「ジェンダー平等」という言葉を耳にしたことはありますか?
SDGs(持続可能な開発目標)の一環として掲げられているこの目標は、私たちの生活に深く関係しています。
しかし、具体的にどのような問題があり、私たちに何ができるのかを知っている人は少ないかもしれません。
本記事では、ジェンダー平等の基本情報から、その現状や課題、そして私たちにできる具体的なアクションについて解説します。
目次
ジェンダー平等を実現しようとは
![](https://cococolor-earth.com/wp-content/uploads/2025/02/tim-mossholder-UcUROHSJfRA-unsplash-1-scaled.jpg)
ジェンダー平等とは、生まれた性別にかかわらず、すべての人が平等に権利を持ち、機会を得ることを指します。
これは単に女性や男性の権利を守るだけでなく、全ての性別に対して平等を目指すものです。
ジェンダー平等を実現することは、単なる道徳的な目標にとどまらず、社会や経済の発展にも大きく寄与します。
多様な視点がもたらされることで、組織や地域、国全体がより強く、持続可能な形で成長するのです。
≫ジェンダーとは?10種類のジェンダー問題を例を用いてわかりやすく解説!
SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された国際的な目標で、2030年までに達成することを目指しています。
全部で17の目標があり、「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」「ジェンダー平等を実現しよう」など、幅広い社会課題を網羅しています。
これらの目標は、互いに関連しており、一つの目標を達成することで他の目標への貢献にもつながります。
特にジェンダー平等は、教育、貧困削減、経済成長といった他の目標にも深く影響を与える重要なテーマです。
ジェンダー平等を実現しようを構成するターゲット
ジェンダー平等の実現を目指すSDGsの目標5では、以下のようなターゲットが掲げられています。
5.1 | あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 |
5.2 | 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女子に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。 |
5.3 | 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚、および女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。 |
5.4 | 公共のサービス、インフラ、および社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。 |
5.5 | 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。 |
5.6 | 国際人口開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、ならびにこれらの検討会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康および権利への普遍的アクセスを確保する。 |
5.a | 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ、および土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。 |
5.b | 女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。 |
5.c | ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性および女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する。 |
ジェンダー平等を実現しようが生まれた背景
ジェンダー平等の必要性が注目されるようになった背景には、歴史的な不平等と差別の蓄積があります。
多くの国で、女性は教育を受ける権利や政治に参加する権利が制限され、経済的な機会も不十分でした。
また、伝統的な性別役割が固定化されている社会では、男性が家計を支える一方で、女性が家庭内での役割に限定されるケースが多く見られます。
こうした文化的、社会的な制約が、個人の可能性を狭める結果を招いてきました。
さらに、世界規模で見れば、いまだに多くの女性や少女が暴力や搾取に苦しんでいます。
このような現状を変えるために、ジェンダー平等が国際的な目標として掲げられるようになったのです。
ジェンダー平等を実現しようの現状
![](https://cococolor-earth.com/wp-content/uploads/2025/02/sandy-millar-KhStXRVhfog-unsplash-1-scaled.jpg)
現代社会において、ジェンダー平等は徐々に進展しています。
多くの国で、女性の教育機会が広がり、職場での権利も向上しています。しかし、地域や国によって進捗は大きく異なります。
たとえば、北欧諸国ではジェンダー平等の達成度が高い一方で、開発途上国では依然として多くの課題が残されています。
教育を受けられない少女、幼い年齢で結婚を強いられる子ども、職場での不平等などが現実として存在しています。
ジェンダー平等を実現しようの課題
現状における主な課題には以下のようなものがあります。
≫【2024年最新】日本の社会問題一覧!30の社会課題とランキングを解説!
固定観念の打破
社会には「男性は仕事、女性は家庭」などの固定観念が根強く残っています。
これらの価値観が、教育や就職の機会を制限し、ジェンダーによる役割分担の固定化を招いています。
こうした意識を変えるためには、教育やメディアを通じた啓発活動が必要です。
≫ステレオタイプとは?バイアスとの違いや事例、メリット・デメリットを解説
≫ジェンダーバイアスとは?例を用いて原因や日本の問題点を解説
政策の実効性向上
各国でジェンダー平等を推進する政策が導入されつつありますが、実際の効果が十分に発揮されていない地域もあります。
特に、法律が整備されても実施が不十分だったり、社会の慣習が変わらないことが課題です。
政策の効果を高めるためには、モニタリングや強制力のある施策が求められます。
≫夫婦別姓のメリットは?日本の現状やいつから変わるか、世論調査などを解説
教育格差
世界には、いまだに女子が学校に通えない地域が存在します。
特に発展途上国では、貧困や文化的要因により、男子よりも女子の教育が軽視される傾向があります。
教育の機会を平等にすることで、女性が経済的に自立し、社会全体の成長にも寄与できます。
暴力の根絶
女性やLGBTQ+の人々は、家庭内暴力、性的暴力、人身売買などの被害に遭うリスクが依然として高い状況です。
法的整備や社会の意識改革、被害者支援体制の強化が必要です。
職場環境の改善
多くの職場では、女性が管理職やリーダーシップを取る機会が限られています。
また、同じ仕事をしていても賃金に格差があるケースが多く、これは「ジェンダー・ペイ・ギャップ」と呼ばれます。
男女が平等に昇進し、同じ賃金を受け取る環境を整えることが求められます。
≫職場におけるハラスメントとは?よくある種類と問題の解決方法
≫#MeToo運動(ミートゥー運動)とは?きっかけやセクハラや性被害に対する日本や韓国での告発を解説
