国連システムの人事統計によると、2024年12月31日時点のUN Womenの職員は1,308人で、そのうち日本国籍の職員は15人でした。
職員の約4人に3人は女性で、ニューヨーク本部の外にある地域・国の事務所で働く人が全体の75%を占めています。
「ジェンダー平等を仕事にしたい」と考えたとき、国連の中でこのテーマを専門に扱うのがUN Womenです。
ただ、どうすれば職員になれるのか、日本からどう関われるのかは、なかなかイメージしにくいですよね。
ここでは、UN Womenの成り立ちと仕事、採用ルート、求められる学歴・経験・語学、日本人職員の人数、日本事務所の募集、最近の組織の動きを紹介します。
UN Womenに入らずにジェンダーの課題に関わる4つの道も、あわせて取り上げました。
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UN Womenとは
UN Women(国連女性機関)とは、ジェンダー平等と女性・女の子のエンパワーメントを専門に担う国連の機関です。
正式名称は「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関」で、本部はアメリカのニューヨークにあります。
4つの組織を統合して2011年に発足
UN Womenは、2010年7月2日に国連総会で採択された決議A/RES/64/289によって設立されました。
それまで国連の中に分かれていた次の4つの組織を、1つにまとめた機関です。
| 統合された組織 | 略称 |
|---|---|
| 国連女性地位向上部 | DAW |
| 国際婦人調査訓練研究所 | INSTRAW |
| 国連ジェンダー問題特別顧問事務所 | OSAGI |
| 国連女性開発基金 | UNIFEM |
2011年1月1日に活動を始め、初代事務局長はチリの元大統領ミシェル・バチェレ氏でした。
現在の事務局長は、2021年に国連事務総長が任命したヨルダン出身のシマ・バフース氏です。
UN Womenが取り組む社会課題
UN Womenが取り組むのは、女性のリーダーシップと政治参加、経済的エンパワーメント、女性や女の子への暴力の撤廃、平和・安全保障と人道支援の4つの分野です。
各国がジェンダー平等の法律や政策をつくるのを支え、国連全体のジェンダーの取り組みをまとめる役割も担っています。
ジェンダー平等はSDGsの目標5でもあり、日本と世界の現状はSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の記事で解説しています。
拠点と日本事務所
国連の統合評価報告書によると、UN Womenは85の国事務所を通じて100か国以上で事業を行っており、2024年の支出は約6億6,900万ドルでした。
日本には、2015年4月に東京都文京区の文京シビックセンター内に開設されたUN Women日本事務所があります。
世界に4つあるリエゾンオフィス(連絡事務所)の1つで、アジアでは唯一のリエゾンオフィスです。
日本の政府や企業、大学、市民団体と連携し、UN Womenの活動の広報や政策対話を担っています。
所長は、国連WFPで約23年働いたあと、2025年2月に就任した焼家直絵さんです。
国連ウィメン日本協会との違い
日本には、名前の似た「国連ウィメン日本協会」という団体もあります。
求人を探すときに混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。
| 項目 | UN Women日本事務所 | 国連ウィメン日本協会 |
|---|---|---|
| 組織の性格 | 国連機関の事務所 | 日本の認定NPO法人 |
| 所在地 | 東京都文京区 | 神奈川県横浜市 |
| 主な役割 | 日本との連携・広報・政策対話 | UN Womenの公式支援窓口として寄付を集め、活動を広める |
| 働く人 | UN Womenの職員など | 協会の職員 |
国連ウィメン日本協会は寄付や情報発信でUN Womenを支える団体で、協会で働くことはUN Womenの職員になることとは別です。
UN Women職員の仕事と職種
UN Womenの仕事は、各国の政策づくりにかかわる仕事と、組織の運営を担う仕事に分かれます。
政策・プログラムの仕事
国事務所では、政府と一緒にジェンダー平等の法律や制度を整えたり、女性への暴力をなくす事業や、女性の起業・就労を支える事業を運営したりするのが主な仕事です。
紛争や災害の現場では、人道支援の中で女性や女の子のニーズが見落とされないよう、ほかの国連機関と調整する役割もあります。
ジェンダーに関するデータを集めて分析し、各国の政策づくりに生かす統計の専門職もいます。
組織を支える仕事
UN Womenのインターン募集には、パートナーシップ、広報、アドボカシー、政策、評価、人事、調査・データ、財務、ICTなどの分野が並んでいます。
