経済成長する国と経済低迷する国。
2つの国の違いはいったい何でしょうか?
一つの考え方に人口ボーナスという概念があります。
人口ボーナスとは、「支える人」が「支えられる人」を上回る状態です。
このような状態は、経済成長する可能性が非常に高いです。
一体なぜ高いのか、その理由を解説します。
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目次
人口ボーナスとは
人口ボーナスとは、生産年齢人口(15~64歳)が従属人口(14歳以下と65歳以上の人口)よりも大きく上回る状態です。
具体的には以下3つの定義があります。
・生産年齢人口が継続して増え、従属人口比率の低下が続く期間
・従属人口比率の低下、又は、生産年齢人口比率の増加、かつ生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間
・生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間
参考:人口ボーナス期で見る有望市場は|JETRO
人口ボーナス期は、労働力が豊富にもかかわらず、教育費や医療費アドの社会保障費が抑えられるため、経済が拡大しやすい特徴があります。
日本では、1950年~1990年までが人口ボーナスに該当し、大きな経済成長を遂げました。
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人口ボーナス期の国はどこ?
この章では人口ボーナス期の国をいくつか紹介します。
インド
インドは、2011年から人口ボーナス期に入ったとされています。
この人口ボーナス期は、2040頃まで続くとの見込みがあり、世界中がインドに注目しています。
注目を集めている理由は、IT大国としてのポテンシャルがある上に、公用語の一つに英語が含まれていることです。
2027年には、中国の人口を越すとも予想されています。
南アフリカ共和国
インドと同じく、南アフリカ共和国も人口ボーナス期が2040年頃まで続く見込みがあります。
また、南アフリカ共和国だけでなく、アフリカ諸国が今後人口ボーナス期を迎えます。
南アフリカ共和国は、世界有数の資源国でもあるため、大きな経済成長が予想されています。
しかし、人口ボーナス期を十分に活かせる経済基盤がないことが今後の課題です。
トルコ
2009年から人口ボーナス期を迎えているトルコは、2037年まで続くと予測されています。
平均年齢も約31歳と若く、ヨーロッパ、中東、中央アジア、ロシアなどの巨大な経済圏と隣接しているため、地理的にも経済成長が見込めます。
しかし、国内外での治安悪化による景気後退には注意が必要です。
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人口ボーナス期のメリット
人口ボーナス期のメリットを解説します。
労働人口が多いため、経済成長しやすい
一番のメリットは、労働人口が多いため、経済成長しやすい点です。
生産だけでなく、消費も活性化されるため、経済が促進されます。
社会保障費がかからない
従属人口(14歳以下と65歳以上の人口)が少ないため、社会保障費があまりかかりません。
具体的には、教育費や医療費、介護費などの負担が少ないです。
そのため、国の予算を経済政策に振り向けやすく、また他国からの投資を呼び込めるので、経済が活性化します。
人口ボーナス期のデメリット
人口ボーナス期のデメリットを解説します。
長期的に問題が残る場合も
生産年齢人口が増加しさえすれば、必ず大きな経済成長に繋がるとは限らないです。
人口ボーナス期の成長は、労働集約型産業になりがちです。
その後の方針を考えて政策を打たなければ、産業構造や社会福祉の面で課題を残してしまいます。
また、地域格差や収入格差などの懸念もあります。
人口オーナスも知っておこう
人口オーナスとは、人口ボーナスと反対に、従属人口(14歳以下と65歳以上の人口)が生産年齢人口(15~64歳)を上回る状態です。
オーナス(onus)は負担・重荷を意味します。
人口オーナスの状態では、「支えられる人」が「支える人」を上回り、社会保障費などの負担が大きくなり、消費や貯蓄、投資が停滞します。
その結果、経済成長が停滞してしまうのです。
日本やアメリカ、中国、ヨーロッパ諸国が人口オーナスに突入しています。
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日本の現状は?2040年問題を考えよう
日本では、1950年~1990年までが人口ボーナスに該当し、大きな経済成長を遂げました。
しかし、その後は、人口オーナス期に入り経済が停滞しています。
2040年問題とは、日本が2040年に直面すると考えられる問題の総称です。
2040年になると、1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代が65歳以上となります。
総人口に対する高齢者の割合は、36.2%となることが予測されます。
この割合は、約2.8人に1人が高齢者という計算になります。
このように、総人口に占める高齢者の割合が増えることで、あらゆる業種での人手不足や医療、福祉、社会保障の懸念が考えられます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
人口ボーナスとは、「支える人」が「支えられる人」を上回る状態です。
日本は、1950年~1990年に人口ボーナス期を迎え、大きな経済成長を遂げました。
現在は、アジアやアフリカの国々が人口ボーナス期に入りました。
これからの経済を考えるうえでも、人口ボーナスの概念は大切になるでしょう。
ぜひこの機会に社会企業家のインタビュー記事もご覧ください。
参考
EL BORDE 投資家目線の基礎知識! 経済成長を左右する「人口ボーナス」の読み解き方
ダイヤモンド・オンライン 2027年にインドが人口世界一に!? 日本の1億人割れはいつ?
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。