近年、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を耳にする機会が増えています。

その中でも「陸の豊かさも守ろう」は、私たちの生活に直結する重要なテーマです。

しかし、具体的に何を指しているのか、なぜ重要なのかを理解している人は少ないかもしれません。

この記事では、初めてSDGsに関心を持った人に向けて、「陸の豊かさも守ろう」の基本的な情報をわかりやすく解説します。

陸の豊かさを守るために何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

陸の豊かさも守ろうとは

「陸の豊かさも守ろう」は、SDGsの15番目の目標で、「Life on Land」とも呼ばれています。

この目標は、陸上の生態系を保護し、持続可能な形で利用することを目指しています。

具体的には、森林の保全、砂漠化の防止、生物多様性の保護などが含まれます。

陸上の生態系は、私たちの生活に欠かせない資源を提供しており、その豊かさを守ることは、未来の世代にとって非常に重要な課題です。

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」です。

2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成されています。

これらの目標は、貧困、飢餓、健康、教育、気候変動、環境保護など、多岐にわたる課題を包括的に解決することを目指しています。

SDGsは、政府や企業だけでなく、個人も含めたすべての人々が協力して取り組むべきグローバルな課題です。


陸の豊かさも守ろうを構成するターゲット

「陸の豊かさも守ろう」には、以下のようなターゲットが設定されています。

15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

陸の豊かさも守ろうが生まれた背景

「陸の豊かさも守ろう」が生まれた背景には、地球環境の急速な悪化があります。

過去数十年間で、森林の減少、砂漠化の進行、生物多様性の喪失が深刻化しています。

特に、開発や農業の拡大による森林破壊、気候変動による干ばつや洪水の増加、違法な野生生物取引などが問題視されています。

これらの問題は、生態系のバランスを崩し、私たちの生活にも大きな影響を与えています。

そのため、国際社会はこれらの課題に取り組むために「陸の豊かさも守ろう」という目標を設定しました。


陸の豊かさも守ろうの現状

陸の豊かさも守ろうの現状について解説します。

森林の減少と劣化

現在、世界では年間約1,300万ヘクタールの森林が失われています。

主な原因は農業や開発のための土地転用、違法伐採、気候変動です。

特に熱帯雨林の減少が深刻で、生物多様性の喪失や二酸化炭素吸収能力の低下を招いています。

森林の劣化も進み、生態系のバランスが崩れ、多くの動植物が絶滅の危機にさらされています。

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砂漠化と土地の劣化

砂漠化は、特に乾燥地帯で深刻で、年間約1,200万ヘクタールの土地が砂漠化しています。

過剰な農業や放牧、気候変動による干ばつが主な原因です。砂漠化が進むと、農地や牧草地が失われ、食料生産が困難になります。

土地の劣化も進み、土壌の栄養分が失われることで、食料安全保障が脅かされています。

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生物多様性の喪失

生物多様性の喪失は急速に進んでおり、多くの種が絶滅の危機に瀕しています。

森林減少や土地劣化、気候変動、外来種の侵入がその主な原因です。

特に絶滅危惧種の保護が急務で、生態系のバランスが崩れると、食料や水、薬など私たちの生活に必要な資源が得られなくなる可能性があります。

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陸の豊かさも守ろうの課題

陸の豊かさも守ろうの課題について解説します。

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森林の持続可能な管理の難しさ

森林の持続可能な管理には、違法伐採や土地転用を防ぐための規制強化が必要です。

しかし、開発途上国では法整備や監視体制が不十分な場合が多く、対策が進んでいません。

また、森林保全と経済発展のバランスを取ることが難しいという課題もあります。

国際的な協力と資金支援が不可欠です。

砂漠化と土地劣化への対応

砂漠化や土地劣化を防ぐためには、干ばつや洪水に対する適応策が必要です。

しかし、気候変動の影響が大きくなる中で、効果的な対策を講じることが難しくなっています。

特に、開発途上国では技術や資金が不足しており、持続可能な土地管理が進んでいません。

地域コミュニティの能力強化も重要な課題です。

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生物多様性の保護と違法取引の撲滅

生物多様性を保護するためには、違法な野生生物取引を撲滅し、生息地の破壊を防ぐ必要があります。

しかし、密猟や違法取引は依然として深刻で、取り締まりが追いついていません。

また、外来種の侵入を防ぐための対策も不十分です。

生物多様性の価値を社会全体で認識し、行動を起こすことが求められています。

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陸の豊かさも守ろうに取り組む企業3選

陸の豊かさも守ろうに取り組む企業を紹介します。

