21世紀は「水の世紀」と言われていることをご存知でしょうか。

近年、世界では様々な形で水問題が顕在化しています。

そんな中ウォーターフットプリントは、水を消費する中で起こる水質汚染や枯渇のリスクを評価する指標として誕生しました。

しかし、類似する用語にバーチャルウォーターがあります。

このバーチャルウォーターとの違いは何か。

こういった観点からウォーターフットプリントについて解説していきます。

ウォーターフットプリントとは

ウォーターフットプリントとは、ある商品のライフサイクルで消費された水の量です。

ライフサイクルとは、商品の生産から廃棄・リサイクルまでを指します。 

そのため、直接的な水の使用量と間接的な水の消費量の両方を把握することが必要です。

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3つのウォーターフットプリント

3つのウォーターフットプリントは間接的な水の消費量も把握するための考え方です。

間接的な水の消費量を把握するためには、測定の際に使用した原料が生産される際に消費された水の量、染色に使用した水を希釈するのに必要な水の量まで考慮が必要です。

3つのウォーターフットプリントはWater Footrpint Networkによって提唱されています。

  ブルー・ウォーターフットプリント(ブルー) グリーン・ウォーターフットプリント(グリーン) グレー・ウォーターフットプリント
(グレー)

引用

GEC

表流水や地下水が消費された量。
ここでの
消費には、作物・製品に取り込まれるだけでなく、取水時点に水が戻ってこなかった場合を含む。
雨水のうち、作物に取り込まれた量、及び、土壌中に水分として蓄えられた量。 水の汚染量を示す資料で、環境水質基準に基づいて汚染物質を希釈するのに必要な水の量。
要約 生産の際に引水された水量 灌漑農業で使用された水量やその後土壌に還った水量 水の汚染量

身近な製品のウォーターフットプリント

ウォーターフットプリントを通して、牛肉、Tシャツ、コーヒーのライフサイクルで必要な水の量を見ていきましょう。

牛肉(1キロ) Tシャツ(1枚/約670g) コーヒー(1杯/125ml)
約15,000 L 約26,000L 約130 L
ブルー 4%
グリーン 94%
グレー 3%
※言及なし ブルー 1%
グリーン 96%
グレー 3%

※データはWater Footprint Network(製品ギャラリー)と環境省(ウォーターフットプリント算出事例集)のインベントリ分析の方を引用しています。

平均的な牛肉1人前は90g、フェイスタオル1枚は200gです。

そして、一般的なバスタブの容積は200〜250リットルとされています。

そのため、バスタブに換算すると牛肉は60杯、Tシャツは14杯、コーヒーは0.5杯は必要です。

私たちは国際分業・国際貿易の中で、牛肉・衣服・コーヒーともに安く入手できる時代になりました。

しかし、購入前、必要性を考えて購入しているでしょうか。

ウォーターフットプリントは、そうした自分の消費行動の見直しを促進します。


ウォーターフットプリントのが生まれた背景

2002年にArjen HoekstraがユネスコIHE水教育研究所で、完全なサプライチェーンに沿って商品やサービスを生産するためにウォーターフットプリントを作成しました。

彼は「ウォーターフットプリントへの関心は、淡水システムへの人間の影響が最終的には人間の消費につながる可能性があり、生産とサプライチェーン全体を検討することで、水不足や汚染などの問題をよりよく理解して対処できるという認識に根ざしています。」とWater Footprint NetworkのFootprintで表しています。

