UNEP(国連環境計画)では、3,000人近くが41の国と地域で働いています(参考:UNEP、2026年3月31日更新)。

本部はケニアのナイロビにあり、日本にも大阪に国際環境技術センター(IETC)という拠点があります。

「気候変動やプラスチックごみの問題に、世界規模で関わる仕事がしたい」。

そう考えたとき、候補に挙がる職場の一つがUNEPです。

ただ、UNEPにどんな仕事があり、どこから応募できるのかは、日本語の情報が少なく、わかりにくいですよね。

ここでは、UNEP職員の仕事と職種、4つの採用ルート、求められる学歴・経験・語学、日本人職員の状況を、UNEPと国連の公式情報をもとに紹介します。

UNEPに入らなくても、環境問題に国際的な視点で関わる道もあわせて紹介します。

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UNEPとは

UNEP(国連環境計画)とは、地球規模の環境問題について各国の協力をまとめ、国連の中で環境分野の取り組みを先導する機関です。

外務省によると、UNEPは1972年6月にストックホルムで開かれた国連人間環境会議の提案を受け、同じ年の国連総会決議に基づいて設立されました。

本部はナイロビにあり、アジア太平洋地域の事務所はバンコクに置かれています。

最高意思決定機関の国連環境総会(UNEA)には、国連加盟国193か国すべてが参加します。

UNEPが取り組む社会課題

UNEPは、気候変動、自然・土地・生物多様性の損失、汚染と廃棄物の3つを「3つの地球の危機」と呼び、その解決に取り組んでいます(参考:UNEP)。

各国の環境の状態を調べて報告書にまとめたり、途上国が環境の法律や制度を整えるのを支えたりするのが主な仕事です。

国際条約の事務局も担っており、オゾン層を守るウィーン条約とモントリオール議定書、有害廃棄物の越境移動を規制するバーゼル条約、生物多様性条約などの事務局に指定されています。

海洋プラスチックをはじめとするプラスチックごみも、「汚染と廃棄物」の危機に含まれる課題です。

大阪のUNEP国際環境技術センター(IETC)

UNEP国際環境技術センター(IETC)は、1992年に大阪に設立されたUNEPの拠点です。

所在地は大阪市鶴見区緑地公園で、地下鉄長堀鶴見緑地線の鶴見緑地駅から歩いて5分ほどです(参考:UNEP IETC)。

IETCは、途上国を中心に、環境への負荷が少ない技術の導入を支援してきました。

2011年からは廃棄物管理の技術に絞って活動し、2012年には廃棄物管理に関する世界的な拠点としての役割も与えられました(参考:UNEP IETC)。

大阪市はIETCと連携する事業を行っており、2024年度にその業務を受託したのは公益財団法人地球環境センター(GEC)です(参考:GEC)。

ごみの削減やリサイクルに事業として取り組む会社は、ごみ問題に取り組む企業10選で紹介しています。

UNFCCC・IPCCとの違い

環境分野の国際機関には、UNEPと役割が混同されやすい組織がいくつかあります。

組織 正式名称 役割 拠点
UNEP 国連環境計画 環境分野全体の調整・条約事務局・途上国支援 ナイロビ
UNFCCC事務局 国連気候変動枠組条約事務局 気候変動の条約とパリ協定の運営 ボン
IPCC 気候変動に関する政府間パネル 気候変動の科学的知見を評価する報告書の作成 ジュネーブ

UNEPは環境全体を扱うのに対し、UNFCCC事務局とIPCCは気候変動に特化した組織です。

IPCCは、1988年に世界気象機関(WMO)とUNEPによって設立されました。

環境以外の分野も含めた主な国際機関は、国際機関一覧の記事で社会課題別に紹介しています。


UNEP職員の仕事と職種

UNEPでは、環境の専門家だけでなく、事業管理や広報を担う人も働いています。

UNEPの採用ページによると、UNEPの人員は、区分や職位の異なる職員、コンサルタント、国連ボランティア、インターンで構成されています。

UNEPの職員は、国連事務局の職員として採用されます。

募集は国連の採用サイト「UN Careers」に掲載され、応募は国連の採用システム「Inspira」から行います。

国際専門職・一般職といった職員の区分や給与の仕組みは国連の機関に共通で、国連職員になるには?の記事で詳しく解説しています。

環境プロジェクトを動かす専門職

UNEPの専門職の中心は、環境分野の事業を計画し、各国のパートナーと一緒に進める仕事です。

たとえば2026年1月には、ナイロビの生態系部で、食料システムの転換を経済面から後押しする事業を担うP3のプログラム管理官が募集されました(参考:UN Careers)。