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株式会社ポリテック・エイディディ

株式会社ポリテック・エイディディは、都市や環境をテーマに、幅広いコンサルティングサービスを提供している企業です。

都市計画から環境アセスメント、さらには生物多様性保全まで、多岐にわたる分野で専門的な知識と経験を持ち、地域社会の発展に貢献しています。

都市や環境は、さまざまな要素が複雑に絡み合い、地域により異なった様相を呈しています。同社は長年にわたる経験と実績を基に、課題解決に取り組んでいます。

HP:https://www.polyadd.co.jp/

株式会社ポリテック・エイディディの事業内容や創業理由を詳しく見る

株式会社バイオーム

株式会社バイオームは、生物多様性に関するビッグデータプラットフォームの構築を軸に、多様なサービスを提供しているベンチャー企業です。

特に、市民科学の概念を取り入れ、一般の人々が収集した生物のデータを活用することで、より詳細な生態系の理解を目指しています。

テクノロジーを活用して誰もが簡単に生物多様性に関わる取り組みは、学術界だけでなく、企業や市民社会からも注目され、さまざまな賞を受賞しています。

HP:https://biome.co.jp/

株式会社バイオームの事業内容や創業理由を詳しく見る

カロラータ株式会社

カロラータ株式会社は、生物・自然が持つ真の美しさ、あり方を正しく伝えていくことを使命とし、さまざまな商品を通じて、人々に生物や自然への理解を深めてもらうことを目指している企業です。

生物・動物の分野に特化し、専門知識をベースにしたオリジナルの商品コレクションを構築しています。

それぞれの生物の特徴を捉えたデザインや、正確な学術的な情報を商品に盛り込むことで、生物への理解を深めるきっかけを提供しています。

HP:http://colorata.co.jp/

カロラータ株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る

陸の豊かさも守ろうに対して私たちができること5選

「陸の豊かさも守ろう」を実現するために、私たち一人ひとりが日常生活でできることを5つ紹介し、それぞれ解説いたします。

これらの行動は、小さな一歩かもしれませんが、積み重ねることで大きな変化につながります。

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エコフレンドリーな製品を選ぶ

森林保護や生物多様性に配慮した製品を選ぶことで、持続可能な消費を促進できます。

例えば、FSC(森林管理協議会)認証を受けた木材製品や紙製品を選ぶことで、違法伐採を防ぎ、持続可能な森林管理を支援できます。

また、オーガニックコットンやリサイクル素材を使った衣類を選ぶことも、環境負荷を減らす一歩です。消費者の選択が企業の行動を変える力になります。

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リサイクルとリユースを心がける

資源の無駄を減らし、廃棄物を削減することで、陸上の生態系への負荷を軽減できます。

例えば、プラスチック製品の使用を減らし、再利用可能な容器やバッグを使うことが有効です。

また、紙やプラスチックのリサイクルを徹底することで、森林や海洋の保護に貢献できます。

リユース(再利用)を意識した生活は、資源の循環を促進し、環境への負担を減らします。

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地元の食材を選ぶ

地元で生産された食材を選ぶことで、輸送による環境負荷を減らし、持続可能な農業を支援できます。

地元の食材は、輸送距離が短いため、二酸化炭素の排出量が少なくて済みます。

また、地元の農家を支援することで、地域経済の活性化にもつながります。

さらに、有機栽培や無農薬の食材を選ぶことで、土壌や生態系への負荷を軽減できます。

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環境保護活動に参加する

植林活動や清掃活動に参加することで、直接的に陸上の生態系を守ることができます。

植林は、森林の回復や砂漠化防止に効果的です。

また、地域の清掃活動に参加することで、ゴミによる環境汚染を防ぎ、生態系を守ることができます。

これらの活動は、地域コミュニティの絆を深めながら、環境保護への意識を高める機会にもなります。

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情報を学び、共有する

SDGsや「陸の豊かさも守ろう」について学び、周りの人々と情報を共有することで、意識を高めることができます。

例えば、SNSやブログで環境問題に関する情報を発信したり、友人や家族と話し合ったりすることで、多くの人に問題の重要性を伝えることができます。

知識を広めることは、社会全体の意識改革につながり、より大きな行動を促すきっかけになります。

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まとめ

「陸の豊かさも守ろう」は、SDGsの重要な目標の一つであり、私たちの生活に直結するテーマです。

陸上の生態系を守ることは、未来の世代にとって非常に重要な課題です。

この目標を達成するためには、政府や企業だけでなく、個人の行動も不可欠です。

日常生活でできる小さなことから始めて、持続可能な未来を一緒に築いていきましょう。

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