つまり、彼はこの指標をきっかけに水問題への関心を啓発させ、既存商品のサプライチェーンを改善する動きをもたらすために作成しました。

※サプライチェーン:商品生産のプロセスのこと。原料の調達から製造、販売、消費、回収がその範囲となる。


ウォーターフットプリントと社会問題

ウォーターフットプリントを通して、顕在化してくる環境問題や社会問題は多くあります。

その際に私たちにとって大事な視点は、”消費責任”です。

ここでは、3つの問題について解説します。

水不足・水質汚染

UNESCOは、2030年には世界人口の約47%が水不足になると予測しています。

現在、水資源の多くはアジア太平洋地域に依存しています。

その結果、かつて面積世界第4位だったアラル海は枯渇の危機にあり、インドのガンジス川は水質汚染が深刻化しています。

地球上の水と陸の割合は7:3ですが、水資源にあたる淡水は全体の約2%にしか及びません。

さらに、その淡水も大部分は南極や北極の氷山にあるため、陸上生物が今すぐ利用できる水は全体の0.01%にも達しません。

しかし、私たちはその0.01%の25分の1の量を毎年消費しているのです。

紛争

水は、国家の経済力を左右します。

今後の世界では、水による紛争が起こり得る可能性があります。

さらに国際交流が盛んになっていく中で、国連は2050年には世界人口が97億人まで増加すると予測しました。

まず私たち一人ひとりが水資源の貴重さに気づき、消費活動を必要最低限にすることが大切です。

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水害

水害とは、水による災害のことをいい、洪水などがその代表例です。

無理な灌漑農業や大量の農薬を使用することは水不足や水質汚染に繋がり、生物多様性や生態系のバランスを崩します。

その結果、保水機能を持っていた森林が消失し、水害が多発します。

現在、水害の被害はアジア太平洋地域に集中しています。

バーチャルウォーターとの違い

対象範囲

バーチャルウォーターの対象は、輸入された食料のみです。

それに対し、ウォーターフットプリントの場合は対象の商品は国内外問わず、商品の種類も衣類や食器、化粧品なども含みます。

そのため、バーチャルウォーターはウォーターフットプリントを考えるときの一つの要素として捉えると良いかもしれません。

測定範囲・方法

バーチャルウォーターは、食料を自国で生産することを仮定して算出されます。

それに対し、ウォーターフットプリントは、商品の生産方法によって測定を行います。

両社の違いは、主な目的が異なることが影響しています。

具体的には、バーチャルウォーターは「国際貿易の見直し」、ウォーターフットプリントは「各商品のサプライチェーンの見直し」が主な目的です。

そのため、ウォーターフットプリントには各商品の「ライフサイクル」を考慮して測定しなければなりません。

ライフサイクルの考慮とは、原料の栽培・生産、製造、加工、輸送、廃棄・リサイクルまでを測定する範囲を意味します。

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私たちにできること

ここまでウォーターフットプリントの意味や背景、関連する社会問題、バーチャルウォーターとの違いについて解説しました。

その中で水資源は”有限”であり、大切に利用する必要があることを感じてもらえたでしょうか。

最後に、私たちにできることを解説していきます。

ミートフリーマンデー

ミートフリーマンデーとは、「最低限週に1度、月曜日だけでも肉を食べることをやめる」というものです。

地球環境保護活動の一環として、元ビートルズのポールマッカートニーとその娘によって考案されました。

肉は水という観点だけでなく、地球温暖化という観点でも環境への負荷が大きいことで有名です。

エシカル消費

エシカル消費とは、消費者庁によると「社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」とあります。

例として、「有機栽培」や「フェアトレード」の商品を優先して購入することが挙げられます。

ただし、エシカル消費の意義はこうした商品を買うことにあるわけではありません。

「社会的課題の解決を考慮した商品活動を行うこと」に意義があるのです。

今ある物を大切に使うことも、エシカル消費の一つです。


まとめ

環境問題や社会問題には堅苦しいイメージがあるかもしれません。

しかし、できることから実践をし、これからも関心を持ったものについて調べてみること。

これが大切です。

せっかく抱いた関心を1度で留めず、一緒に継続させていきましょう!

そのために、まずはぜひ、家族や友人にシェアしてみてください。

この記事をきっかけに、環境問題や社会問題への関心が高まれば、うれしく思います。