SDGs(持続可能な開発目標)は、誰もが持続可能で平等な未来を築くための指針です。
その中でも「質の高い教育をみんなに」は、教育を通じて人々の可能性を広げ、社会全体の発展を支える重要な目標です。
本記事では、「質の高い教育をみんなに」の基本情報から、現状や課題、そして私たちにできることを具体的に解説します。
目次
質の高い教育をみんなにとは
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「質の高い教育をみんなに」は、SDGsの17の目標のうち第4の目標です。
この目標は、2030年までにすべての人々が質の高い教育を受けられるようにし、学びの機会を平等に提供することを目指しています。
また、読み書き能力の向上や高等教育へのアクセス改善、技術教育の普及も含まれています。
教育は、個人の人生を豊かにするだけでなく、貧困の削減や経済成長、ジェンダー平等の推進にも寄与します。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の目標です。
これらは、貧困、教育、環境、平和など、持続可能な社会の構築に向けた課題を包括的に取り扱っています。
「質の高い教育をみんなに」は、持続可能な発展の基盤としての教育の重要性を強調した目標です。
質の高い教育をみんなにを構成するターゲット
「質の高い教育をみんなに」には、具体的な10のターゲットがあります。それぞれについて詳しく解説します。
4.1 | 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ有効な学習成果をもたらす、自由かつ公平で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにする。 |
4.2 | 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達支援、ケアおよび就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。 |
4.3 | 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手頃な価格で質の高い技術教育、職業教育および大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。 |
4.4 | 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事および起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 |
4.5 | 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民および脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 |
4.6 | 2030年までに、すべての若者および成人の大多数(男女ともに)が、読み書き能力および基本的計算能力を身に付けられるようにする。 |
4.7 | 2030年までに、持続可能な開発と持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力の文化、グローバル市民および文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを習得できるようにする。 |
4.a | 子ども、障害およびジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。 |
4.b | 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国およびその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。 |
4.c | 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国における教員養成のための国際協力などを通じて、資格を持つ教員の数を大幅に増加させる。 |
質の高い教育をみんなにが生まれた背景
「質の高い教育をみんなに」が掲げられた背景には、教育格差が社会のあらゆる側面に影響を及ぼしている現実があります。
たとえば、貧困地域では学校が不足していたり、子どもたちが労働を強いられて教育を受けられない状況があります。
また、ジェンダーや経済格差によって、多くの女児や社会的少数派が教育の機会を奪われています。
これらの課題を解決するために、「質の高い教育をみんなに」が設定されました。
質の高い教育をみんなにの現状
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現在、世界では以下のような教育に関する課題が顕在化しています。
質の高い教育をみんなにの課題
「質の高い教育をみんなに」を実現するためには、以下のような課題に取り組む必要があります。
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教育インフラの整備
質の高い教育をすべての人に提供するためには、まず教育インフラの整備が不可欠です。
特に発展途上国では、学校施設の不足や劣悪な環境が教育の質を大きく低下させています。
教室や図書館、トイレといった基本的なインフラを整えることが必要であり、遠隔地や貧困地域においては、地域に根ざした学校の設立が求められています。
さらに、教科書や文房具、IT機器などの教育資源の適切な配布を行うことで、すべての子どもが平等に教育を受けられる環境を整えることが重要です。
教員の育成と確保
次に、質の高い教育を実現するためには、教員の育成と確保が不可欠です。
優れた教員がいなければ、教育の質は向上しませんが、多くの地域で教員不足が深刻な問題となっています。
特に、田舎や貧困地域では教員の採用や維持が困難であり、地域のニーズに応じた教員の募集が求められます。
さらに、教員が最新の教育方法や知識を学べるよう、継続的な研修プログラムの提供が必要です。
これにより、教員の専門性を高め、教育の質を向上させることができるでしょう。
教育への財政支援
教育への財政支援も重要な課題です。
教育への投資は持続可能な社会の基盤であり、すべての子どもが教育を受けるためには、教育の無償化が必要です。
政府は教育への財政支援を増やし、授業料や教材費を削減することが求められます。
また、教育にかかる資金の使用状況を透明にし、適切に資金が配分されるようにすることが信頼を高める要素となります。
さらに、寄付や民間企業からの支援を受ける仕組みを整えることも重要です。
ジェンダー平等の推進
教育へのアクセスにおいて、ジェンダー平等の推進も見逃せない課題です。