インドとケニアで進める事業の運営や進み具合の確認、報告書の作成などを担当するポストです。

環境経済学などの修士号と、環境の経済的な価値を評価する事業で5年以上の経験が求められていました。

条約事務局の仕事

UNEPが事務局を担う条約のもとで、各国の会議を支える仕事もあります。

ウィーン条約とモントリオール議定書の事務局は1989年からUNEPが担っており、ナイロビにオゾン事務局が置かれています。

2026年7月にオゾン事務局で募集された3か月間のインターンでは、各国から提出された資料の分析や、会議の背景資料づくりの補助が仕事として示されていました(参考:UN Careers)。

政府間の交渉を裏方として支える仕事で、国際的なルールづくりの現場を間近で見られます。

環境分野以外の職種

UNEPには、環境の専門知識を直接使う仕事以外のポストもあります。

2026年10月には、ナイロビの広報部門で働く6か月間のインターンが募集されました(参考:UN Careers)。

世界環境デーや、環境分野で活躍する人を表彰する「Champions of the Earth」に関わる広報資料づくり、協力団体とのやり取りを手伝う仕事です。

専攻は、コミュニケーションや国際関係、環境に関わる分野が望ましいとされていました。

UNEP職員になる4つのルート

UNEPで働くための入り口は、大きく4つあります。

それぞれ対象となる人や条件が異なるため、自分の経験に合うルートを選びましょう。

空席公募

空席公募は、空いたポストごとに人を募集する、UNEPの基本的な採用方法です。

募集はUN Careersで公開され、ポストごとに専門分野・学歴・経験年数・語学の条件が決まっています。

先ほどのP3のプログラム管理官の場合、最初の任期は1年で、延長される可能性があるとされていました。

UNEPは、採用のどの段階でも手数料を求めないと明記しています(参考:UNEP)。

JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)

