スーパーに行くと、アメリカ産のトウモロコシや牛肉、中国産の鶏肉や野菜など、さまざまな国の食料が売られていますよね。

これらの食料は、生産から食卓に届くまで、かなりの距離を旅しています。。

この記事では「フードマイレージ」というキーワードを中心に、食の選択が環境に及ぼす影響や私たちにできることを考えてみましょう。

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フードマイレージとは?

フードマイレージとは、「食料の(food)」と「輸送距離(mileage)」 の造語で、輸入食料の総重量と輸送距離を合わせて数値化した概念です。

輸送量(t)×輸送距離(km)で求められます。

また、フードマイレージは、1994年にイギリスの消費者運動家ティム・ラングによって提唱されました。

参考:「フード・マイレージ」について |環境省

フードマイレージの計算方法

フードマイレージの計算方法は、輸送量(t)×輸送距離(km)の計算式で求められます。

例えば、 5tのトマトを100km輸送するなら、

「輸送量(5t)×輸送距離(100km)=500t・km」と表します。


フードマイレージの問題点

フードマイレージが高いと、どのようなデメリットが生じるのでしょうか?

  • 環境問題につながる
  • 安定した供給を確保しづらい

環境問題につながる

第一に、輸送距離が長いことにより、CO2の排出量が多くなります。

2019年度における日本の二酸化炭素排出量(11億800万トン)のうち、運輸部門からの排出量(2億600万トン)は18.6%を占めています。

さらに、国連のIPCCは、航空セクターのCO2排出量が、2050年には現在の2〜5倍に達すると予測しています。

遠い国から航空機で食料を輸入することは、環境にとって大きな負荷になるのです。

参考:運輸部門における二酸化炭素排出量 – 国土交通省

安定した供給を確保しづらい

第二に、食糧の安定供給や安全性の確保が困難になります。

特に最近では、コロナ禍により国際物流が抱えるリスクが注目されていますよね。

フードマイレージが高いと、世界のどこかでアクシデントがあったときに輸入が途絶えたり、価格が高騰したりするリスクが大きいのです。

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日本のフードマイレージ

国民当たりのフードマイレージは、なんと日本が世界第1位となっています。

2001年の世界フードマイレージランキング

順位 フードマイレージ(百万t・㎞)
1位 日本 900,208
2位 韓国 317,169
3位 アメリカ 295,821
4位 イギリス 187,986
5位 フランス 104,407
6位 ドイツ 171,751

農林水産省農林水産政策研究所より

また、農林水産省によると、食料輸入だけで一人当たり年間 約130kgものCO2を排出している計算になるそうです。

「130kgのCO2」と言われても、どれほどの量なのかピンとこないかもしれません。

もし130kgのCO2を削減しようとすると、下記の行動が必要になります。

夏の間の冷房温度を27℃から8℃に変更:12年分

夏の間の冷房時間を1時間短縮:19年分

毎日1時間テレビを見る時間を短縮:11年分

毎日1分間シャワーを短縮: 5年

(※引用:農林水産省「『フードマイレージ』について」2020年9月30日

この数字を見ると、食糧輸入によっていかに多くのCO2が排出されているかが分かります。

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日本のフードマイレージが高い理由

日本のフードマイレージが高い理由は、大きく3つ考えられます。

  • 食料自給率の低さ
  • 地理的条件
  • フードロスに対する意識の低さ

食料自給率の低さ

令和4年度の食料自給率は、カロリーベースで38%となっています。

多くの食品を輸入に頼る必要があり、必然的にフードマイレージも高まってしまいます。

食料自給率は,昭和40年から低下し続けているため、改善が求められています。

参考:日本の食料自給率:農林水産省

地理的条件

島国という地理的条件も、フードマイレージが高い理由ni

関係しています。

四方が海に囲まれているため、輸送は舩か飛行機に限られてしまうことで、直線距離の移動が難しく輸送距離が伸びてしまう状況となっています。

フードロスに対する意識の低さ

フードロスは、深刻な状況となっています。

令和4年6月に発表された農林水産省の「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」によると、事業系のフードロスは275万トン、家庭系フードロスは247万トンという数値が発表されているのです。

このように、日本国内ではフードロスは今すぐにでも解決すべき問題ですが、なかなか改善ができていない現状があります。

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フードマイレージを減らすために私たちができること

それでは、フードマイレージを減らすために、消費者の立場として私たちができることは何でしょうか。

  • ミートフリーマンデー
  • 地産地消
  • エシカル消費を心掛ける

ミートフリーマンデー

ミートフリーマンデーとは、「最低限週に1度、月曜日だけでも肉を食べることをやめる」というものです。

地球環境保護活動の一環として、元ビートルズのポール・マッカートニーとその娘によって考案されました。

肉は水という観点だけでなく、地球温暖化という観点でも環境への負荷が大きいことで有名です。 

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地産地消

環境負荷の小さい商品、すなわち地元で採れた食材を選びましょう。

地産地消を進めることは、地元の農業を振興するという意味で、地方創生にもつながります。

近場で採れた食材はとても新鮮な状態でいただけますし、それで環境保護と地方創生に貢献できれば、一石三鳥ですね! 

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エシカル消費を心掛ける

エシカル消費とは、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動です。

そもそも、エシカル(ethical)とは、直訳で「倫理的な」という意味があります。

一人一人が社会課題に気付き、日々の消費を通して、その課題の解決のために自分は何ができるのかを考えてみましょう。

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まとめ

フードマイレージは、私たちの食生活と地球環境の持続可能性に深く関わる重要な概念です。

食品が生産地から消費地まで運ばれる過程で発生する環境負荷を考えることで、私たちはより持続可能な食生活を意識することができます。

日本のフードマイレージが高い理由には、食料自給率の低さや地理的条件、そしてフードロスに対する意識の低さなどが挙げられます。

これらの問題を解決するために、ミートフリーマンデーや地産地消、エシカル消費を心掛けることが重要です。

私たち一人ひとりの行動が、地球環境に与える影響を減らし、持続可能な未来を築く一助となります。

この記事を通じて、フードマイレージに対する理解を深め、より良い選択をするためのきっかけとしていただければ幸いです。