最近よく耳にする「ソーシャルビジネス」。
もっと詳しく知りたいと思ってこの記事にたどり着いたのではないでしょうか?
私たちは、ソーシャルビジネスに関わる活動家100人以上にインタビューをしてきました。
実際のインタビューをもとに、ソーシャルビジネスを詳しく解説します。
この記事を読めば、ソーシャルビジネスの概要を知ることができます!
さっそくですが、解説をしていきます。
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目次
ソーシャルビジネスとは
ソーシャルビジネスとは、利益の追求だけではなく社会的な問題解決を目指す企業のことです。
社会的企業とも呼ばれることがありますが、厳密には少し意味合いが異なります。
その領域は、国際協力や教育、環境や福祉など、多岐に渡ります。
最大の特徴は、寄付金などの外部資金に頼らず自社で事業収益を上げることで持続可能な社会課題の解決を目的としている点です。
一般的な企業は利益を上げることを最優先としています。
しかし、ソーシャルビジネスは利益だけではなくビジネスで社会課題を解決することの両立を目的としています。
また、ソーシャルビジネスの定義には、様々な定義があり、統一されたものはありません。
ソーシャルビジネスの歴史
ソーシャルビジネスの歴史を解説します。
ソーシャルビジネスは、1980年代に始まったと考えられています。
当時のイギリスでは、「小さな政府」へ移行する政策を取り入れていました。
その中で、縮小する公共サービスを補完するするため、市民が様々な事業を立ち上げ、今のソーシャルビジネスの原型が生まれました。
その後、2006年にグラミン銀行の創始者ムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことで、広くソーシャルビジネスが知られるようになりました。
日本では、江戸時代から、近江商人の経営哲学のひとつとして「三方よし」が広く知られています。
三方よしとは、商売において売り手と買い手が満足するのは当然のことであり、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方です。
この考え方は、ソーシャルビジネスに近いと言われています。
様々なソーシャルビジネスの定義
ソーシャルビジネスには、様々な定義があります。
この章では、1つ1つの定義を解説します。
経済産業省のソーシャルビジネス研究会の定義
経済産業省のソーシャルビジネス研究会の定義を解説します。
・社会性
現在解決がもとめられる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること
・事業性
ミッションをビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくこと
・革新性
新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること
ユヌスの定義
グラミン銀行創設者で2006年ノーベル平和賞受賞者である、ムハマド・ユヌス博士が提唱するソーシャルビジネスの定義を紹介します。
・ユヌスソーシャルビジネスの目的は、利益の最大化ではなく、貧困、教育、環境等の社会問題を解決すること。
・ 経済的な持続可能性を実現すること。
・ 投資家は投資額までは回収し、それを上回る配当は受けないこと。
・ 投資の元本回収以降に生じた利益は、社員の福利厚生の充実やさらなるソーシャルビジネス、自社に再投資されること。
・ ジェンダーと環境へ配慮すること。
・ 雇用する社員にとってよい労働環境を保つこと。
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内閣府の定義
内閣府のソーシャルビジネスの定義
・社会的目的をもった企業。株主、オーナーのために利益の最大化を追求するのではなく、コミュニティや活動に利益を再投資する。
・深く根ざした社会的・環境的課題に革新的な方法で取り組む。
・規模や形態は様々であるが、経済的成功と社会・環境課題に対して責任を持つ。
・革新的な考えを持ち、公共サービスや政府の手法の改善を支援する。また政府のサービスが行き届かない場所でも活動する。
・企業倫理、企業の社会的責任の水準をあげる。
ロンドンの社会的企業の定義
ロンドンの社会的企業の定義を紹介します。
・営業上の利益を生み出していくことを追求する。
・雇用創出や職業訓練、あるいは地域サービスの提供等明確な社会的目的を有す
・地域住民の能力向上への貢献を含む倫理的な価値を有す
・社会的、環境的、経済的影響について社内外に説明責任を有す
・組織として自立している
・利益は、配当として関係者に分配される、もしくは社会の利益のために使用
貿易産業省中小企業局の定義
貿易産業省中小企業局のソーシャルビジネスの定義を解説します。
・日々の活動が製品、サービスの提供し、その対価として金銭を受取っている
・25%以上の資金を企業活動から獲得
・社会的・環境的な課題解決を追求することを目的とした企業
・企業活動で得た利益を社会的・環境的な課題解決のために再投資
ソーシャルビジネスとビジネスの違い
ソーシャルビジネスとビジネスの大きな違いは「目的」にあります。
どんなビジネスも、基本的には社会課題を解決しています。
しかし、一般的な企業は利益を上げることを最優先の目的としていますが、ソーシャルビジネスは利益だけではなくビジネスで社会課題を解決することの両立を目的としています。
ソーシャルビジネスとCSVの違い
CSVとは、Creating Shared Valueの頭文字を取ったもので、「共有価値の創造」を意味しています。
CSVは、企業の売上をあげる「経済的価値」と社会課題を解決する「社会的価値」を両立させる経営戦略のフレームワークです。
ソーシャルビジネスにはいくつか定義があるため、ここではユヌス・ソーシャル・ビジネスの定義とします。
CSVは、経済的価値と社会的価値の両立に優先順位がありません。
しかし、ユヌスのソーシャルビジネスの定義では、利益の最大化ではなく社会課題の解決がビジネスの目的となっています。
