2025年度、全国で活動した集落支援員は、専任が3,270人、自治会長などとの兼任が3,145人でした(参考:総務省)。
専任の人数は、2009年度の449人から7倍以上に増えています(参考:総務省「平成21年度の取り組み状況等」)。
2025年度の専任の集落支援員のうち、約9割は、もともと暮らしていた自治体で活動しています。
「地元の役に立つ仕事がしたい。でも、集落支援員が実際に何をするのか、地域おこし協力隊と何が違うのかがよくわからない」。
そう感じている人は少なくないはずです。
制度の名前は聞いたことがあっても、給料や任期、応募の方法まではイメージしにくいですよね。
ここでは、集落支援員の仕事内容と報酬・身分・任期、地域おこし協力隊との違いを、総務省の資料をもとに紹介します。
募集の探し方や、集落支援員の経験を生かせるその後のキャリアもあわせてまとめました。
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集落支援員とは
集落支援員とは、自治体から委嘱を受け、市町村の職員と連携しながら集落を見て回り、暮らしの状況や課題を把握する人のことです。
総務省は、集落支援員を集落の「目配り」役と位置づけています(参考:総務省)。
制度は、2008年4月に総務省の過疎問題懇談会が出した提言をきっかけに生まれました。
集落支援員を置くかどうか、何人置くかは、それぞれの自治体が決めます。
国は、集落支援員を置いた自治体に対して、特別交付税という形で費用を支援しています。
専任と兼任
集落支援員には、仕事として集落支援員の活動に専念する「専任」と、自治会長などの役割と兼ねる「兼任」があります。
2025年度の専任は3,270人で、6県と458市町村が設置していました(参考:総務省「令和7年度 集落支援員の活動状況について」)。
全国1,718市町村のうち、専任の集落支援員がいる市町村は4分の1ほどです。
都道府県別では、島根県の314人が最も多く、長野県の249人、三重県の236人が続きます。
兼任は3,145人で、1県と154市町村が設置していました。
どんな人が集落支援員になっているか
専任の集落支援員は、男性1,686人、女性1,594人とほぼ同数です(特別交付税の対象外の人も含む集計)。
年代は60代が34.5%で最も多いものの、50代以下を合わせると半分を超えます。
10〜20代も140人いて、若い世代が担う例もあります。
委嘱される前の職業は、会社員が26.1%で最も多く、嘱託・臨時的任用職員、公務員が続きます。
一方で、兼任は男性が約8割を占め、4分の3が60代以上です。
兼任の約6割は、町内会長や自治会の役員など、地域の役職についている人です。
集落支援員が必要とされる背景
集落支援員が置かれる背景には、人口減少と高齢化で、集落が自分たちの暮らしを支える力を保ちにくくなっていることがあります。
総務省の推進要綱は、過疎地域などの集落で、助け合いの力の低下や身近な交通手段の不足が重大な問題になっていると指摘しています。
空き家や耕作放棄地の増加、森林の荒廃も挙げられています(参考:総務省「過疎地域等における集落対策の推進要綱」)。
住民の半数以上が65歳以上になった限界集落のように、集落の行事や共同作業を続けること自体が難しくなっている地域もあります。
こうした課題に向き合うには、集落の住民が問題を自分たちのこととして捉え、自治体がその状況に目を配ることが大切です。
ただ、市町村の職員だけで、すべての集落の暮らしぶりを細かく知るのは簡単ではありません。
そこで、地域の事情をよく知る人を集落支援員として委嘱し、住民と行政の間をつなぐ役割を担ってもらう仕組みが生まれました。
集落支援員の仕事内容
集落支援員の仕事の中心は、集落点検と、集落のこれからについての話し合いを促すことです。
この2つは、総務省の資料で「必須業務」とされています(参考:総務省)。
集落点検
集落点検とは、集落を巡りながら、暮らしの状況や地域の資源を調べ、わかりやすく整理する活動です。
調べる項目には、人口や世帯の動き、医療・福祉サービスの利用状況、買い物の便などの生活環境があります。
清掃活動や雪かきでの支え合いの様子、農地や山林、公共施設の管理状況も確かめます。
集落の有形・無形の資源や、ほかの集落と協力できる可能性も点検の対象です。
点検は、市町村の職員と協力し、住民と一緒に行います。
話し合いの促進
集落点検でわかったことをもとに、住民どうし、住民と市町村の間で、集落の現状や課題、目指す姿を話し合う場をつくります。
2017年の過疎問題懇談会の提言は、こうした話し合いの場づくりが必要だとしています。
