2026年11月、「#さす九(さすが九州)」を取り上げた幻冬舎plusの記事が、はてなブックマークで300件を超えるブックマークを集めました。

ジェンダー格差は、地域によって違うのでしょうか。

この記事では、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の2026年版で九州・沖縄の8県を分野別に確かめます。

あわせて、全国の賃金や家事時間の数字を見て、格差の改善に仕事で関わるキャリアも紹介します。

ジェンダーに関する企業やキャリアの情報は、以下のページから探せます。

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「#さす九」とは

「#さす九」とは、「さすが九州」の略で、九州の男性が男尊女卑的に振る舞ったときに、皮肉を込めて使われるネット上の言葉です。

幻冬舎plusの記事によると、起源は特定できていませんが、遅くとも2024年の夏ごろにはネット上で使われていたようです。

2025年3月には、西日本新聞が朝刊一面で「九州の住民から『地域差別だ』の声」と報じました。

一方、この記事を紹介したXの投稿は1週間足らずで2.9億回表示され、九州で育った女性たちの体験談が次々と寄せられました。

同じ記事では、次のような例が紹介されています。

  • 長崎の祖父の家で、親戚の男性にお茶を出した祖父に「女が持って来い!」と怒鳴り声が上がった(弁護士ドットコムニュースが募った読者の体験談)
  • 「女の子だから」と県外への進学や進学そのものを反対された(Xの投稿)
  • 祭りの席で、女性陣は台所で働いていた(著者の室越龍之介氏の経験)

いずれも、性別で役割を決めつけるジェンダーバイアスに関わる場面です。

時期できごと
遅くとも2024年の夏ごろネット上で使われていたとされる
2025年3月西日本新聞が朝刊一面で報道
2026年11月幻冬舎plusの記事が公開される

参考:幻冬舎plus「九州男児、東京を人類学する」第3回(2026年11月5日)


女性差別と地方差別は別の問題

室越氏は、女性差別の告発か地方差別かという対立を「まやかし」だと述べています。

理由は、「一つは女性差別の問題、もう一つは地方差別の問題で、二つはまったく別々の問題だから」です。

地域への偏見があるからといって、そこで起きたジェンダーの問題がなくなるわけではありません。

逆に、問題があるからといって、その地域の人を一括りにしてよいわけでもありません。

都道府県版ジェンダー・ギャップ指数で比べる

「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」は、地域からジェンダー平等研究会が公表している指数で、2026年版は3月の国際女性デーに合わせて公表されました。

政治・行政・教育・経済の4分野、計30の指標で各都道府県の男女格差を数値にしたもので、1に近いほど平等です。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関わる状況を、身近な地域の単位で見ることができます。

共同通信が公開している順位のデータは4分野別で、総合順位の列はありません。

そのため、ここでは分野ごとに見ていきます。

47NEWSによると、指標には地元の議員、県庁や役場の管理職、学校の校長、民間企業の社長などが含まれます。

そのため、お茶や祭りの席といった一つひとつの場面を、この指数で直接確かめることはできません。

4分野の1位と最下位(2026年版)

2026年版の1位と最下位は次のとおりで、いずれも九州・沖縄以外の都道県です。

2026年版の4分野の1位と最下位。行政は鳥取と北海道、教育は徳島と福島、政治は東京と石川、経済は高知と三重
分野1位(スコア)最下位(47位)
行政鳥取(0.514)北海道
教育徳島(0.730)福島
政治東京(0.386)石川
経済高知(0.455)三重

行政の鳥取と政治の東京は5年連続、教育の徳島と経済の高知は2年連続の1位です。

47NEWSによると、東京の政治は都議会と区議会の女性比率の高さが理由とされています。

参考:47NEWS、共同通信「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」公開データ

九州・沖縄8県の順位(2026年版)

九州・沖縄の8県の順位を分野別に並べると、次のようになります。

九州・沖縄8県の2026年版の分野別順位。行政は福岡の6位から宮崎の46位まで
県行政教育政治経済
福岡6位11位24位24位
佐賀21位31位44位8位
長崎22位35位39位24位
熊本35位34位35位10位
大分16位42位29位22位
宮崎46位40位41位24位
鹿児島42位39位29位11位
沖縄19位24位19位2位