ジェンダーの専門家だけでなく、資金調達や広報、ITの経験をもつ人も働いている組織です。
国際機関に限らず、ジェンダーの課題に関わる仕事の全体像はジェンダー課題のキャリアとは?の記事で紹介しています。
UN Women職員になるルート
UN Womenの職員区分の資料では、空席公募による職員のほか、JPO、国連ボランティア、インターン、コンサルタントといった入り口が示されています。
空席公募
空席公募は、空いたポストごとに職員を募集する、UN Womenの基本的な採用方法です。
国際専門職はP1からP5、その上にD1・D2の職位があり、世界各地の勤務地を異動しながら働くことが前提です。
任期付きの契約は通常1年ごとで、組織の必要や資金、勤務評価に応じて更新されます。
勤務地の国籍をもつ人が就くナショナル・プロフェッショナル・オフィサーや、事務を担う一般職もあります。
JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)
JPOは、各国政府が費用を負担して若手を国際機関に送り出す制度です。
UN Womenでは、P1かP2の職位で採用されます。
UN Womenが示す目安は、通常32歳未満、開発に関連する分野の修士号、関連分野で2年以上の有給の職務経験で、途上国での経験が望ましいとされています。
日本からは外務省がJPOを派遣しており、UN Womenも主な派遣対象機関の一つです。
外務省のJPO派遣制度では、応募できる年齢は35歳以下とされています。
制度の全体像や応募の流れは、国際機関で社会課題解決に関わるキャリアの記事で解説しています。
インターンシップ
UN Womenのインターンは、修士課程・博士課程に在籍している人、学部の最終学年の人、または卒業後2年以内に始められる人が応募できます。
期間は2〜6か月で、多くはフルタイムです。
UN Womenから給与は出ませんが、大学や政府などから資金援助を受けていない場合は、食費や交通費を補う手当が支給されることがあります。
渡航費や保険、住居費は、本人か所属する大学などの負担です。
国連ボランティア・コンサルタント
国連ボランティア(UNV)として、UN Womenの事業に派遣される道もあります。
コンサルタントは、決められた期間に特定の仕事を担う契約で、職員としての採用とは異なります。
国連機関の職員の区分や給与の仕組み、YPPとJPOの違いは、国連職員になるには?の記事で解説しています。
UN Women職員に求められる学歴・経験・語学
UN Womenの国際専門職には、職位ごとに最低限の学歴と経験年数が決まっています(参考:UN Women)。
| 職位 | 必要な職務経験 |
|---|---|
| P1 | 不要 |
| P2 | 2年以上 |
| P3 | 5年以上 |
| P4 | 7年以上 |
| P5 | 10年以上 |
| D1 | 15年以上 |
学歴
学歴は、関連分野の修士号が基本です。
ポストによっては、学士号に2年の追加の職務経験を合わせて、修士号の代わりとして認められます。
たとえば2026年7月の日本事務所のコンサルタント募集では、国際関係、開発学、ジェンダー、コミュニケーションなどの修士号が挙げられていました。
職務経験
職務経験は、応募するポストの分野に関連していることが大切です。
途上国でのジェンダー関連の事業や、政策づくり、データ分析、資金調達などの経験は、UN Womenの仕事に直接つながります。
開発コンサルタントとして途上国のプロジェクトに関わり、実務経験を積んでから国際機関を目指す人もいます。
語学
語学は、英語が必須です。
勤務地によっては、フランス語、スペイン語、アラビア語、中国語、ロシア語のいずれかの知識も求められます。
UN Womenの日本人職員は15人
日本国籍の職員15人の内訳と、国連のジェンダー分野で働いてきた日本人の例を紹介します。
国連システムの人事統計によると、2024年12月31日時点で、1年以上の任用でUN Womenに勤める日本国籍の職員は15人でした。
内訳は、国際専門職が14人、一般職が1人です。
UN Womenの国際専門職は全体で594人なので、日本人の割合は約2%です。
外務省が発表している「国連関係機関の日本人職員979人(2024年末)」は、44の機関を合わせた人数で、UN Womenだけの人数ではありません。
国連のジェンダー分野で働いてきた日本人の例として、COCOCOLOR EARTHが2022年に取材した並木愛さんがいます。
並木さんはUN Womenではなく国連WFPの職員ですが、取材当時はスーダン事務所で、ジェンダー・受益者保護チームのリーダーを務めていました。
女性や子ども、障がいのある人が安全に支援を受けられるようにする仕事です。