話し合うのは「地域がどうあってほしいか」だけでなく、「そのために何ができるか」までです(参考:総務省「過疎地域等における集落対策のあり方についての提言」)。
集落支援員は、1人で複数の集落を担当することで、集落を横断した視点から助言することもできます。
地域運営組織などのサポート
話し合いを通じて必要になった取り組みを、実行の段階で支えることも集落支援員の仕事です。
地域運営組織とは、住民や地域の団体が集まり、地域の課題を自分たちで解決していくための組織です。
推進要綱では、集落支援員が地域運営組織の事務局を担う中核的な人材になることや、移住者を地域に受け入れる仲介役になることも想定されています。
支える取り組みには、たとえば次のようなものがあります。
- デマンド交通など地域の交通の確保
- 都市から地方への移住・交流の推進
- 特産品を生かした地域おこし
- 高齢者の見守り
- 伝統文化の継承
実際の活動例として、新潟県糸魚川市では、地区ごとに市の職員と集落支援員がペアで配置されています(参考:総務省「令和7年度 集落支援員の活動状況について」)。
集落支援員は「集落カルテ」をつくり、聞き取った課題を担当職員と共有しています。
兵庫県朝来市では、元市役所職員の集落支援員が、小学校区ごとに置かれた地域自治協議会の事務局を担っています。
高知県室戸市では、地域訪問で住民の安否確認や避難場所の巡回を行い、地域カフェや通信の発行で住民どうしの情報共有を支えている例もあります。
集落支援員の報酬・身分・任期
集落支援員の報酬や身分、任期は、国が一律に決めているわけではなく、委嘱する自治体ごとに異なります。
ここでは、制度の決まりと募集の実例から、目安をつかんでいきましょう。
身分は会計年度任用職員か委託
推進要綱では、委嘱の方法として、会計年度任用職員としての任用か、委託契約が想定されています(参考:総務省「過疎地域等における集落対策の推進要綱」)。
会計年度任用職員は、1年度ごとに任用される非常勤の地方公務員です。
自治会長などが兼任する場合は、委嘱状を渡す形で委嘱することもあります。
500万円は本人の給料ではない
集落支援員について調べると、「500万円」という数字を目にすることがあります。
これは、国が自治体に出す特別交付税の、専任の集落支援員1人あたりの上限額です。
本人の年収や給料の額ではありません。
この上限額には、集落支援員の報酬に加えて、集落点検や話し合いの運営費、活動のための旅費や道具代、研修の費用なども含まれます。
兼任の場合の上限は40万円です。
ただし、活動時間を週15時間30分以上と設置要綱などで定めて委嘱した兼任は、上限が専任と同じ500万円です(参考:総務省「過疎地域等における集落対策の推進要綱」)。
報酬は自治体ごとに決まる
実際の報酬は、各自治体の募集要項で示されます。
たとえば静岡市は、梅ケ島地区の集落支援員を、2026年4月採用の会計年度任用職員として募集しました(参考:静岡市)。
勤務は週30時間(1日6時間×週5日)で、報酬月額は職務経験に応じて166,700円〜180,800円の予定でした。
期末手当や勤勉手当、通勤の費用弁償なども、市の条例に基づいて支給されます。
事前の届出をすれば、兼業も認められていました。
これは静岡市の1件の募集の条件で、全国の相場を示すものではありません。
勤務時間や報酬は自治体ごとに異なるため、応募するときは必ずその自治体の募集要項を確かめましょう。
本業を続けながら地域に関わる方法は、社会課題解決×副業のキャリアの記事でも紹介しています。
任期は自治体ごとに異なる
推進要綱では、委嘱の期間や名称は、地域の実情に合わせて柔軟に決めてよいとされています。
会計年度任用職員として任用される場合、任期は1年度ごとです。
静岡市の例では、任用期間は2026年4月1日から2027年3月31日までで、勤務成績が良ければ再度任用される場合があり、最長で5会計年度とされていました。
地域おこし協力隊との違い
集落支援員とよく比べられるのが、同じ総務省の制度である地域おこし協力隊です。
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などに住民票を移し、地域おこしの支援や農林水産業などの活動をしながら、その地域への定住を目指す制度です(参考:総務省)。
2025年度の隊員数は8,196人でした(参考:総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」)。
制度の仕組みや任期後のキャリアは、地域おこし協力隊とはの記事で詳しく紹介しています。