行政は福岡の6位(0.378)から宮崎の46位(0.270)まで開いています。

各分野の38位以下(下から10番目まで)に入る8県の数は、行政が2県、教育が3県、政治が3県、経済が0県です。

下位の県がある一方で、県と分野によって順位は大きく違います。

佐賀県のように、経済は8位でも政治は44位という県もあります。

ただし、順位の差とスコアの差は同じではありません。

経済のスコアは全国でも0.410〜0.455の狭い幅に収まっており、順位の差ほど大きく開いているわけではありません。

佐賀新聞によると、佐賀県議会の女性議員は37人中3人で、この項目は40位です。

南日本新聞によると、鹿児島県の行政は2022年が46位、2026年が42位で、40位前後の低迷が続いています。

項目別では、市町村区の管理職の男女比が45位、都道府県職員の育休取得率の男女格差が43位です。

同じ県の中でも、どの指標に課題があるのかは細かく分かれています。

2025年6月の弁護士ドットコムニュースの記事は、指数の順位について、九州が突出して低いわけではなく、ほかの地方でも低いところがあると書いています。

幻冬舎plusの記事は、政治学者の三浦まり氏の話として、2022年公表の指数で夫の家事・育児時間は福岡が全国最下位で、九州には低い順位の県が多いと紹介しています。

そのうえで、時間で見ると九州の男性だけが際立って少ないわけではなく、全国が「どんぐりの背比べ」だとも伝えています。

参考:佐賀新聞(2026年3月8日)、南日本新聞(2026年3月9日)、弁護士ドットコムニュース(2025年6月14日)、幻冬舎plus


順位は年によって動く

順位は固定されたものではなく、多様性を広げる取り組みや指標の動きで変わります。

47NEWSによると、茨城県の行政は、県の審議会や委員会に女性を増やしたことで2025年の31位から2026年の8位に上がりました。

5年連続で行政1位の鳥取県は、女性の登用を積極的に進めてきたとされています。

反対に、順位が下がることもあります。

佐賀県の教育は、2025年の16位から2026年は31位に下がりました。

佐賀新聞によると、四年制大学の進学率は男女とも上がりましたが、男性の伸び率が女性より大きく差が広がったことが、順位の低下につながったとされています。

佐賀県の経済は、同じ1年で12位から8位に上がっています。

1年の順位だけで県を評価せず、どの指標が動いたのかまで見ることが大切です。

参考:47NEWS、佐賀新聞(2026年3月8日)

日本全体の数字を見る

全国の数字を見ると、ジェンダーの格差は九州に限った話ではないことがわかります。

nippon.comによると、世界経済フォーラム(WEF)の2026年版の報告書で、日本は145カ国中117位(スコア0.670)でした。

G7の中で100位以内に入っていないのは日本だけです。

同じ記事によると、ほかのG7の順位は、英国が5位、ドイツが9位、フランスが22位、カナダが24位、米国が47位、イタリアが83位です。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の所定内給与額は男性373,400円、女性285,900円で、男性を100とすると女性は76.6です。

金額にすると、月に87,500円の差があります。

総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、10歳以上の1日あたりの家事関連時間(週全体平均)は女性が3時間24分、男性が51分で、約4倍の差があります。

参考:nippon.com(2026年9月25日)、厚生労働省 賃金構造基本統計調査、総務省 社会生活基本調査


若い女性が地方を離れる理由

地域の格差は、働き方や暮らし方の選択にも関わります。

ジェンダー課題のキャリアを考えるときも、こうした声を知っておくことが手がかりになります。

昭和女子大学客員教授の白河桃子氏は、地方から東京へ出た女性たちが挙げた理由として、「仕事がない。女性役割を押し付けられたくない。結婚・出産の圧力が厳しい」を紹介しています。

そのうえで、「女性が経済的に自立できる土壌が大前提」だと述べています。

参考:弁護士ドットコムニュース(2025年6月14日)

