海外の動きを追いかけるほど、足元の地域で何ができるのかが見えにくくなることがあります。

その2つを別々に考えなくてよい、と言っているのがグローカルという言葉です。

地球規模の視野で考えながら、行動は自分のいる地域で起こす。

企業の海外展開から地方創生の現場まで、幅広い場面で使われています。

「グローバルに考えて、ローカルに行動する」という言葉を聞いたことはあっても、それが「グローカル」という一つの言葉になっていることは、意外と知られていません。

この記事を読むと、グローカルの意味や由来を自分の言葉で説明できるようになります。

環境運動から広まった経緯、ビジネス用語としての使われ方、地域での実践、企業の事例、関わる仕事の順に整理しました。

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グローカルとは

グローカルとは、グローバル(global:地球規模の)とローカル(local:地域的な)を組み合わせた言葉です。

地球規模の視野で考えながら、地域で行動することを指します。

一つの言葉のなかに、一見相反するようにも見える2つのスケールの視点が同居している点が特徴です。

環境運動から広まった文脈

「地球規模で考え、地域で行動せよ(Think globally, act locally)」という標語は、国際的な環境保全運動のなかで広まりました。

1972年の国連人間環境会議から1992年の地球サミットにかけて使われてきた考え方です。

地球規模の環境問題であっても、実際に行動を起こすのは一人ひとりの生活の場である、という発想がこの言葉の土台にあります。

環境問題全体の種類や背景については、環境問題とは?の記事でも詳しく解説しています。

ビジネス用語としての文脈

一方で、「グローカル化(Glocalization)」という言葉は、1980年代に海外展開を進めていた日本企業が、現地の文化や習慣に合わせて製品やサービスを提供する戦略を指す言葉として使われるようになったことが由来ともいわれています。

世界共通の仕組みを持ちながら、進出先の地域ごとに柔軟に対応するという考え方は、現在のグローバル企業の経営戦略にも広く取り入れられています。


外から地域に入る人が増えている

グローカルという考え方が人の動きとして表れている例が、地域おこし協力隊です。

都市部から過疎地域などに住民票を移し、地域の活動に携わる制度で、任期は最長3年です。

総務省によると、令和7年度の隊員数は8,196人、受け入れ自治体数は1,187団体で、いずれも過去最多を更新しました。

2020年度から2024年度に任期を終えた8,762人のうち、70.3%にあたる6,163人が活動地域やその近隣に住み続けています。

外の視点を持った人が地域に入り、そのまま根を下ろす流れができつつあります。

観光や物産のように外から人やお金を呼ぶ仕事が多いため、地域の中だけを見る発想では務まりません。

制度の仕組みや任期後のキャリアは、地域おこし協力隊とはの記事で詳しく解説しています。

参考:令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等(総務省)