ジェンダー平等を実現しように取り組む企業3選
![](https://cococolor-earth.com/wp-content/uploads/2025/01/5.png)
ジェンダー平等を実現しように取り組む企業を紹介します。
≫【SDGs目標5】ジェンダー平等を実現しように取り組む企業10選!就職・転職におすすめの大企業からベンチャー
≫ジェンダーの問題に取り組む企業10選~ベンチャーから大企業まで~
株式会社ママスクエア
株式会社ママスクエアは、「子どもの笑顔を増やしたい」という理念のもと、子育て中の母親が子どものそばで安心して働ける環境を提供するために設立された企業です。
代表取締役の藤代聡氏が自身の子育て経験から着想を得て、2004年に親子カフェを立ち上げたことが原点となっています。
その後、母親たちが仕事と育児を両立できる「託児付ワーキングスペース」という新しい働き方を提案し、多くの女性に活躍の場を提供しています。
同社の取り組みは、女性の就労支援だけでなく、少子化対策や地域経済の活性化など、社会的課題の解決にも貢献しています。
HP:https://www.mamasquare.co.jp/
株式会社Cradle
株式会社Cradleは、ヘルスケアを軸に企業のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)推進をサポートしています。
DEIはD&I(多様性と包括性)を発展させ、公平性を加えた概念です。
株式会社Cradleは「誰もが輝く、未来を育む」をビジョンに掲げ、女性特有の健康課題への取り組みなどを通じて、従業員の健康とキャリアを支援するサービスを提供しています。
HP:https://cradle.care/
メデリ株式会社
メデリ株式会社は、すべての女性がより健やかに、幸せに暮らせる未来を実現をビジョンに掲げる企業です。
オンラインでピルの診療・処方を提供するサービス「メデリピル」を運営しています。
このサービスでは、産婦人科医による診療をスマートフォンから受けられ、処方されたピルが自宅に配送されます。
HP:https://mederi.jp/company/
ジェンダー平等を実現しように対して私たちができること5選
![](https://cococolor-earth.com/wp-content/uploads/2024/02/pexels-buro-millennial-1438072-scaled.jpg)
ジェンダー平等を実現しように対して私たちができることを紹介します。
偏見をなくすために学ぶ
ジェンダー平等についての理解を深めることが、最初の一歩となります。
書籍やドキュメンタリー、ニュースなどを通じて学び、無意識の偏見を減らしていきましょう。
また、家族や友人とジェンダーについて話し合うことで、周囲の意識も変えていくことができます。
≫【2024年最新版】社会課題やSDGs、サステナブルについて発信するメディア30選!
ジェンダー平等を推進する商品やサービスを利用する
企業の中には、ジェンダー平等を推進する活動をしているところもあります。
女性起業家を支援するブランド、ジェンダーに配慮した製品を開発している企業を積極的に選ぶことで、社会全体の意識を変える手助けができます。
≫フェムテックに取り組む企業10選!就職・転職におすすめの大企業からベンチャー
≫フェムテックとは?意味や市場規模、企業・商品例を紹介
職場や学校でジェンダー平等を意識する
職場や学校での性別による役割分担を見直し、公平な環境を作ることが重要です。
例えば、家庭内や職場での役割分担を公平にしたり、ジェンダー平等をテーマにしたワークショップや勉強会に参加することも有効です。
≫レポートで書きやすい身近なジェンダー問題5選!テーマの選び方と調査・機関を紹介
法律や制度を知り、声を上げる
ジェンダー平等を推進するための法律や制度を知ることも重要です。
例えば、育児休暇制度やジェンダー平等に関する法律を理解し、自分の権利を守るために活用しましょう。
また、社会の課題に対して意見を発信したり、署名活動に参加することも一つの方法です。
支援団体や活動に参加する
ジェンダー平等を推進する団体やプロジェクトに参加することで、より積極的に変化を生み出すことができます。
ボランティア活動や寄付、SNSを活用した啓発活動など、自分にできる範囲で支援をすることが大切です。
まとめ
ジェンダー平等は、私たち一人ひとりが取り組むべき重要な課題です。
SDGsの目標として掲げられるこのテーマは、社会全体の発展に直結します。
固定観念を見直し、日常生活からアクションを起こすことで、より良い未来を築いていきましょう。
あなたも今日からできることを始めてみませんか?
【その他のSDGsの目標を詳しく知りたい】
【SDGs目標1】貧困をなくそうとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標2】飢餓をゼロにとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標3】すべての人に健康と福祉をとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標4】質の高い教育をみんなにとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標5】ジェンダー平等を実現しようとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標6】安全な水とトイレを世界中にとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標7】エネルギーをみんなに そしてクリーンにとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標8】働きがいも経済成長もとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標9】産業と技術革新の基盤を作ろうとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標10】人や国の不平等をなくそうとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標11】住み続けられるまちづくりをとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標12】つくる責任つかう責任とは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標13】気候変動に具体的な対策をとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標14】海の豊かさを守ろうとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標15】陸の豊かさも守ろうとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標16】平和と公正をすべての人にとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
【SDGs目標17】パートナーシップで目標を達成しようとは?背景や現状、企業の取り組み、私たちにできることを解説
![](https://cococolor-earth.com/wp-content/uploads/2023/11/吉田くん写真.jpeg)
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。