ジェンダー課題に仕事で関わる4つの道

ジェンダー格差の是正に、仕事を通じて関わる方法は複数あります。

ジェンダー課題のキャリアの全体像を踏まえて、主な4つの道を紹介します。

1. 行政・政策立案で制度を変える

国や自治体の男女共同参画部門、内閣府男女共同参画局、地方自治体の政策課などで、制度設計や計画策定に携わります。

公務員採用試験からの入職が一般的です。

2. 企業のダイバーシティ経営を推進する

人事部門やD&I推進室で、女性活躍推進法にもとづく行動計画の策定、えるぼし認定の取得支援、賃金格差の分析と是正に取り組みます。

ジェンダーの問題に取り組む企業では、専門職として採用するケースもあります。

3. NPO・NGOで当事者を支援する

DV被害者支援、シングルマザーの就労支援、性教育、地域のジェンダー意識啓発など、現場で直接支援に関わります。

NPOの給料・年収の実態を確認したうえで、自分に合う関わり方を選ぶことが大切です。

4. 調査・研究でデータをつくる

大学の研究機関、シンクタンク、国際機関で、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数のような調査を設計・分析します。

社会課題解決を仕事にする10職種のまとめも参考にしてください。


まとめ

「#さす九」をきっかけに、ジェンダー格差が地域によってどう違うのかを統計で確かめました。

2026年版の指数では、九州・沖縄の8県に順位の低い分野がある一方で、県と分野によって順位は大きく違い、ほかの地方にも順位の低い県があります。

賃金や家事時間の男女差は全国の数字でも残っています。

順位は取り組みや指標の動きで変わるので、「自分の地域のどの数字が課題なのか」を見ることが次の一歩になります。

ジェンダー課題に仕事として関わりたい方は、ココキャリアでキャリア情報を探すことができます。

≫ジェンダーに取り組む企業・キャリア情報をまとめて見る

よくある質問

「#さす九」やジェンダー格差について、よくある疑問に答えます。

Q. さす九とはどういう意味ですか?

A. 「さす九」は「さすが九州」の略で、九州の男性が男尊女卑的に振る舞ったときに、皮肉を込めて使われるネット上の言葉です。幻冬舎plusの記事によると、起源は特定できていませんが、遅くとも2024年の夏ごろには使われていたようです。2025年3月には西日本新聞が朝刊一面で「九州の住民から『地域差別だ』の声」と報じ、紹介投稿には九州で育った女性たちの体験談も寄せられました。同じ記事の著者の室越龍之介氏は、女性差別と地方差別は別々の問題だと述べています。あわせて統計を見ることが大切です。

Q. ジェンダーギャップ指数で日本は何位ですか?

A. nippon.comによると、世界経済フォーラム(WEF)の2026年版の報告書で、日本は145カ国中117位(スコア0.670)でした。G7の中で100位以内に入っていないのは日本だけです。国内の統計でも、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、男性を100としたときの女性の賃金は76.6です。総務省の令和3年社会生活基本調査では、1日の家事関連時間は女性が3時間24分、男性が51分でした。

Q. 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数とは何ですか?

A. 「地域からジェンダー平等研究会」が公表している指数で、2026年版は3月の国際女性デーに合わせて公表されました。政治・行政・教育・経済の4分野、計30の指標で各都道府県の男女格差を数値にしており、1に近いほど平等です。2026年版の1位は、行政が鳥取、教育が徳島、政治が東京、経済が高知でした。最下位は順に、北海道、福島、石川、三重です。共同通信が順位とスコアのデータを公開しているので、自分の県の数字を分野ごとに確かめることができます。総合順位の列はありません。

Q. ジェンダー問題に関われる仕事にはどのようなものがありますか?

A. 主に4つの道があります。行政の男女共同参画部門での政策立案、企業のD&I推進室での女性活躍推進法にもとづく行動計画の策定、NPO・NGOでのDV被害者支援やシングルマザーの就労支援、大学やシンクタンクでのジェンダー統計の調査・研究です。詳しくはジェンダー課題のキャリアで、職種ごとの入口を紹介しています。

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