水族館のアイドルとして人気の高いラッコですが、近い将来水族館で見られなくなってしまう可能性があることをご存じですか?

本記事では、絶滅危惧種であるラッコの個体数が減少している理由や国内でラッコを見ることのできる水族館などについて詳しく解説します。

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ラッコは絶滅危惧種で、現在の国内飼育数は3匹

可愛らしい見た目から日本でも人気の高いラッコですが、実は絶滅危惧種に認定されており、国内飼育数はなんと3匹だけなのです。

ラッコは日本だけでなく世界的に見ても個体数が減少しており、2020年には国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に認定され、レッドリストに登録されています。

また、日本で飼育されているラッコについては高齢化によって繁殖することができないため、日本でラッコを増やすのは現状不可能です。

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ラッコの個体数が減少している理由

日本で巻き起こった”ラッコブーム”により、国内の動物園にはピーク時で144匹のラッコが飼育されていました。

そもそも、日本の動物園で飼育されているラッコの多くはアメリカからの輸入となっています。

しかし、人間によるラッコの乱獲や1994年にラッコが生息するアラスカ沖で発生したタンカー事故による個体数の減少したことをきっかけに、1998年からラッコの輸出を禁止したのです。

よって、ラッコの個体数を増やすためには国内での繁殖に成功させる必要がありました。

ラッコが高齢化するにつれて交尾意欲が薄れたことや、3匹のラッコは同じ親から生まれたことから交尾が難しく、徐々に個体数を減らしていったのです。

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ラッコを保護するための取り組み

ここでは、ラッコを保護するための国内外の取り組みについて詳しく解説します。

ラッコの体調に合わせた飼育をする

先ほどもお伝えしたとおり、日本国内のラッコは繁殖することがほぼ不可能であるため、長生きするように飼育するしかありません。

とはいえ、ラッコの寿命は20歳前後と言われており、国内のラッコはあと数年で寿命が迫るため、食欲不振や皮下脂肪の減少など、さまざまな問題が生じています。

マリンワールド海の中道では、魚を食べるのが苦手なりろに栄養価の高いサケを食べてもらうために特製の餌を作ったり、カラダに直接触れることでの健康チェックなど、さまざまな取り組みを行っています。

野生のラッコのトラブルを解決する

アメリカ・カリフォルニア州のモントレーベイ水族館では「ラッコ調査保護期間(SORAC)」を設置しており、野生のラッコのトラブルを解決するための行動をしています。

野生のラッコは、怪我をして海岸に打ち上げられたり、親とはぐれてしまうなど、さまざまなトラブルが発生し、そのトラブルを放置するとラッコは死亡してしまう可能性が高いのです。


日本でラッコが見られる水族館

日本でラッコが見られる水族館は以下の通りです。

・鳥羽水族館【三重県鳥羽市】
・マリンワールド海の中道【福岡県福岡市】

それぞれの水族館のラッコについて、以下で詳しく解説します。

鳥羽水族館【三重県鳥羽市】

鳥羽水族館ではメイとキラという2匹のアラスカラッコを飼育しており、水族館のアイドルとして大人気です。

1日3回ほどパフォーマンスを披露する時間があり、名物企画としてSNS上でも話題となっています。

HP:鳥羽水族館

マリンワールド海の中道【福岡県福岡市】

マリンワールド海の中道ではリロというアラスカラッコが飼育されています。

2023年には16歳を迎え、人間でいうと60歳を超える高齢ですが、2022年のサッカーW杯の勝敗予想や可愛らしい決めポーズをすることから、こちらも水族館のアイドルとして多くの人を集めています。

HP:マリンワールド

ラッコを守るために私たちができること

ラッコを守るために私たちができることは、ラッコの生態を知ることです。

哺乳類を専門的に研究し、現在は北海道でラッコについて研究してる京都大学野生生物センターの三谷曜子教授によると、

「”まず、”かわいい”と思うところからで良いんです。そのかわいい動物たちがどんな生息地にすんでいて、どんな問題を抱えているのか、ちょっと深くまで知っていくことが、生物多様性を守ることにつながっていくはずです”」

と発言しています。

参照:BUSINESS INSIDER JAPAN「最も「絶滅危険性」が高い? ラッコにまつわる衝撃の事実」

また、北海道浜中町の霧多布岬では数匹のラッコが見られるスポットとして人気がありますが、無理に近づいたり、大きな声を出してストレスを与えないなど、当たり前のことから始めることがラッコを守ることに繋がるのです。

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まとめ

本記事では、絶滅危惧種であるラッコの個体数が減少している理由や国内でラッコを見ることのできる水族館などについて詳しく解説しました。

水族館でも人気の高いラッコですが、このままでは近い将来水族館でラッコを見れなくなってしまいます。

幸いなことに北海道東部沿岸では野生のラッコが観測されているため、個体数を増やしていければ水族館でも飼育できる可能性はあります。

とはいえ、ラッコの生態系は非常に厳しい状況にあることは間違いありません。

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