2025年9月時点で、世界198の国・地域のうち137が、ネットゼロ(実質ゼロ)の目標を掲げています。
世界の大企業2,000社のリスト「Forbes Global 2000」では、追跡対象の上場企業の63%にあたる1,245社が目標を持っています。
ところが、目標の立て方や中身について最低限の条件を満たしていた企業は、そのうち7%の90社でした。
「実質ゼロ」「ネットゼロ」「カーボンニュートラル」「脱炭素」は、ニュースや企業の採用ページでよく目にする言葉です。
どれも同じ意味なのか、「実質」とはどういうことなのか、企業の宣言は何を見れば中身がわかるのか。
6つの用語の違いを1つの表に整理し、企業のネットゼロ目標の仕組み、就活で使える宣言の読み方、関わる仕事の順に紹介します。
参考:Net Zero Tracker「Net Zero Stocktake 2025」(2025年9月、英文PDF)
※【企業様向け】脱炭素・ネットゼロへの取り組みをPRしませんか?
環境問題に関する企業やキャリアの情報は、以下のページから探せます。
ネットゼロ(実質ゼロ)とは
定義と「実質」の意味、残った排出を打ち消す手段を確認します。
ネットゼロ(実質ゼロ)とは、人間活動による温室効果ガスの排出量と、人間活動による吸収・除去量が、一定の期間で釣り合っている状態です。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、二酸化炭素(CO2)だけを対象にした「CO2の正味ゼロ排出」と、メタンなども含めた「温室効果ガスの正味ゼロ排出」を分けて定義しています。
日本語では「実質ゼロ」「正味ゼロ」「ネット・ゼロ」と訳され、意味は同じです。
参考:IPCC第6次評価報告書 統合報告書 用語集(英文PDF)
「実質」「ネット」が意味するもの
「ネット(net)」は「差し引きした後の」という意味で、排出をまったく出さないのではなく、出した分と取り除いた分を差し引いてゼロにします。
たとえば、ある会社が年に100の温室効果ガスを出していたとします。
設備を変えたり再生可能エネルギーに切り替えたりして、90を減らしても、どうしても10が残ります。
この残った10と同じ量を大気から取り除いて貯めておけば、差し引きゼロ、つまりネットゼロの状態です。
大切なのは、先に減らせるだけ減らし、取り除くのは最後に残った分だけ、という順番です。
吸収・除去の手段
大気からCO2を取り除く方法は、自然の力を使うものと技術を使うものに分かれます。
自然の力を使う方法
自然の力を使う方法は、植林や森林の手入れ、海草や海藻を増やすことで、植物がCO2を取り込む働きを強めるものです。
海の生態系が取り込む炭素はブルーカーボンと呼ばれます。
技術を使う方法
技術を使う方法の代表は、大気から直接CO2を集めて地中に貯めるDAC(直接空気回収)です。
工場などで出たCO2を回収して地中に閉じ込めるCCSや、燃料や化学品の原料に使い直すカーボンリサイクルは、大気中のCO2を取り除くのではなく、大気に出る前に排出を抑える技術です。
IPCCは、人間活動によって大気からCO2を取り除き長く貯めることを「二酸化炭素除去(CDR)」と呼び、自然に起きる吸収は含めていません。
ネットゼロが必要とされる理由
CO2は一度出すと長く大気にとどまり、たまった量に応じて気温が上がります。
排出を少し減らすだけではたまる量が増え続けるため、上昇を止めるには正味の排出をゼロにする必要があります。
環境省によると、世界の平均気温は2020年時点で、工業化以前(1850〜1900年)と比べて約1.1度上昇しています。
温室効果ガスが気温を上げる仕組みや、豪雨・干ばつといった気候変動の原因と影響を先に押さえると、ネットゼロの必要性がつかみやすくなります。
ネットゼロとカーボンニュートラルの違い
似た言葉の違いは「対象がCO2だけか、温室効果ガス全体か」と「どこまでの排出を数えるか」に表れます。
6つの用語の比較表
IPCC・日本・EUの定義をもとに整理しました。
| 用語 | 対象 | 意味 | 主な使われ方 |
|---|---|---|---|
| 実質ゼロ | CO2または温室効果ガス全体 | ネットゼロの日本語訳。排出量から吸収・除去量を差し引いてゼロ | 環境省の「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」など |