| 項目 | 集落支援員 | 地域おこし協力隊 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 集落の巡回・状況把握と、住民の話し合いの促進 | 地域おこしの支援、農林水産業への従事、住民の生活支援など |
| 移住の要件 | なし | 都市地域から過疎地域などへ住民票を移す |
| 主な担い手 | 地域の実情に詳しい地元の人材。専任の約9割がもともと暮らしていた自治体で活動 | 都市地域から移り住む人 |
| 期間 | 自治体が地域の実情に応じて決める | おおむね1〜3年 |
| 2025年度の人数 | 専任3,270人、兼任3,145人 | 8,196人 |
大きな違いは、移住の要件があるかどうかです。
集落支援員には移住の要件がなく、推進要綱では、行政経験者や農業関係の仕事の経験者、NPO関係者など、地域の事情に詳しい身近な人材を生かすことが望ましいとされています。
その中には「元地域おこし協力隊員」も含まれます。
実際、2025年度の専任の集落支援員のうち188人(5.7%)は、委嘱される前に地域おこし協力隊として活動していました。
山形県酒田市では、協力隊員のころから地域の話し合いに参加していた人が、協力隊のあとに集落支援員として活動しています。
協力隊として地域に入り、そのまま暮らし続ける人にとって、集落支援員は次の働き方の選択肢になりえます。
集落支援員になるには
集落支援員になるには、集落支援員を置いている自治体の募集に応募し、委嘱を受ける必要があります。
国がまとめて募集する仕組みではないため、自分で自治体の情報を探すところから始まります。
募集の探し方
まず、住んでいる市町村や、関わりたい地域の自治体のウェブサイトで「集落支援員」と検索してみましょう。
会計年度任用職員として募集される場合は、職員採用や非常勤職員の募集のページに載っていることもあります。
募集ページには担当課と問い合わせ先が書かれているので、わからない点は直接たずねてみましょう。
2025年度の都道府県別の人数や、専任の集落支援員がいる市町村は、総務省の設置状況の資料で確認できます(参考:総務省「都道府県別の集落支援員の人数・設置団体数」)。
静岡市の例では、1月下旬から2月中旬に申込みを受け付け、3月に面接、4月1日に採用という流れでした。
このように、4月採用の募集が年明けに出る例もあるため、気になる自治体の情報は早めに確認しておきましょう。
応募の条件は自治体ごとに異なり、担当地域で活動できることや、普通自動車運転免許を持っていて山間地を運転できることが求められた例もあります。
生かせる経験
集落支援員の仕事では、住民の話をじっくり聞き、行政とも協力しながら、話し合いを前に進める力が求められます。
委嘱される前の職業を見ると、会社員や公務員のほか、農協などの団体職員、自営業、パート・アルバイトの人も活動しています。
たとえば、次のような経験は集落支援員の仕事に生かせます。
- 地域の行事やボランティアの運営に関わった経験
- 自治体や団体での事務、調整の経験
- 聞き取りやアンケートなどで、人の声を集めて整理した経験
- 農業や福祉、交通など、集落の暮らしに関わる分野の仕事の経験
学生のうちに地域の活動に関わった経験をどう伝えるかは、社会課題解決キャリアに活かせる経験の作り方と伝え方の記事が参考になります。
集落支援員の経験を生かせるキャリア
集落支援員として働いた経験は、地域と行政の間に立つ仕事や、人と向き合う現場の仕事につながります。
ここでは、4つのパターンを紹介します。
地域運営組織の中核を担う
地域運営組織の中核を担う働き方は、集落支援員として関わった地域で、住民主体の取り組みを続けていく道です。
推進要綱でも、集落支援員が地域運営組織の事務局機能を担う中核的な人材になることが想定されています。
集落点検や話し合いで築いた住民との関係が、そのまま事業を回す力になります。
自治体職員として地域づくりに関わる
自治体職員として地域づくりに関わる働き方は、集落支援員として見てきた現場の課題を、行政の施策づくりの側から動かす道です。
集落支援員は市町村の職員と連携して働くため、行政の仕事の進め方を身近に知ることができます。
入り口は各自治体の職員採用試験で、社会人経験者の採用枠を設けている自治体もあります。
行政で社会課題に関わる働き方の全体像は、政府機関で社会課題解決に関わるキャリアの記事で紹介しています。
地域の現場で人と向き合う仕事
地域の現場で人と向き合う仕事は、福祉や地域づくりのNPO、図書館や公民館など、住民の暮らしに直接関わる場所で働く道です。
