるきっかけになると思います。

ソーシャルキャピタルを増幅させる、SNSをはじめとしたサービスが世の中広がっていますが、セキュリティなどのリスクに十分気を付けた上で、自分や周囲の人々を「孤独」にしない関係性を築いていくことが重要かもしれません。

ソーシャルキャピタルを軸に事業を考えたい方など、興味のある方は、ネットや書籍などを通して是非調べてみてください!

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