| ネットゼロ | CO2または温室効果ガス全体 | 人為的な排出と人為的な除去が一定期間で釣り合う状態 | IPCC、国の目標、企業の目標 |
| カーボンニュートラル | CO2(日本政府は温室効果ガス全体) | 人為的なCO2の排出と除去が釣り合う状態 | 日本の「2050年カーボンニュートラル」、企業・製品・イベント |
| 脱炭素 | 温室効果ガス全体 | 排出量と吸収量の均衡が保たれた社会(脱炭素社会) | 日本の地球温暖化対策推進法 |
| 気候中立 | 温室効果ガス全体と、その他の気候への影響 | 人間活動が気候に正味の影響を与えない状態 | EUの「2050年までの気候中立」 |
| カーボンネガティブ | CO2または温室効果ガス全体 | 除去量が排出量を上回る状態(正味マイナス) | 一部の企業の目標 |
6つの言葉はどれも「差し引きで考える」点が共通し、違いは対象の範囲と、組織単位で使うときの数え方に出ます。
参考:IPCC第6次評価報告書 統合報告書 用語集(英文PDF)、IPCC第6次評価報告書 第1作業部会 用語集(英文PDF)、IPCC 1.5度特別報告書 用語集(英文PDF)、環境省「地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況」
ネットゼロとカーボンニュートラルは何が違うのか
IPCCは、世界全体で見るとカーボンニュートラルと「CO2の正味ゼロ排出」は同じ意味で、違いが出るのは国や企業などの単位で使うときだとしています。
IPCCの説明では、ネットゼロは報告する主体が直接管理している範囲や、その国の領域内の排出と除去に使われるのが一般的です。
一方のカーボンニュートラルは、直接管理していない範囲まで含めることが多く、製品やイベントを対象に、取引先などでの間接的な排出(Scope3)を含むライフサイクル全体で評価されることもよくあります。
ただし、日本では使い分けがゆるやかです。
環境省は、日本の「カーボンニュートラル」を、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることと説明しています。
対象はCO2だけでなく温室効果ガス全体で、中身はネットゼロとほぼ同じです。
企業の資料では、言葉の違いより、何のガスをどこまで数えているかを確かめるほうが確実です。
脱炭素・気候中立・カーボンネガティブ
残りの3つも、差し引きの考え方がもとです。
脱炭素
脱炭素は、日本の法律では「脱炭素社会」として定義されています。
地球温暖化対策推進法の定義は、人の活動に伴って出る温室効果ガスの排出量と、吸収作用の保全・強化によって吸収される量との均衡が保たれた社会です。
日常では「化石燃料を使わない方向へ移ること」という広い意味でも使われます。
気候中立
気候中立は、人間活動が気候に正味の影響を与えない状態で、温室効果ガス以外の影響まで視野に入れる言葉です。
EUは2021年7月29日に発効した欧州気候法で、2050年までの気候中立、つまり温室効果ガスの正味ゼロ排出を法的な目標にし、2030年に1990年比で少なくとも55%減らすことも定めました。
カーボンネガティブ
カーボンネガティブは、取り除く量が出す量を上回り、差し引きがマイナスになる状態で、IPCCは「正味マイナスの排出」と呼んでいます。
企業では、米マイクロソフトが2020年に、2030年までのカーボンネガティブを目標に掲げました。
参考:e-Gov法令検索「地球温暖化対策の推進に関する法律」、欧州委員会「European Climate Law」
なぜ「2050年」なのか
多くの国や企業が2050年を目標にしているのは、パリ協定と、IPCCが示した科学的な道筋があるためです。
パリ協定の「均衡」
2015年に採択されたパリ協定の第4条は、今世紀後半に、人間活動による温室効果ガスの排出量と、吸収源による除去量との均衡を達成することを目指すとしています。
条文に「ネットゼロ」という言葉はありませんが、この「均衡」がネットゼロの考え方の土台です。
各国が目標を出し合う仕組みなど、パリ協定の目標と日本の現状もあわせて確認できます。
IPCCが示した「2050年ごろ」
2018年のIPCC 1.5度特別報告書は、気温上昇を1.5度に抑える道筋では、世界のCO2排出量を2030年までに2010年比で約45%減らし、2050年ごろ(2045〜2055年)に正味ゼロにする必要があると示しました。