JPOは、各国政府が費用を負担して、自国の若手を国際機関に送り出す制度です。

外務省のJPOは、35歳以下で、修士号と2年以上の職歴をもつ日本国籍の人が対象で、派遣期間は原則2年間です(参考:外務省国際機関人事センター)。

任期が終わっても自動的に正規職員になれるわけではなく、派遣中に実績を積み、空席ポストに応募して採用される必要があります。

UNEPではありませんが、COCOCOLOR EARTHがインタビューした国連WFPの並木愛さんは、JPOから国連機関の正規職員になった一人です。

コンサルティング会社で働いたあと、国連ボランティアとしてジンバブエの国連WFPに参加し、国連WFPのJPOとして3年間ルワンダ事務所で勤務しました。

1度目のJPO応募は書類審査で不合格となり、2度目はJPO合格者20人ほどに連絡を取って助言をもらい、準備を重ねたそうです。

その後、2021年に正規職員の登用試験に合格し、2022年の取材当時はスーダン事務所で働いていました。

JPOに合格するまでの準備は、国連WFP並木愛さんのインタビューで読めます。

インターンシップ

UNEPのインターンは、国連ナイロビ事務局(UNON)が運営する国連のインターン制度で募集され、期間は2〜6か月です(参考:UNON)。

2026年7月のオゾン事務局の募集では、大学院に在籍中か修了した人、または学部の最終学年に在籍中か卒業した人が応募できました。

職務経験は求められませんが、インターンの仕事に近い分野を学んでいることが条件です。

インターンには国連から報酬が支払われず、渡航費や滞在費は自己負担です(参考:UN Careers)。

費用の準備は必要ですが、学生のうちにUNEPの仕事を内側から経験できる数少ない機会です。

コンサルタント・国連ボランティア

UNEPの人員には、職員のほかにコンサルタントや国連ボランティアも含まれます(参考:UNEP)。

コンサルタントは、事業の評価や調査など期限のある仕事を、外部の専門家として請け負う働き方です。

UNEPの採用ページでは、国連ボランティアの最新の募集も案内されています。

並木さんのように、国連ボランティアで現場を経験してからJPOや正規職員に進む人もいます。


UNEP職員に求められる学歴・経験・語学

UNEPの専門職には、ポストごとに学歴・経験・語学の条件が示されます。

ここでは、実際の募集要項をもとに、それぞれの目安を紹介します。

学歴

専門職の募集では、修士号以上を学歴の条件とするポストが中心です。

先ほどのP3のポストでは、環境経済学や農業経済学などの修士号が条件で、学士号に経験を合わせれば代わりになるとされていました。

環境政策、環境科学、開発学など、ポストの仕事に直接つながる分野の学位が求められます。

海外の大学院に進む場合の準備は、海外大学院に強い正規留学エージェント5選も参考になります。

職務経験

経験年数として数えられるのは、そのポストの仕事に関連する経験です。

P3のポストでは、事業管理の経験5年以上に加えて、地理情報システム(GIS)を使った分析の経験2年以上も条件でした。

国連や国際機関での勤務経験は、必須ではなく「望ましい」とされていました。

語学

国連事務局の作業言語は英語とフランス語で、ここで紹介した3件の募集はいずれも英語を必須としていました。

国連公用語は、英語・フランス語・スペイン語・ロシア語・中国語・アラビア語の6つです。

インターンの募集でも英語の読み書きと会話が必須で、ほかの国連公用語ができると評価されます。

UNEPを含む国連関係機関の日本人職員は979人

UNEPだけの日本人職員数は、外務省の公表資料では確認できませんでした。

ここでは、UNEPを含む国連関係機関全体の数字を紹介します。

外務省によると、2024年末時点で国連関係機関(44機関)の専門職以上で働く日本人は979人で、そのうち女性は618人(63.1%)でした。

幹部にあたるD1以上の日本人は94人です。

979人のうち476人はJPOの経験者で、日本人が国際機関に入る道としてJPOが大きな役割を果たしていることがわかります(参考:外務省国際機関人事センター)。

UNEPは採用ページで、職員の出身国のバランスを整える国連事務局の方針に取り組むと掲げています(参考:UNEP)。

国際機関を目指すキャリアの組み立て方は、国際機関で社会課題解決に関わるキャリアの記事で紹介しています。


UNEP以外で環境に関わる道

国際的な環境問題には、UNEPの外からも関われます。

UNEPの外にも環境問題に携わる仕事は多く、UNEPと一緒に仕事をする組織で経験を積めば、将来UNEPに応募するときの実務経験にもなります。

環境省・自治体

環境省は、国の環境政策をつくり、国際的な環境交渉や国際機関との協力にも関わる役所です。

IETCとの連携事業を行う大阪市のように、自治体がUNEPと協力する例もあります。

国立公園などの現場で自然を守る仕事に関心があれば、自然保護官(レンジャー)になるには?の記事も参考にしてください。

環境コンサルタント

環境コンサルタントは、国や自治体、国際機関から依頼を受けて、環境政策の調査や計画づくりを担う仕事です。

企業の環境対応を支えるサステナビリティコンサルタントも、近い分野の仕事です。

COCOCOLOR EARTHがインタビューした河村泰志さんは、広告制作会社でデータアナリストとして3年半働きました。

その後、イギリスのサセックス大学の大学院で持続可能な開発を学んでいます。

修了後は株式会社エックス都市研究所で国際環境政策分野のコンサルタントになりました。

インタビュー当時の2024年には、環境省などの政府機関やUNEPなどの国際機関と仕事をしていました。

大学院で政策的なアプローチを学び、国際機関の重要性を知ったことで、国際機関や政府機関に関わる仕事に関心が移ったそうです。

国際協力の分野でキャリアを進めるには修士号が必須だと思う、とも語っています。

大学院進学の費用や準備、キャリアの変化は、河村泰志さんの社会人大学院インタビューで読めます。

NGO・公益法人

環境NGOや公益法人の中にも、UNEPと協力して活動する団体があります。

公益財団法人地球環境センター(GEC)

公益財団法人地球環境センター(GEC)は、大阪を拠点に、途上国の環境問題の解決を技術面から支える団体です。

2024年度は大阪市からIETCとの連携事業を受託し、国際ワークショップの開催やIETCの広報を支援しました。

2024年6月には、UNEPの大気の質と健康に関するワーキンググループ会合を大阪市と共催しました。

同じ年度には、UNEPから受託した事業で、アジア太平洋の17か国・27人の行政官を大阪に招き、プラスチックの資源循環を学ぶ研修も行っています(参考:GEC)。

環境省やWWFジャパンなど、環境分野で働ける組織の種類と入り方は、環境分野で働ける組織一覧にまとめています。

企業

日本企業の中にも、UNEPの枠組みに参加して環境問題に取り組む会社があります。

その一つが、UNEPと世界の金融機関が協力するUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)です。