つまり、CSVとソーシャルビジネスの違いは社会的価値の比重にあります。
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ソーシャルビジネスの企業を紹介
株式会社ボーダレスジャパン
「ソーシャルビジネスで世界を変える」ことを目指し、社会起業家が集うプラットフォームカンパニーとして2007年3月設立。
貧困・環境問題など多様な社会問題を解決するため、国内外を問わず、30以上のソーシャルビジネスを展開しています。偏見のない世界を作る多国籍コミュニティハウス「ボーダレスハウス」やオーガニックハーブで貧困農家の収入をアップする「AMOMA natural care」、バングラデシュに雇用を作るビジネス革製品「ビジネスレザーファクトリー」など多くの社会的事業を創出しています。
ボーダレスグループの社会起業家のインタビュー記事
無国籍問題に、ソーシャルビジネスで挑む〜アノテーションサポート株式会社 白石達郎〜
株式会社マザーハウス
株式会社マザーハウスは、2006年にバングラデシュで設立されました。
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、途上国にある素材や職人の可能性に光を当てたモノ作りを行う企業です。
現在の生産国はバングラデシュ、ネパール、インドネシア、スリランカ、インド、ミャンマーの計6か国。
各国の素材や文化を活かした付加価値の高いものづくりを続けています。
マザーハウスで働く方のインタビュー記事
【株式会社マザーハウス 内定者】新卒で国際協力を仕事にするためには○○が大切~稲葉汐美~
株式会社ユーグレナ
株式会社ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功しました。
ユーグレナなどを活用した機能性食品や化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究などを行っています。
また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大しました。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開しています。
ユーグレナで働く方のインタビュー記事
【株式会社ユーグレナ 】人が成長し続けられる社会を軸にした就活とは~喜多倫久~
株式会社LIFULL
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。
現在は、グループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、主要サービスである不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」などの事業を展開しています。
この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
LIFULLで働く方のインタビュー記事
【株式会社LIFULL 内定者】社会貢献が仕事になる社会を創るために~吉田宏輝~
認定NPO法人フローレンス
認定NPO法人フローレンスは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団です。
2004年に設立されたフローレンスは、子どもが病気になった時でも預けられる訪問保育として、病児保育事業をはじめました。
現在では、「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」など、常識や固定概念にとらわれない新たな価値を創造しています。
フローレンスで働く方のインタビュー記事
ソーシャル・ベンチャーで働く楽しさとは?~認定NPO法人フローレンス 山﨑剛~
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ソーシャルビジネスの企業に就職をする3つのポイント
ソーシャルビジネスの企業に就職をする3つのポイントを紹介します。
より深い軸を設定する
ソーシャルビジネスを軸にするのは悪いことではありません。
しかし、面接やESで就活の軸をソーシャルビジネスに取り組む企業で働きたいと言ってしまうと、良い評価を得ることは難しいです。
あなたは社会を良くするためどんな行動を取りたいのか、より具体的な言葉で表現をしましょう。
そのため、ソーシャルビジネスを軸にしていたとしても、面接やESでソーシャルビジネスという言葉を使うことは避けたほうがよいです。
ボランティアとビジネスの違いを理解する
企業はボランティアとは違い、売上を上げ続けなければいけません。
根本的にボランティアとビジネスには違いがあり、その点を理解したうえで就活をしましょう。
社会問題に対する想いは大切ですが、同時にビジネスの大切さも理解する必要があります。
なぜその課題に取り組みたいのかストーリーを創る
なぜその課題に取り組みたいのかストーリーを通して伝えることが大切です。
あなたの原体験や取り組みたいと思ったきっかけ、過去にその課題に対してどのようなアクションを取って何を学び何を感じたのか。筋の通ったストーリーを言語化しましょう。
また、原体験やきっかけ、過去の取り組みが全くない場合は、ソーシャルビジネスを軸に就活することは少し難しくなります。
まずは、ボランティアや副業として、興味のある社会課題にかかわってみることもオススメです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
ソーシャルビジネスとは、社会的企業とも呼ばれており、営利の追求だけではなく社会的な問題解決を目指す企業のことです。
SDGsなどの潮流で、さらに注目を集めていくでしょう。
COCOCOLOREARTHでは、様々な社会活動家のインタビュー記事を掲載しています。
この機会にぜひご覧ください。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。