民間企業から国連ボランティア、JPOを経て正規職員になった道のりは、国連WFP並木愛さんのインタビューで読めます。
日本にいながら関われる入口
UN Womenの仕事には、日本にいながら関われる入口もあります。
日本事務所のインターン・コンサルタント
UN Women日本事務所は、2026年8月に、9月中旬から6か月間フルタイムで働くインターンを募集しました。
担当は広報、アドボカシー、資金調達の補佐で、英語と日本語の両方が求められます。
2026年7月には、広報・アドボカシーを担当するコンサルタント(期間6か月)の募集もありました。
修士号(または学士号と2年以上の実務経験)に加え、5年以上の業務経験が条件で、即戦力の専門家向けの募集です。
HeForShe
HeForSheは、2014年9月にUN Womenが始めた、男性を含むすべての人にジェンダー平等への参加を呼びかける運動です。
仕事として関わるものではありませんが、個人として賛同を表明し、身近なところから行動を始められます。
WEPs(女性のエンパワーメント原則)
WEPsは、2010年3月に国連グローバル・コンパクトとUNIFEM(現UN Women)が共同でつくった、企業が女性の活躍を進めるための7つの原則です。
2023年3月時点で、300以上の日本企業が署名しています。
就職先を選ぶときに、WEPsに署名しているかどうかは、その会社がジェンダー平等にどう向き合っているかを知る手がかりの一つです。
女性の働き方を支える会社は女性のエンパワーメントに取り組む企業10選で紹介しています。
通常財源の減少と本部ポストの移転・統合検討
UN Womenを目指すなら、資金の減少や組織改革の動きも知っておきましょう。
使い道を限定しない資金が減少
国連の行財政問題諮問委員会の報告によると、UN Womenが2024年に受け取った任意拠出金は約5億7,940万ドルで、前年より5.2%増えました。
ただし、使い道を限定しない通常財源は約1億4,950万ドルで、前年より8.1%減っています。
UN Womenは2026〜27年の通常財源の見通しを、2024〜25年の4億ドルから3億5,000万ドルに引き下げました。
ニューヨークの50ポストを移転する計画
2026〜27年の予算案では、ニューヨークにある50のポストを、ドイツのボンやケニアのナイロビなど、費用の低い勤務地に移す計画が示されています。
これは、組織予算でまかなうニューヨークのポストの約31%に相当する規模です。
移転は「地域と国への軸足の移動」と呼ばれる改革の一部で、対象のポストは今後さらに増える可能性があるとされています。
UNFPAとの統合の検討
2025年9月、国連事務総長は国連改革「UN80」の報告書で、UNFPA(国連人口基金)とUN Womenを統合した場合の利点を詳しく評価すると表明しました。
2026年4月にまとまった評価報告書は、統合を「特定の条件のもとで進めるなら技術的に妥当な案」と位置づけています。
一方、UN Womenの執行理事会は2026年9月、統合を支持する勧告は現時点ではできないと表明しました。
あわせて、統合以外の選択肢を検討するよう求めています(参考:UN Women事務局長のスピーチ)。
統合するかどうかは、2026年10月時点で決まっていません。
組織の形が変わる可能性もあるため、UN Womenだけを目標にせず、ジェンダーの専門性を積める場所を広く見ておくと安心です。
UN Women以外でジェンダーの課題に関わる道
ジェンダーの課題に関わる方法は、UN Womenで働くことだけではありません。
ここでは、4つの働き方を紹介します。
国連の他機関のジェンダー担当
ほかの国連機関にも、ジェンダーや保護を担当する専門職があります。
先ほど紹介した並木愛さんも、国連WFPで女性や子どもが安全に支援を受けられる仕組みをつくる仕事をしていました。
食料、難民、保健など、関心のある分野の機関でジェンダーを担当するのも一つの道です。
JICAのジェンダー担当
JICA(国際協力機構)は、途上国での事業にジェンダーの視点を組み込む「ジェンダー主流化」を進めています。
JICA職員の採用ルートはJICAで働くには?の記事にまとめました。
開発コンサルタントのジェンダー専門家
開発コンサルタントのジェンダー専門家として、JICAの案件で調査や研修を担う働き方もあります。
企業のD&I推進・WEPs
企業の中で、女性の活躍やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を進める仕事もあります。
人事やサステナビリティの部署で、女性リーダーの育成や働き方の制度づくりを担う仕事です。
ここでは、WEPsに署名している2社を紹介します。
株式会社資生堂
株式会社資生堂は、化粧品の研究開発・製造・販売を手がける会社です。
WEPsに署名し、女性リーダーの育成を経営の重点に掲げています。