次の2社は、UNEP FIが提唱した「責任銀行原則」に署名しています。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ

株式会社三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行などを傘下にもつ金融グループです。

2019年9月22日に発足した責任銀行原則に、同じ月に署名しました。

署名した銀行は、事業が環境や社会に与える影響を把握し、よい影響を広げて負荷を減らすための自主目標を掲げることが求められます。

そのために取引先のESG情報を使うことも求められ、グループの日本総合研究所が上場企業のESG情報を集めて分析しています(参考:三井住友フィナンシャルグループ)。

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJ銀行などを傘下にもつ金融グループです。

同じく2019年9月に責任銀行原則に署名し、2021年3月にはその実施状況を公表しました。

責任銀行原則は、SDGsやパリ協定と整合した事業活動を銀行に促すための原則です。

MUFGはこれを踏まえ、社会課題の解決を起点にした戦略づくりを強めるとしています(参考:三菱UFJフィナンシャル・グループ)。

ほかの業界も含め、環境問題に取り組む会社は環境問題に取り組む企業一覧10選で紹介しています。

よくある質問

UNEPで働くことについて、よく寄せられる質問にお答えします。

Q. UNEP職員の年収はどのくらいですか?

A. UNEPの職員は国連事務局の職員として採用され、給与は国連共通の給与表に沿って決まります。国際人事委員会(ICSC)の2026年1月1日の給与表では、国際専門職の基本給(各職位の初号)は、P2が年56,046ドル、P3が71,335ドル、P4が86,027ドルです。実際の支給額には、勤務地の物価に応じた調整額が加わります。契約や職位によっては住居や子どもの教育に関する手当もあるため、具体的な条件は募集要項で確認しましょう。

Q. 理系でなくてもUNEPで働けますか?

A. 働けます。UNEPの仕事は、環境科学の研究だけではありません。実際の募集でも、環境経済学の修士号を求める事業管理のポストや、広報を支えるインターンなどがあります。環境政策、開発学、法律、経済、広報など、文系の専門性が生きる仕事も多くあります。ただし専門職は、ポストの仕事に直接つながる分野の修士号と実務経験を求めることが多いため、関心のある分野の募集要項を読み、必要な学位と経験を逆算して準備しましょう。

Q. 新卒でUNEPに入ることはできますか?

A. 大学を卒業してすぐUNEPの正規職員になるのは、簡単ではありません。専門職の多くは修士号と数年の実務経験を求めているためです。学生のうちにできることとしては、2〜6か月のインターンへの応募があります。学部の最終学年から応募でき、職務経験は問われません。卒業後は、環境コンサルタントや環境省、NGO、企業などで経験を積み、35歳以下が対象のJPO試験や空席公募に挑戦するのが現実的な道筋です。大学院に進む時期も、早めに計画しておきましょう。

Q. 日本でUNEPに関わる方法はありますか?

A. あります。大阪市鶴見区には、1992年に設立されたUNEP国際環境技術センター(IETC)があり、廃棄物管理の分野で世界的な拠点の役割を担っています。大阪市はIETCと連携する事業を行っており、2024年度は公益財団法人地球環境センターが国際ワークショップの開催などを担いました。また、環境コンサルタントとして国や国際機関の調査を受託したり、UNEP FIの枠組みに参加する金融機関で働いたりと、日本にいながらUNEPと関わる道もあります。


まとめ

UNEPで働くには、環境分野の専門性と実務経験、そして英語を中心とした語学力が求められます。

入り口は、空席公募、JPO、インターン、コンサルタント・国連ボランティアの4つで、国連関係機関の日本人職員の半数近くはJPOの出身です。

まずはUN Careersで、UNEPの募集要項を一度読んでみてください。

求められる学位や経験が具体的にわかると、大学院に進むべきか、環境コンサルや企業でどんな経験を積むべきかが見えてきます。

環境問題に取り組む企業は、ココキャリアで探すことができます。

国際協力に関わる企業やキャリアの情報は、国際協力に取り組む企業・キャリア情報のページにもまとめています。

大阪のIETCのように、UNEPの仕事は日本からも案外近くにあります。

今いる場所で経験を重ねながら、地球の環境を守る仕事に一歩ずつ近づいていきましょう。

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