海に流れ着いたプラスチックゴミは、今や世界規模で問題となっています。

このまま放置しておくと、海洋の生態系を壊してしまう懸念や、漁業や観光業への損失問題もあげられています。

そこで、本記事では、海洋プラスチック問題点と私たちができることについて解説します。

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海洋プラスチック問題とは

海洋プラスチック問題とは、地球規模で広がっているプラスチックによる海洋汚染の問題です。

私たちが普段使っているビニール袋やペットボトルなどは、気軽にポイ捨てされたり、きちんと処理されないことで、河川などを通り最終的には海のゴミとなります。

このまま放置しておくと、海洋の生態系を壊してしまい、私たちの生活にも影響をもたらすかもしれません。

海洋プラスチックの現状

今や世界中で問題となっている海洋プラスチックゴミの量は、合計1億5,000万トン以上で年間で約800万トンが新たに流出していると推定されています。

海に漂うプラスチックゴミは、海洋環境への影響も懸念されており、特に海洋中の「マイクロプラスチック」は、生態系に及ぼす影響が大きいと言われています。


海洋プラスチックの原因とその問題点

では、海洋プラスチックの問題点について具体的に確認していきましょう。

海洋プラスチックの主な問題は、以下の3点です。

  • 海の生態系に与える影響
  • 漁業への影響
  • 観光への影響

海の生態系に与える影響

海洋プラスチックゴミは、魚や海の生物の体内に入った場合、消化されずに死に至る事例もあります。

例えば、マイクロプラスチックは、プランクトンが飲み込めるほどの微粒子であるため、プランクトンを食べる魚や生物の体内に蓄積されていきます。

有害物質を含むマイクロプラスチックを摂取した魚を人間が食べた場合、健康被害となる可能性も懸念されています。

ただし、人間への健康被害については、学術的に解明されていない部分が多く、現状は研究の段階となっています。

参考:日本財団【増え続ける海洋ごみ】マイクロプラスチックが人体に与える影響は?東京大学教授に問う

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漁業への影響

流出した海洋プラスチックゴミは、船の障害物となり、漁業関係者に損害を与える原因となっています。

また、海洋プラスチックを食べた魚は良くない等の風評被害が蔓延することも懸念されています。

他にも、海洋プラスチックゴミの主な発生源の一部は、漁業で使用する漁具も含まれるという指摘もあり、漁具の所有者を巡って、海を超えた国際的な議論になっている一面もあります。

参考:水産庁 漁業におけるプラスチック資源循環問題に対する今後の取組

観光への影響

海洋プラスチックゴミによって、私たちがイメージしている綺麗な海の景色は、汚染されていく方向性となっています。

海水浴やダイビングなどで遊びにくる観光客が、プラスチックで汚染された海に魅力を感じず離れていくことが懸念され、ゴミによる景観の悪化は、観光業界にとって集客に関わる大きな問題となっています。


世界で進む海洋プラスチック問題の現状

海洋プラスチックの問題は、海を介して海外まで及ぶ被害となっています。

外国製のプラスチックゴミが日本に大量に流れている事例もあり、日本国内だけで処理する課題ではなく、世界規模の問題として対策が必要となっています。

いまや、世界の海に漂う海洋プラスチックゴミは、1億5,000万トンにまで達し、このまま放っておくと、2050年には魚よりプラスチックゴミの方が多くなると予測されています。


海洋プラスチックに対する日本の政策と取り組み

海洋プラスチック問題に関する日本国内の動向については、「海岸漂着物処理推進法改正  /2018.6.15成立」「第4次循環型社会形成推進基本計画/2018.6.19閣議決定」「海岸漂着物等地域対策推進事業/2018年」などが推進されています。

また、2022年4月より「プラスチック資源循環促進法」がスタートしています。

「プラスチック資源循環促進法」は、プラスチック製品の設計から販売、廃棄物の処理への流れの中で、プラスチック資源循環【3R+Renewable】の促進を行う取り組みです。

【3R+Renewable】

  • 3R:Reduce=リデュース:ごみの発生を減らすこと

   Reuse=リユース:繰り返し使うこと

   Recycle=リサイクル: 資源として再利用すること

   Renewable=リニューアブル:再生可能資源に替えること

参考:環境省・海洋プラスチック問題について

リサイクル(3R)とは?例を用いて意味をわかりやすく解説!
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マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下の微細なプラスチックゴミの総称です。