地方創生というテーマ全体の課題や取り組みについては、地方創生とは?の記事で詳しく解説しています。

グローカルと地方創生のつながり

グローカルという考え方は、地域の中だけで完結する取り組みにも、海外だけを見た取り組みにも偏らない視点を与えてくれます。

地域で採れたものを地域で消費する地産地消の取り組みも、世界的な食料・環境問題への意識と結びつけて語られることで、グローカルな実践の一例になります。

海外の課題と地域の実情をつなげて考える視点は、国際協力とは?の記事のテーマとも重なります。


いきなり移住しないで試す入口

地域に関わりたいと思っても、いきなり住民票を移すのは踏み切りにくいものです。

そこで用意されているのが、短期間で地域を体験する制度です。

「おためし地域おこし協力隊」は2泊3日程度から地域の暮らしと仕事を体験する仕組みで、令和7年度の参加者は1,450人でした。

前年度の1,149人から増えています。

より長い期間で実際の活動に加わる「地域おこし協力隊インターン」は、令和7年度の参加者が1,414人です。

令和3年度は106人でしたから、4年で10倍以上に増えたことになります。

インターンは2週間から3か月程度の期間で、任期中の隊員と同じように地域の活動に携わります。

どちらも交通費や滞在費の支援が受けられる場合があり、自治体ごとに条件が違います。

数字が急に伸びたのは、自治体の側も「来てすぐ辞める」ことを避けたいという事情があるためです。

受け入れる側と応募する側の双方が、合わないまま任期に入るリスクを下げられる仕組みになっています。

グローカルな関わり方を考えるとき、移住という大きな決断の前に試せる段階があることは知っておくと選択肢が広がります。

グローカルな視点を持つ企業の事例

地域の外にある技術や販路を持ち込み、地域の資源と組み合わせている企業を3社紹介します。

株式会社さとゆめ

「ふるさとの夢をかたちに」を掲げ、地域に伴走しながら事業を生み出す支援を行う会社です。

計画づくりから商品開発、販路開拓、施設や組織の運営までを一気通貫で手がけます。

鉄道の沿線全体をひとつのホテルと見立てる取り組みのように、地域にすでにあるものを編集して価値に変える発想が特徴です。

地域の内側だけでは出てこない見立てを外から持ち込む点が、グローカルな関わり方にあたります。

株式会社LIFULL

住まいの領域を中心に、社会課題の解決を事業にしている会社です。

「LIFULL HOME’S空き家バンク」で全国の空き家データを集約し、活用の資金調達支援やプロデュース、人材のマッチングまで進めています。

空き家という地域ごとの課題を、全国規模のデータと仕組みで扱っている形です。

自治体との連携協定を結び、地域側が自分で動けるようにする点にも力を入れています。

株式会社カヤック

鎌倉に本社を置き、まちづくりやコミュニティの設計を手がける会社です。

地域通貨の仕組みや、人と人の関係性をデザインする企画を通じて、住む人同士のつながりを増やす取り組みを進めています。

面白法人と名乗る企業文化のまま地域に入り、外の発想を持ち込んでいる例です。

本社を東京から鎌倉へ移したこと自体が、その姿勢を示しています。

ほかの企業は、地方創生に取り組む企業10選でまとめています。


グローカルな視点を生かす働き方

地域と世界の両方に関心を持つ人が選べる道は、一つではありません。

代表的な4つのパターンを挙げます。

地域おこし協力隊として入る

自治体の委嘱を受け、最長3年のあいだ給与を得ながら地域の活動に携わります。

任される業務は観光の企画から農業の手伝い、空き家の活用、移住相談の窓口までさまざまです。

任期後に地域で起業する人、そのまま自治体や地域企業に就職する人、別の地域へ移る人がいます。

新卒で宮崎県の山間部に入った藤江海成さんは、インタビューで、山の社会課題と向き合うなかで見えたキャリアの選び方を話しています。

地域の課題を事業にする

小豆島で「誰もが旅を楽しめる世界」を目指す篠原智昭さんは、地域おこし協力隊を経て、インクルーシブな観光のあり方に取り組んでいます。

インタビューはこちらで読めます。

地域の不便さを、外から来た目で課題として捉え直すところから事業が生まれる例です。

支援する側の企業で働く

さとゆめやLIFULLのように、地域に伴走する企業に所属して複数の地域に関わる道もあります。

コンサルティング、マーケティング、不動産、ITといった職種の経験が、そのまま地域の現場で使えます。

一つの地域に住み込まずに、複数の地域と関わり続けられる点が、移住とは違う選び方になります。

担当する地域が変わっても、前の地域で得た知見を次の地域に持っていける点も、この働き方の特徴です。

企業の海外展開で現地に合わせる

グローカルはもともと、日本企業が海外に出るときの戦略を指す言葉でもありました。

進出先の文化や習慣に合わせて製品やサービスを組み替える仕事は、この視点がそのまま生きる領域です。

業界や業種の全体像は、地方創生・まちづくりに携わる仕事がしたいの記事で詳しく紹介しています。

よくある質問

グローカルについて、よく見かける疑問にお答えします。

Q. 地域おこし協力隊の定住率は、実際どのくらいですか?

A. 総務省の調査によると、令和2年4月から令和7年3月までの直近5年間に任期を終えた隊員8,762人のうち、およそ70.3%にあたる6,163人が同じ地域に定住しています。うち活動地と同一市町村内に定住した5,038人の内訳は、約46%が起業、約35%が就業、約12%が就農・就林でした。他の地域に転出した2,013人のなかにも、228人は活動地と関わりのある地域協力活動に引き続き携わっています。累計では、令和7年3月末までに15,045人が任期を終えています。

Q. グローカルとグローバリゼーションはどう違いますか?

A. グローバリゼーションは、経済や文化が国境を越えて一体化していく動きそのものを指します。グローカルは、その地球規模の視野を持ちながら、実際の行動や判断を地域の事情に合わせるという姿勢を表す言葉です。世界共通の仕組みを一律に持ち込むのではなく、進出先や活動先の文化や習慣に合わせて形を変える点が違いになります。地球規模で考え、地域で行動するという標語が、この言葉の土台にあります。対立する概念ではなく、視野と行動の距離感を言い分けた言葉です。

Q. グローカルという言葉は、どんな場面で使われますか?

A. 環境分野では、地球規模の課題に対して地域単位で行動するという文脈で使われます。ビジネスでは、海外展開の際に現地の文化や習慣に合わせて製品やサービスを変える戦略を指して使われます。近年は地方創生の文脈でも使われ、外部の視点を持った人が地域に入って課題解決に関わる動きを表す言葉になっています。大学の学部名や自治体の事業名に取り入れられている例もあります。地域と世界のどちらかに寄りすぎない姿勢を指すときに使われる言葉です。

Q. グローカルな視点を生かせる仕事には、どんなものがありますか?

A. 地域おこし協力隊として自治体の委託を受けて活動する道、任期後に地域で起業する道、自治体の職員や地域商社で地域資源を外に売り出す仕事などがあります。任期終了後に定住した隊員のうち約46%が起業を選んでいることからも、自分で仕事をつくる形が現実的な選択になっていることが読み取れます。企業側では、海外展開で現地に合わせた事業をつくる仕事もこの視点が生きる領域です。移住の前に、おためしやインターンで試す制度も用意されています。


まとめ

グローカルは、地球規模の視野と地域での行動を両立させる考え方であり、環境運動とビジネスという異なる文脈から育ってきた言葉です。

地域おこし協力隊の隊員数が過去最多を更新し、定住率が70.3%に達しているというデータは、グローカルな人の動きが実際に地域を変えつつあることを示しています。

海外経験の有無にかかわらず、地域と世界の両方に関心を持ち続けることが、この考え方を仕事に生かす出発点になります。

ココキャリアでは、地方創生に取り組む企業の情報も掲載されています。

身近な地域での小さな行動が、地球規模の課題とつながっていく感覚を持てるようになると、社会課題への向き合い方も変わってきます。

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