この記事のまとめ
識字率とは、ある地域で文字の読み書きができる人の割合(15歳以上の成人比率)。世界平均は15〜24歳で男子93%・女子91%(UNICEF2023)だが、サハラ以南アフリカなど途上国では50%を下回る国もある。識字率の低さは職業選択の制限・公共サービスへの障壁・生命の危険など深刻な問題をもたらす。
「bahaya masuk」
どのような意味でしょうか?(英語ではありませんよ!)
これは、インドネシア語で「入るな、危険」という意味です。
もしこれが、観光地の中に立っていたら「何かの説明書きだろう」と思うでしょう。
これが、「識字能力がない怖さ」です。
この記事では、識字率とは何を指すのか、また、識字が出来ないことでどのような問題が起こるのか、識字問題を抱える国の具体的な様子を含めながらお伝えします。
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識字率とは
識字率とは、ある特定の地域で、文字の理解や読み書きができる人の割合のことを指します。
識字率は、教育レベルや社会の発展度を示す重要な指標の一つとされており、識字率の高さは教育水準や経済発展を反映していると考えられます。
識字率の定義
UNESCOは、「総成人人口(15歳以上)に対する推定成人識字者の割合を百分率で表したもの」としています。
例えば、15歳以上の人が10人おり、そのうち8人が識字者であれば、識字率は80%になります。
*識字者:日常生活で用いられる簡単で短い文章を理解し、読み書きができる人。
| 機関 | 対象 | 定義 |
|---|---|---|
| UNESCO | 15歳以上の成人 | 日常的な短文を理解・読み書きできる人の割合 |
| UNICEF | 15〜24歳の若者 | 簡単な文を読み書きできる若者の割合 |
日本の識字率
日本の識字率はほぼ100%であり、ほとんどの人が読み書きできます。
100%ではない背景には、戦時中・戦後に子ども時代を過ごした人の中に読み書きの教育を受けられなかった人々がいるからです。
また、近年の日本では、文字自体を読むことはできても、文章の意味や内容を理解できない状態である機能的非識字が増えている現状があります。
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世界の識字率
UNICEFが発表した「世界子供白書2023」によれば、若者(15〜24歳)の識字率は世界平均で男子が93%、女子が91%です。
しかし、人数で見てみると、読み書きのできない子どもが未だ100万人以上います。
特に途上国での識字率が低く、国別・ジェンダー間でも大きなギャップが生まれています。2018年の統計では、読み書き能力を持たない成人のうち63%が女性とされています。
識字率の低い国ランキング
識字率の低い国ランキングを紹介します。
| 識字率の低い国ランキング | |||
|---|---|---|---|
| 順位 | 国名 | 男 | 女 |
| 1 | 中央アフリカ共和国 | 48% | 29% |
| 1 | 南スーダン | 48% | 47% |
| 3 | ニジェール | 51% | 36% |
| 4 | マリ | 55% | 38% |
| 5 | ブルキナファソ | 64% | 54% |
※世界子供白書2023のデータよりランキングを作成しています。
識字率が低い5つの原因・理由
- 学べる場所がない
- 紛争による影響
- 貧しい家庭環境
- 教育資金の不足
- 「女の子は学校に行く必要がない」という認識の存在
学べる場所がない
農村部や貧困地域の場合、学校が通える範囲にない場合があります。例えば、アフリカの子どもの場合、4人に1人が最も近い学校から2キロ以上離れているとされています。
紛争による影響
紛争が起きると、学校が破壊されたり、避難を求められたりします。紛争で少年兵になった子どもは、読み書き教育を受けるべき期間を逃し、それ以降に学べる機会がなくなります。
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貧しい家庭環境
家計を助けるため、学校に行くよりも外で働くことが優先されます。2021年6月のUNICEF・ILO調査によると、児童労働をしている子どもは1億6千万人に達しています。
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教育資金の不足
アフリカ10か国では、富裕層に対して貧困層の4倍もの教育資金が割り当てられています。「読み書きが最も定着する」就学前教育への資金も不足しており、識字率向上が困難な状況です。
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「女の子は学校に行く必要がない」という認識の存在