海に漂着したプラスチックゴミは、波や砂、強い紫外線にさらされても自然分解することはなく、いつまでも細かいプラスチックゴミとして海洋中に残留することになります。

マイクロプラスチックは、発生源の違いによって以下の2つに分類されます。

  • 一次マイクロプラスチック
  • 二次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチックとは、洗顔料や歯磨きなどの原料となる小さなプラスチックの粒子です。他にも、プラスチックの合成繊維を使った服や、プラスチック製品の原料に使うレジンペレットなども一次マイクロプラスチックです。

一次マイクロプラスチックは、細かいので下水処理場のろ過装置をすり抜けてしまうため、そのまま流れて海のゴミとなっています。

また、海洋中から回収するのは難しく、製品化された後の処理も課題となっています。

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチックとは、海に漂着したビニール袋やプラスチック容器などが、風や雨、波、太陽光など外的要因で劣化して細かくなったプラスチックです。

二次マイクロプラスチックは、もともと大きなサイズで製造されたプラスチックなので、ゴミ処理の過程で適切な対応をすれば、ある程度抑制できると言われています。

参考:WWFジャパン:海洋プラスチック問題について


海洋プラスチック問題の解決に取り組む企業

海洋プラスチック問題に取り組む企業を紹介します。

株式会社カネカ

https://www.kaneka.co.jp/solutions/phbh/

株式会社カネカは、人と、技術の創造的融合により未来を切り開く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献する企業です。

100%バイオマス由来で、海水中でも生分解されるカネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®を開発しています。

バイオプラスチックは、自然界に存在する多くの微生物により生分解され、最終的には二酸化炭素と水になります。

株式会社SUSTAINABLE JAPAN

https://www.sustainablejapan.org/

株式会社SUSTAINABLE JAPAN(サステナブルジャパン)は海洋ゴミ問題、マイクロプラスチック問題解決に向け取り組み行う企業です。

海洋浮遊ゴミ回収機SEABIN(シービン)を導入し、海洋プラスチックの回収を行っています。

株式会社ピリカ

https://corp.pirika.org/

株式会社ピリカは、ごみ拾い促進プラットフォームの運営やごみ分布調査サービスなどを提供する企業です。

2011年に京都大学の研究室から生まれ、「科学技術の力であらゆる環境問題を克服する」というビジョンを掲げています。

ごみ拾い促進プラットフォームでは、ポイ捨てごみ問題の解決に向けてサービスを運営し、これまで2億以上のごみが拾われています。

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海洋プラスチック問題に対して私たちができること

では、わたしたちに何ができるのでしょうか?

私たちにできる海洋プラスチック問題の解決策をご紹介します。

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ゴミ処理の改善

家庭ゴミの処理についてもう一度見直していきましょう。

まずは、ゴミの出し方のルールにしたがって分別して出すことや、出かけた時にゴミをポイ捨てするなどは控えましょう。

また、ゴミを出す際は、リサイクルできる物やもう一度使えそうな物は再利用する習慣をつけることをおすすめします。

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普段の生活習慣の改善

スーパーに買い物に行く際は、なるべくレジ袋を使わずマイバックを利用することや、外出する時はマイボトルを携帯してペットボトルを買う頻度を少なくするなど、日頃の生活で気軽にできることから始めましょう。

また、プラスチック素材でできた物は、使い捨てできるので簡単ですが、できるだけ使わない習慣を身に付けるようにしましょう。

例えば、過剰包装やテイクアウトに使うプラスチック容器等は、工夫して使わないようにすることもできます。

環境問題を知ること

ゴミ処理のルールを徹底することや普段の生活習慣を見直すためには、私たちの周りで起こっている環境問題について興味を持つことが大切です。

海洋プラスチック問題についてネット上で調べたり、実際に海に漂着したゴミを清掃する活動を行うなど、できることから始めるのも良いでしょう。

私たちの生活を便利にしてくれるプラスチックですが、綺麗な海の環境を維持するためにも身近にできることから始めていきましょう。

参考:政府広報オンライン:海のプラスチックごみを減らし きれいな海と生き物を守る! ~「プラスチック・スマート」キャンペーン~

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