COCOCOLOR EARTHがインタビューした藤江開生さんは、大学を卒業してすぐに、宮崎県椎葉村の地域おこし協力隊になりました。
藤江さんは集落支援員ではありませんが、村の図書館司書として働きながら、住民のライフヒストリーを聞き書きし、地域の記憶を残す活動に取り組んできました。
取材当時、藤江さんは自分の強みを、相手の言葉を最後まで聞いて確かめる「受け止める姿勢」だと話しています。
外から来た人が都会の正解を持ち込むのではなく、まずその土地と目の前の人が大切にしているものを受け止めることが、信頼関係の土台になったそうです。
集落を巡って住民の声を聞く集落支援員の仕事にも通じる考え方は、藤江開生さんのインタビューで読めます。
現場で人と向き合う働き方は、現場職のキャリアの記事でも紹介しています。
地方創生に取り組む企業で働く
地方創生に取り組む企業で働く道は、交通や観光、移住支援などの事業を通じて、地域の課題に関われる働き先です。
集落点検で身につけた、地域の資源や課題を整理する力は、自治体と組んで事業を進める企業でも生かせます。
地方創生に関わる業界や職種は、地方創生・まちづくりに携わる仕事の記事でまとめています。
具体的な会社を知りたいときは、地方創生に取り組む企業10選をのぞいてみてください。
よくある質問
集落支援員について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. 集落支援員の給料はどのくらいですか?
A. 給料は委嘱する自治体ごとに決まり、全国共通の金額はありません。たとえば静岡市が2026年4月採用で募集した集落支援員は、週30時間勤務で、報酬月額は職務経験に応じて166,700円〜180,800円の予定でした。全国の相場ではなく、1つの例です。よく見かける「500万円」は、国が自治体に出す特別交付税の、専任1人あたりの上限額です。活動費なども含む額で、本人の年収ではありません。条件は、応募する自治体の募集要項で確認しましょう。
Q. 移住しなくても集落支援員になれますか?
A. なれます。集落支援員には、地域おこし協力隊のような住民票を移す要件がありません。総務省の推進要綱では、行政経験者や農業関係の仕事の経験者、NPO関係者、元地域おこし協力隊員など、地域の実情に詳しい身近な人材を生かすことが望ましいとされています。実際、2025年度の専任の集落支援員の約9割は、もともと暮らしていた自治体で活動していました。ただし、担当する地域で活動できることを応募の条件にしている自治体もあります。
Q. 集落支援員の任期はどのくらいですか?
A. 国が一律に決めている任期はありません。総務省の推進要綱では、委嘱の期間は地域の実情に応じて柔軟に決めてよいとされています。会計年度任用職員として任用される場合は1年度ごとの任用です。たとえば静岡市の募集では、任用期間は2026年4月1日から2027年3月31日までで、勤務成績が良ければ再度任用される場合があり、最長5会計年度とされていました。おおむね1〜3年とされる地域おこし協力隊とは、この点が異なります。
Q. 集落支援員が「失敗」と言われるのはなぜですか?
A. 2017年の過疎問題懇談会の提言は、集落支援員の制度が集落の維持・活性化に貢献してきたとしています。一方で、運用の課題も挙げています。2015年度の調査では、集落支援員から「具体的な活動方針が定められていない」「市町村の目指す成果が不明瞭」といった声が多くありました。点検で見えた課題を解決する役割を与えられていない支援員も多いと指摘されています。応募する前に、自治体が何を期待しているのか、担当職員との連携の仕方を確かめておくと安心です。
まとめ
集落支援員は、自治体から委嘱を受けて集落を見て回り、住民どうしや住民と行政の話し合いを支える仕事です。
移住の要件はなく、2025年度は専任3,270人、兼任3,145人が全国で活動していました。
報酬や任期は自治体ごとに決まり、「500万円」は国から自治体への財政支援の上限で、本人の給料ではありません。
気になる人は、まず自分の住む市町村や関わりたい地域の自治体のウェブサイトで、「集落支援員」の募集を探してみてください。
地域の行事やボランティアに参加して、集落の人の話を聞いてみるのも、仕事の手ざわりをつかむよい一歩です。
地方創生に取り組む企業は、ココキャリアで探すことができます。
集落を支える仕事は、特別な資格がなくても、地域の声に耳を傾けるところから始められます。
あなたの経験が生きる地域との関わり方を、ゆっくり探していきましょう。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