2度に抑える道筋では、2030年までに約25%減らし、2070年ごろに正味ゼロになります。
2023年の第6次評価報告書の統合報告書も、1.5度に抑える道筋ではCO2の正味ゼロが2050年代前半、温室効果ガス全体の正味ゼロは2070年代ごろになると整理しています。
参考:IPCC 1.5度特別報告書 政策決定者向け要約(英文PDF)、IPCC第6次評価報告書 統合報告書 政策決定者向け要約(英文PDF)
日本の2050年カーボンニュートラル
日本政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すと宣言しました。
2021年5月26日に成立した改正地球温暖化対策推進法は、2050年までの脱炭素社会の実現を、法律の基本理念に書き込んでいます。
途中の目標として、2013年度比で2035年度に60%、2040年度に73%の削減を掲げ、環境省はこれを「2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路にある」目標と位置づけています。
参考:環境省 脱炭素ポータル「改正地球温暖化対策推進法 成立」、環境省「日本のNDC」
企業のネットゼロ目標の仕組み
企業の目標を読むには、排出の範囲を表すスコープと、目標の質を確かめる基準を知っておくと役立ちます。
Scope1・2・3とは
企業の排出量は、次の3つの範囲に分けて数えます。
- Scope1:自社が燃料を燃やしたり、工場の工程で出したりする直接の排出
- Scope2:他社から買った電気や熱・蒸気を使うことによる間接の排出
- Scope3:Scope1・2以外の間接の排出。原材料の調達や製品の輸送、お客さんが製品を使うときの排出など
3つを合わせたものをサプライチェーン排出量と呼び、Scope3はさらに15のカテゴリに分かれます。
多くの企業で最も大きいのがScope3です。
国際的な環境情報開示の団体CDPは2024年6月、企業が報告した2023年のサプライチェーン(Scope3の上流)の排出量が、平均で自社の事業からの排出(Scope1・2)の26倍だったと発表しました。
一方で、CDPに情報を開示した企業のうち、Scope3の目標を立てていたのは15%にとどまります。
原材料から販売までの流れ全体で排出がどう生まれるかは、サプライチェーンと環境問題の関わりから見えてきます。
参考:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム「サプライチェーン排出量全般」、CDPの発表(2024年6月25日、英文)
SBTiネットゼロ基準の4つの要素
企業のネットゼロ目標の質を確かめる国際的な基準に、SBTi(Science Based Targets initiative)の「企業ネットゼロ基準」があります。
2026年4月に公開された第1.3.1版は、企業のネットゼロ目標を4つの要素で組み立てています。
- 短期目標:5〜10年で、1.5度に沿って排出を減らす
- 長期目標:遅くとも2050年までに、ネットゼロに沿って排出を減らす
- 残った排出の中和:長期目標の達成後に残る排出を、大気からの除去で打ち消す
- バリューチェーンを超えた緩和:自社の取引の範囲の外での排出削減に資金などを出す
多くの企業は、長期目標で排出を少なくとも90%減らすことになります。
長期目標にはScope1・2の95%以上と、Scope3の90%以上を含める必要があり、購入したカーボンクレジットは削減量に数えられません。
長期目標を全スコープで達成し、残った排出を中和するまでは、ネットゼロを達成したと名乗れません。
なお、SBTiは2026年6月11日に第2.0版を公表しており、2028年2月1日以降の新しい申請は第2.0版に合わせることになります。
参考:SBTi「Corporate Net-Zero Standard V1.3.1」(英文PDF)、SBTi「The Corporate Net-Zero Standard」、SBTi「The Corporate Net-Zero Standard V2.0 is here」(2026年6月11日、英文)
富士通株式会社
富士通グループは、自社の事業活動の温室効果ガス排出量を2030年度に、Scope3を含むバリューチェーン全体の排出量を2040年度に、ネットゼロにする目標を掲げています。