女児や少数派が教育を受ける機会を奪われる文化的・経済的障壁を取り除くための政策が求められます。
具体的には、女児に対する奨学金制度の導入や、保護者への啓発活動を通じて、教育の重要性を理解してもらう取り組みが必要です。
また、少数派の権利を守るために、教育において平等に扱われるような政策やプログラムを設計することも大切です。
技術教育の普及
最後に、技術教育の普及が求められています。
デジタル時代においては、IT教育や職業教育がますます重要になっています。
プログラミングやコンピュータスキルなど、将来の職業に役立つ技術教育を学校カリキュラムに組み込む必要があります。
特に地方の学校でもIT教育を受けられるようにすることが重要であり、また、学校教育と連携した職業訓練プログラムを提供することで、学生が卒業後に即戦力となるスキルを身につけることができるようにしなければなりません。
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質の高い教育をみんなにに取り組む企業3選
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質の高い教育をみんなにに取り組む企業を紹介します。
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株式会社LX DESIGN
株式会社LX DESIGNは、教育業界に特化したユニークなサービスを提供する企業です。
複業先生というマッチングサービスを通じて、企業人や専門家など外部人材が学校現場で教鞭を執る機会を提供し、児童生徒が社会とつながりながら多様な学びを深めることを支援しています。
また、高校生向けの進路相談プラットフォームimaAdokiでは、AIを活用して進路選択をサポートしています。
株式会社LX DESIGNは、テクノロジーとコミュニティの力を掛け合わせ、教育のあり方の変革を目指しています。
HP:https://lxdesign.me/
株式会社Yondemy
株式会社Yondemyは、深刻化する子どもの読書離れを解決するため、2020年に設立された教育テック企業です。
「読書は一生モノの習い事」をテーマに、AIやゲーム感覚のアプリを活用したオンライン教育読書を提供しています。
子どもたちが読書に楽しく触れ、自ら学ぶ力を育むことを目指しています。
現在は、リーンな組織体制ながら、急成長を遂げており、読書教育の新たなスタンダードを確立しようと挑戦を続けています。
HP:https://corp.yondemy.com/
in the Rye株式会社
in the Rye株式会社は、教育によって子どもたちに多様性への理解を進め、人生を切り開くチャンスを創ることを目指すダイバーシティ教育スタートアップです。
東京都で設立後、東日本大震災で被災した福島県大熊町に本社を移転。
オンライン教育プログラムを開発・提供し、子どもたちが国際的な視点と主体性を育む場を提供しています。
ミッションは「子どもたちが自分の可能性性を信じ、未来を創造する力を育む世界を創る」ことです。
HP:https://in-the-rye.co.jp/
in the Rye株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る
質の高い教育をみんなにに対して私たちができること5選
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質の高い教育をすべての人に提供するために、私たちができることは多岐にわたります。
以下に、それぞれの具体的な取り組みを詳しく説明します。
教育支援団体への寄付
私たちは、世界中で教育支援を行う団体に寄付をすることで、教育の質向上に貢献できます。
これらの団体は、発展途上国における学校の建設や教材の提供を行っており、寄付によってその活動を支えることができます。
たとえば、寄付金は新しい教室の建設や学用品の購入、教員の研修に使われます。
また、定期的に寄付を行うことで、持続可能な支援を提供し、教育機会を増やす手助けをすることができます。
ボランティア活動への参加
地域の学習支援や発展途上国への教育ボランティアに参加することも、直接的な支援の一つです。
ボランティア活動では、子どもたちに学習の手助けをしたり、教員としての役割を果たしたりすることができます。
特に発展途上国では、教育環境が整っていない場合が多く、ボランティアとして現地での授業や勉強会を通じて子どもたちに直接知識やスキルを教えることが重要です。
このような経験は、参加者自身の視野を広げるとともに、支援を受ける側にも大きな影響を与えることができます。
教育の重要性を広める
SNSやブログを通じて教育の重要性を発信することは、社会全体の意識を高めるための重要な手段です。
教育がもたらす影響や、すべての人が教育を受ける権利があることを広めることで、他の人々にも関心を持ってもらうきっかけを作ることができます。
具体的には、教育の現状や問題点、成功事例を共有したり、教育支援活動に参加することの重要性を訴えたりすることが考えられます。
中古教材や図書の寄付
使わなくなった教材や本を寄付することも、資源を有効活用しながら教育支援を行う方法です。
多くの地域では、新しい教材や本が不足しているため、使わなくなったものを寄付することで、他の子どもたちに新たな学びの機会を提供できます。
また、地域の図書館や学校への寄付を行うことで、地域社会の教育環境を改善することも可能です。
教育を受けることへの意識向上
最後に、私たち自身が教育の重要性や学ぶ楽しさを周囲に伝えることも重要な活動です。
特に子どもたちに対して、学ぶことの意義や価値を伝え、教育を受けることへの意識を高めるための活動を行うことが求められます。
例えば、地域のイベントや学校行事で教育についてのワークショップを開催したり、親や地域の人々に向けて教育に関する情報を提供したりすることが考えられます。
このように、周囲の人々に教育の価値を伝えることで、より多くの人々が教育に興味を持ち、支援活動に参加する意欲を高めることができます。
これらの取り組みを通じて、質の高い教育をすべての人に提供するための支援を行うことができます。
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まとめ
「質の高い教育をみんなに」は、誰もが平等に学べる世界を実現するための目標です。
教育は、個人の成長だけでなく、社会全体の発展にも欠かせません。
しかし、世界にはまだ多くの課題が残されています。
私たち一人ひとりが行動を起こすことで、この目標に近づくことができます。
まずは身近なことから始めてみませんか?一緒に、教育の未来を変えていきましょう。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。