2026年1月1日時点で、国内の管理職に占める女性の割合は43.3%です。
2030年までに、国内のあらゆる階層で女性リーダー比率50%を目指しています(参考:株式会社資生堂)。
東京ガス株式会社
東京ガス株式会社は、都市ガスや電気を供給するエネルギー会社です。
2025年4月15日に社長がWEPsに署名し、女性活躍推進へのトップコミットメントを表明しました。
2023〜2025年度の中期経営計画では、女性管理職比率や男性の育休取得率(1か月)を指標に設け、進捗を管理しています(参考:東京ガス株式会社)。
ジェンダーの課題に取り組むほかの会社は、ジェンダーの問題に取り組む企業10選で紹介しています。
社会的企業
途上国の女性を支える事業を、社会的企業として運営する道もあります。
COCOCOLOR EARTHが2021年に取材した小路麻美さんは、国税局で約15年働いたあと、出産をきっかけに女性の働き方を見つめ直して転身しました。
取材当時は、ミャンマーで貧困層の女性向けにマイクロファイナンス事業を行うMJI社で、内部監査の改善や資金調達の計画を担っていました。
国税局での差し押さえや滞納処分の経験が、貸したお金を適正に回収する仕組みづくりに生きていると話しています。
公務員から社会的企業へ進んだ経緯は、MJI社 小路麻美さんのインタビューで読めます。
ジェンダー以外の課題を担う国際機関も含めた全体像は、国際機関一覧の記事で紹介しています。
よくある質問
UN Womenで働くことについて、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. UN Women日本事務所で働くことはできますか?
A. 日本事務所でも、インターンやコンサルタントの募集が行われています。2026年8月には広報・アドボカシー・資金調達を補佐するインターン(6か月・フルタイム)、7月には広報・アドボカシー担当のコンサルタント(6か月)の募集がありました。どちらも英語と日本語の両方が求められます。日本事務所は2015年に開設された連絡事務所で、募集はその都度、日本事務所のサイトのお知らせで告知されます。関心がある人は、お知らせをこまめに確認しておくとよいでしょう。
Q. UN Womenのインターンに給料はありますか?
A. UN Womenのインターンには、給与は支払われません。ただし、大学や政府、奨学金などから資金援助を受けていない場合は、勤務地での食費や交通費など、日々の基本的な支出を補う手当が支給されることがあります。渡航費、保険、住居費などは、本人か所属機関の負担です。期間は2〜6か月で、修士・博士課程に在籍中の人、学部の最終学年の人、卒業後2年以内に始められる人が応募できます。応募前に、生活費の見通しを立てておきましょう。
Q. 新卒でUN Womenの職員になれますか?
A. UN Womenの国際専門職は、修士号が基本です。P1は職務経験が不要ですが、P2では2年以上、P3では5年以上の経験が求められます。若手向けのJPOでも、修士号と2年以上の職務経験が目安です。学生のうちはインターンに挑戦し、卒業後は企業のD&I推進やJICA、開発コンサルタント、NGOなどでジェンダーに関わる経験を積むのが現実的な道筋です。どの分野の専門性を身につけるかを早めに考えておくと、進路を選びやすくなります。
Q. UN Womenで働く日本人は何人いますか?
A. 国連システムの人事統計によると、2024年12月31日時点で、1年以上の任用でUN Womenに勤める日本国籍の職員は15人でした。内訳は国際専門職14人と一般職1人で、UN Women全体の職員1,308人のごく一部です。外務省が発表している979人という数字は、44の国連関係機関を合わせた日本人職員数で、UN Womenだけの人数ではありません。UN Womenは外務省がJPOを派遣する主な対象機関の一つでもあります。
まとめ
UN Womenで働くには、ジェンダーに関わる専門性と実務経験、そして英語を中心とした語学力が求められます。
入り口には、空席公募、JPO、国連ボランティア、インターン、コンサルタントがあり、日本事務所でもインターンやコンサルタントの募集があります。
まずはUN Womenの採用サイトと日本事務所のお知らせで、関心のある募集要項を読んでみてください。
足りない経験が見えたら、企業のD&I推進やJICA、開発コンサルタント、NGOで積んでいくのが近道です。
ジェンダー平等に取り組む企業は、ココキャリアで探すことができます。
並木さんや小路さんも、それぞれの経験を生かしてジェンダーの課題に向き合ってきた人たちです。
あなたの「性別で生き方が狭められない社会をつくりたい」という思いも、確かなキャリアにつなげていけます。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