2020年度を基準年とするバリューチェーン全体の目標は、2023年6月にSBTiからネットゼロの認定を受けました。
同社はネットゼロを、目標年度に基準年度から90%以上減らし、10%以下になった残りの排出を、DACや植林などによる吸収で除去することと定義しています。
先に大きく減らし、残りだけを除去で打ち消すという、SBTiの基準と同じ組み立てです。
事業活動で使う電力も、2030年度に100%再生可能エネルギーにすることを目指しています。
マイクロソフト
マイクロソフトは2020年1月16日、2030年までにカーボンネガティブになる目標を発表し、それまでにScope1・2・3のすべてで排出を半分以上減らすとしました。
2050年までに、1975年の創業以来、直接の排出と電力の使用で出してきたすべての炭素を環境から取り除くことも掲げています。
あわせて、削減・回収・除去の技術開発に向けた10億ドルの気候イノベーション基金も発表しました。
ネットゼロの先の「マイナス」を目標にした例です。
ネットゼロ宣言の課題とグリーンウォッシュ
目標を掲げる企業が増えた一方、宣言の中身にはばらつきがあります。
目標の数と中身の差
Net Zero Trackerによると、2025年9月時点で、ネットゼロ目標を持つForbes Global 2000の企業1,245社のうち、実行計画を示していたのは860社で、3社に1社近くは達成への道筋を示していません。
中間目標や対象範囲、進捗の報告といった最低限の条件まで満たしていたのは、冒頭で触れた90社(7%)です。
4分の1を超える企業がCO2の除去を使う予定だとしている一方、除去について独自の目標を設けていた企業は4%にとどまります。
目標をCO2に限ったり、Scope3を外したり、カーボンクレジットをどこまで使うかを明らかにしていなかったりする企業が多いことも、課題に挙げられています。
実態以上に環境に配慮しているように見せることをグリーンウォッシュと呼び、ネットゼロ宣言もその対象になりえます。
参考:Net Zero Tracker「Net Zero Stocktake 2025」(2025年9月、英文PDF)
国連専門家グループ「Integrity Matters」の提言
国連のグテーレス事務総長は2022年3月31日、企業や自治体などのネットゼロ宣言の基準を明確にするため、専門家グループを設置しました。
グループは2022年11月、エジプトで開かれたCOP27で報告書「Integrity Matters」を公表し、10の提言を示しました。
主なポイントは次の6つです。
- 宣言は、組織全体を対象に、経営陣が公に行う
- 5年ごとの中間目標を設け、世界の排出量が2020年比で2030年までに少なくとも50%減る道筋に沿わせる
- 企業の目標には、Scope1・2・3のすべてを含める
- カーボンクレジットは、自社の削減の代わりにはならず、中間目標の削減量には数えない
- 化石燃料の新たな供給を支えない
- 毎年、進捗を公に報告し、第三者の検証を受ける
誤った主張やあいまいさ、グリーンウォッシュによってネットゼロが損なわれるのを防ぐことが、報告書のねらいです。
参考:国連専門家グループ報告書「Integrity Matters」(2022年11月、英文PDF)
就活で使える「ネットゼロ宣言」の読み方
企業研究でネットゼロの目標を見かけたら、次の6つを確かめると、宣言の中身が見えてきます。
| チェック項目 | 確かめること | どこを見るか |
|---|---|---|
| 対象範囲 | Scope3まで含むか、Scope1・2だけか | 統合報告書、サステナビリティのページ |
| 対象のガス | CO2だけか、温室効果ガス全体か | 目標の注記 |
| 中間目標 | 2030年ごろの数値目標と基準年があるか | 目標の一覧表 |
| クレジットの扱い | 削減とカーボンクレジットを分けて書いているか、除去をどこまで使うか | 目標の定義、注記 |
| 第三者の認定 | SBTiの認定を受けているか | 企業の発表、SBTiのサイト |
| 進捗の報告 | 毎年の排出量を、基準年と比べて公開しているか | 統合報告書、データ集 |
6つすべてがそろっていなくても、その企業がだめだということにはなりません。
