「サステナビリティ」という言葉は、21世紀の経済・社会活動の中心的なテーマとして急速にその重要性を増しています。
サステナビリティ、すなわち持続可能性は、現在の生活を維持しつつ未来の世代への影響を最小限に抑えるという考え方のもと、企業や組織がどのように行動すべきかを示唆しています。
しかし、SDGsやCSR、CSVといった関連する概念との違いは一体何なのか、そしてなぜ企業がサステナビリティに取り組むのか、どのようなメリットがあるのか。
また、その先にある「リジェネレーション」という新たな概念も近年注目を集めています。
この記事では、これらの疑問に回答し、具体的な企業の取り組み事例や、学生へのPR方法についても詳しく紹介していきます。
目次
サステナビリティ(Sustainability)とは
サステナビリティ(sustainability)とは、地球環境や経済システム、文化などが持続的に継続できる能力や概念を表す言葉です。
日本語では、持続可能性と訳されます。
1980年代に国連で開催された「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」で、”将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現代世代のニーズを満たすこと”であると説明されました。
つまり、我慢するのではなく今を大事にしながら未来を考えることで問題を解決することです。
大量生産・大量消費・大量廃棄から、地球環境と共生する持続可能なモデルの実現のために、国も企業も個人も様々な取り組みを行っています。
国際的な目標として、SDGs(持続的な開発目標)も掲げられてきました。
SDGsやESG投資が広まる中、企業では経済価値と環境・社会価値の両立を目指すトリプルボトムラインやCSV、CSRなどサステナビリティを意識した取り組みが行われています。
≫サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは?生まれた背景やメリットを解説!
サステナビリティとSDGsやCSR,CSVの違い
サステナビリティの理解を深める中で、同じような概念の言葉との違いにぶつかります。
この記事では、混合してしまいがちなSDGsやCSR,CSVとの違いを解説します
サステナビリティとSDGsの違い
SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称として知られています。
SDGsは、17の目標・169のターゲットから構成されます。
サステナビリティは、このSDGsを達成するための手段の1つと考えることができます。
≫SDGsへの取り組みを学生にPR・マーケティングする方法とは?
≫サステナブルとSDGsの違いとは?意味や関連ワードとの違いを解説
サステナビリティとCSRの違い
CSRとは、corporate social responsibilityの略称で、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任です。
そして、「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
サステナビリティとの違いは、範囲の違いになります。
CSRは活動の影響が及ぶ範囲での責任という範囲がある一方、サステナビリティには範囲の制限があります。
ただし、とても似ている概念のため、企業によっては同義語として扱っている場合もあります。
≫CSRとは?CSVとの違いや取り組むメリットデメリット、事例などを解説
サステナビリティとCSVとの違い
CSVとは、Creating Shared Valueの頭文字を取ったもので、「共有価値の創造」を意味しています。
CSVは、企業の売上をあげる「経済的価値」と社会課題を解決する「社会的価値」を両立させる経営戦略のフレームワークです。
CSVは、経営戦略のフレームワークであり、サステナビリティとは根本的に意味が異なります。
≫CSV経営とは?生まれた背景やソーシャルビジネスとの違い、事例などを解説
企業がサステナビリティに取り組むメリット
企業がサステナビリティに取り組むメリットを3つ紹介します。
ステークホルダーとの関係の強化
株主や従業員との関係の強化も期待できます。
従業員は、仕事が社会貢献に繋がっているという実感を得られることで働くモチベーションが向上します。
さらに、世界のESG投資の割合が35%を超えており、この数字は年々上昇していくことが考えられています。
株主の視点に立ってもサステナビリティに取り組むメリットは大きいです。
また、近年では、サステナビリティやSDGsの取り組みを就活の軸に置く学生が増えており、採用への影響も避けられないでしょう。
コスト削減に繋がる
節電や節水、過剰包装など、エネルギーの使用量や廃棄物の量、サプライチェーンを見直すことにより、無駄にかかっていたコストの削減にもつながります。
企業のイメージアップ
サステナビリティが促進された企業は、企業イメージもよくなるでしょう。
社内の取り組みを社外にうまくPRすることでイメージアップになります。
≫SDGsウォッシュとは?事例や影響、就活生が見ているポイントを解説
企業のサステナビリティ担当とは
サステナビリティ担当とは、ESG担当と呼ばれることもあり、近年注目を集めています。
ESGとは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったものです。
これは、金融機関が企業にお金を融資や投資する際に、考慮する指標と言えます。
つまり、以下のように企業を投資対象に値するかどうかを判断する一つの指標です。
「その対象企業は、社会的に良い企業なのか?」
「環境に良い事業を展開している(環境に悪影響を及ぼさない)企業なのか?」
「ガバナンス(企業統治)はしっかりしている企業か?」
サステナビリティ担当は、様々な部署と連携し、ESGという観点から会社全体を改善する仕事になります。
≫ESGとは?意味やSDGsとの違い、ESG投資、企業のPR方法を解説
サステナビリティの先、リジェネレーションとは
『サステナビリティ(持続可能性)を再定義する必要がある』
日本では2018年頃から徐々にサステナビリティの概念が広まってきていますが、オランダ、アメリカなど欧米では上記のように、サステナビリティの考え方だけでは不十分ではないか?という声が高まっています。
「Regeneration」には様々な解釈がありますが、「再生」「新生」「繰り返し生み出す」などの意味合いがあります。
サステナビリティで掲げられる「地球環境と経済活動の両立した持続可能なモデル」から前進した、意識的に地球や暮らしの環境を再生して、社会をデザインしていく考え方です。
「再生型ビジネス」「再生型経済」と言われることもあります。
≫環境問題とは?日本と世界の12種類の問題を一覧で簡単に解説
≫リジェネレーションとは?生まれた背景や具体例、私たちにできることを解説
サステナビリティに対する企業の取り組み事例
サステナビリティに対する企業の取り組み事例を3つ紹介します。
キリンホールディングス
キリンホールディングスは、ビール事業から始まり、飲料やヘルスサイエンスなど幅広い事業を行っています。
CSV経営を掲げるキリンホールディングスは、サステナビリティに対して様々な取り組みをしています。
具体的には、水資源の循環や容器包装の見直し、バリューチェーンの変更などが挙げられます。
https://cococolor-earth.com/interview-taiki-kaneda
ユーグレナ
ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用としての屋外大量培養技術の確立に成功しました。
ユーグレナなどを活用した機能性食品や化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究などを行っています。
また、2014年よりバングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」などの取り組みもあります。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開しています。
https://cococolor-earth.com/interview-tomohisa-kita
エーザイ
エーザイは、日本の大手製薬会社です。
2040年に向けてカーボンニュートラルの実現の宣言や、中期経営計画「EWAY 2025」を策定するなど、サステナビリティに対する取り組みを行っています。
また、製薬会社ということもあり、医療アクセス向上に向けた取り組みも多数行っています。
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当メディアCOCOCOLOREARTHでは、100人以上の社会活動家にインタビューを行ってきました。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。