2020年10月、菅義偉首相(当時)は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体として実質ゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。

「温室効果ガスの排出を全体として実質ゼロにする」ためには、どうすればよいのでしょうか?

ここで重要になる概念が、今回ご紹介する「カーボンリサイクル」です。


カーボンリサイクルとは

カーボンリサイクルとは、地球温暖化の原因の一つであるCO2を炭素資源と捉えてリサイクルすることを言います。

具体的には、大気中のCO2を分離し、多様な炭素化合物として燃料や化学品として再利用します。


カーボンリサイクルのメリット

日本は、世界全体のCO2排出量の約3.4%を排出しており、中国、アメリカ、インド、ロシアに次いで世界で5番目に多くCO2を排出している国です。

温室効果ガスは、身近なところでは冷暖房や照明など、さまざまなものから排出されます。そのため、排出量を急激に減少させることは困難です。

そこで、排出されてしまった大気中のCO2を回収して再利用することで、実質的なCO2の排出量を抑える効果が期待されています。

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/co2.html


カーボンリサイクルの事例

それでは、CO2は何に生まれ変わるのでしょうか?

カーボンリサイクルの利用先は、大きく4つに分類されます。

①化学品

  • 含酸素化合物(ポリカーボネート、ウレタンなど)
  • バイオマス由来化学品
  • 汎用物質(オレフィン、BTXなど)

例えば、旭化成株式会社はCO2・アルコール・フェノールを原料としたポリカーボネートを開発しました。これは実際にパソコンの外装などに使用されています。

②燃料

  • 微細藻類バイオ燃料(ジェット燃料・ディーゼル)
  • CO2由来燃料またはバイオ燃料(微細藻類由来を除く)(メタノール、エタノール、ディーゼルなど)
  • ガス燃料(メタン)

株式会社デンソーは、工場から発生するCO2を新種の微細藻類に吸収させる研究に取り組んでいます。この藻は、光合成によってデンプンと軽油の成分を含んだオイルを生成します。

③鉱物

  • コンクリート製品・コンクリート構造物
  • 炭酸塩 など

鹿島建設株式会社は、CO2を吸収することで固まる性質を持つコンクリートを開発しました。これは「CO2-SUICOM」という名前で商品化されています。

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④その他

  • ネガティブ・エミッション(BECCS、ブルーカーボンなど)

大気中からCO2を除去する技術のことをネガティブ・エミッションといいます。

三菱重工エンジニアリング株式会社は、イギリスの大手電力会社であるDrax社とともにバイオマス発電所の排ガスからCO2を回収する実証実験を行い、技術の実用化にこぎつけました。

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カーボンリサイクルの現状とこれから

カーボンリサイクルは、以下の3つのフェーズに分けて産業化が進んでいます。

現在はフェーズ1であり、集中的に技術開発を進めています。

フェーズ1(2030年まで):さまざまな技術開発を行う。
フェーズ2(2050年まで):技術の普及と低コスト化を進める。
フェーズ3(2050年以降):現状の4分の1以下のコストを目指す。

カーボンリサイクルの課題は、技術面とコスト面

カーボンリサイクルの課題は、技術面とコスト面にあります。

CO2は化学的に非常に安定している元素であるため、かなりのエネルギーを投入しないと他の製品に変換できません。

また、カーボンリサイクル普及のためには、大量かつ安価なCO2フリー水素が必要ですが、これの生成のためにCO2が排出されてしまう問題もあります。

さらに、新しい技術の実用化には手間や時間がかかるため、製造コストがどうしても大きくなってしまいます。

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まとめ

カーボンリサイクルが、CO2削減に大きく貢献する技術であることが分かりました。

脱炭素社会に向けて、カーボンリサイクル以外にも、CO2を分離・回収して地中に貯留するCCSやCO2に価格を付けるカーボンプライシングなど様々な取り組みが行われています。

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