「勉強は家事をするのに役立たないから、女子は学校に通っても意味がない」という考え方が存在します。特にアフリカでは根強く残っており、サハラ以南では約6割の女の子が高等教育を受けられていません。
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識字率の低さにより起こりうる問題
- 将来の選択肢が狭まる
- 公共サービスを十分に受けられない
- 暮らしの危機に対応できない
将来の選択肢が狭まる
読み書きができなければ、得られる職業が限られます。どんな職業でも、マニュアルを読む・メールを書くなど、仕事を進める上で文字の読み書きが必要です。読み書きができない場合、指示された通りに動く仕事がほとんどになり、給与も低いことが多いです。
公共サービスを十分に受けられない
公共サービスに関する情報を十分に読み取れないため、子どもの予防接種情報が得られなかったり、書類が書けず公共サービスを受けられないケースがあります。
暮らしの危機に対応できない
「地雷」「危険」などの注意書きが読めず、危険なエリアに立ち入る可能性があります。実際に読み書きに課題を抱える女性から「バスの表示が読めず病院に行けない」「薬のビンがわからない」といった問題が報告されています。
識字率向上に向けた取り組み
世界寺子屋運動
日本ユネスコ協会連盟が行う、日々の生活で必要な基礎教育を提供する活動です。ネパールやアフガニスタンといった開発途上国で行われ、学校の役割だけでなく地域コミュニティ形成にも貢献しています。
みんなの学校プロジェクト
学校の学習環境改善のために、JICAが2004年から始めた学校運営プロジェクトです。2021年現在、アフリカ8カ国・5万3000校の小中学校に拡大しています。
識字率向上に取り組む企業
株式会社グッドラック・コーポレーション
教育を受けられない人に「学ぶ」機会を提供するため、国際NGO団体との協力により開発途上国に図書館(愛称:GOOD LUCK library)を設置するプロジェクトを行っています。
大日本印刷株式会社
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が主催する「絵本を届ける運動」に参加しています。2017年までに、1万5千冊以上の絵本が子どもたちに送られています。
大塚倉庫株式会社
NPO法人ルーム・トゥ・リードが進める途上国における識字率向上と女子教育の取り組みを支援しています。社員が現地に足を運んで支援するなど、会社全体で取り組んでいます。
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識字率の問題に対して、あなたにできること
継続的な寄付
寄付によって、教育費不足で学校に行けない子どもたちの支援ができます。具体的には、日本ユニセフ協会やNPO法人のサイトを通じて行うことができます。
ボランティア
教育援助の資金を集めるために、日本で募金活動をすることが有効です。また、現地で先生の不足している地域で「教える」ボランティアをすることも、貢献できる形の一つです。
まとめ
日本に住む私たちにとって、識字率問題は身近に感じづらいものです。しかし、世界には読み書きができないことで生活に困難を抱えている人がいます。
識字率問題の根本には、国の体制や文化的背景があります。日本からの支援にも様々な形があります。まずはこの記事で現状を知り、できることから一歩を踏み出してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 識字率とは何ですか?
A. 識字率とは、ある地域で文字の読み書きができる人の割合のことです。UNESCOの定義では「15歳以上の成人人口に対する識字者の割合(百分率)」とされています。識字者とは、日常生活で用いられる簡単な文章を理解し、読み書きができる人を指します。
Q. 日本の識字率はなぜほぼ100%なのですか?
A. 日本では明治時代以降、義務教育制度が整備され、ほぼ全国民が読み書きを習得できる環境が整ったためです。ただし100%ではない背景には、戦時中・戦後に教育を受けられなかった世代が存在することや、文字を読めても内容を理解できない「機能的非識字」の問題があります。
Q. 識字率を上げるためにどんな活動がありますか?
A. 主な取り組みとして、UNESCOが推進する「世界寺子屋運動」、JICAが展開する「みんなの学校プロジェクト」などがあります。日本からは、寄付(日本ユニセフ協会、e-Educationなど)や現地でのボランティア活動で支援することができます。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