Scope3の算定は取引先の協力が欠かせず、時間がかかります。
見るべきは、どこまでできていて何が今後の課題なのかを、企業自身が正直に書いているかどうかです。
気になった項目は、説明会や面接で「Scope3の削減は、どの部署がどう進めていますか」と聞いてみてください。
答え方から、脱炭素が経営の中でどれくらい重く扱われているかが見えてきます。
ネットゼロに関わる仕事
職場でのネットゼロは、排出量を数える、目標をつくる、投資家に説明するといった仕事になります。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年の世界のエネルギー分野の雇用は7,600万人で、伸び率は2.2%と、経済全体の1.3%のほぼ2倍でした。
IEAの調査に答えたエネルギー企業や労働組合、教育機関など700以上の組織のうち、半数を超える組織が、採用に深刻な行き詰まりがあると答えています。
環境分野の業界や職種の全体像は、環境問題に携わる仕事と業界の選び方で見渡せます。
参考:IEA「World Energy Employment 2025」
排出量の算定・見える化
排出量の算定・見える化は、企業のScope1・2・3を集計し、削減計画につなげる仕事です。
クラウドで排出量を見える化するアスエネやbooost technologiesのように、この領域を専門にする会社もあり、気候変動に取り組む企業として紹介しています。
脱炭素コンサルティング・開示支援
脱炭素コンサルティング・開示支援は、企業の目標づくりやSBTiの認定申請、投資家向けの情報開示を支える仕事です。
基準文書を読み解き、関係者にわかりやすく説明する力が活きるため、文系でも入りやすく、サステナビリティコンサルタントが代表的な職種です。
金融・ESG投資
金融・ESG投資は、企業や不動産の脱炭素の取り組みを評価し、お金の流れで後押しする仕事です。
COCOCOLOR EARTHの2021年12月のインタビューでは、CSRデザイン環境投資顧問の宮澤大喜さんが、不動産会社やファンド向けのサステナビリティ評価「GRESB」の評価向上を支援する仕事を語っています。
≫環境問題やESGを軸にしたキャリアの歩み~CSRデザイン環境投資顧問株式会社 宮澤 大喜~
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、発電所をつくり、脱炭素の電気を届ける仕事です。
2020年12月のインタビューで、juwi自然電力の北俊宏さんは、太陽光発電所建設のプロジェクトマネージャーとして、予算の管理や電力会社との交渉、近隣住民への説明まで担っていると話しています。
≫仕事もプライベートも環境問題の解決に注ぐ#1~juwi自然電力 北俊宏さん~
行政・NGO・研究
行政・NGO・研究は、国や自治体の目標づくりや、企業の宣言の点検、政策への提言に関わる仕事で、「Integrity Matters」のような基準づくりもここに含まれます。
よくある質問
ネットゼロを調べるときに出てくる疑問を、4つ取り上げました。
Q. ネットゼロ(実質ゼロ)とは何ですか?
A. ネットゼロ(実質ゼロ)とは、人間活動による温室効果ガスの排出量と、植林や大気からのCO2回収といった人間活動による吸収・除去量が、一定の期間で釣り合っている状態です。排出をまったく出さないことではなく、できる限り減らしたうえで、どうしても残る分を大気から取り除き、差し引きでゼロにします。IPCCは、CO2だけを対象にする場合と、メタンなどを含む温室効果ガス全体を対象にする場合を分けて定義しています。
Q. ネットゼロとカーボンニュートラルの違いは何ですか?
A. IPCCによると、世界全体で見れば、カーボンニュートラルとCO2のネットゼロは同じ意味です。国や企業の単位では、ネットゼロは自社が直接管理する範囲の排出と除去に使われることが多く、カーボンニュートラルは取引先での排出など、直接管理していない範囲まで含めることが多いとされます。一方で、日本政府が掲げる「カーボンニュートラル」は温室効果ガス全体を対象にしており、ネットゼロとほぼ同じ意味で使われています。
Q. 企業のネットゼロ宣言が本物かどうかは、どう見分ければよいですか?
A. 次の6点を確かめると、宣言の中身が見えてきます。取引先での排出(Scope3)まで対象か、CO2だけか温室効果ガス全体か、2030年ごろの中間目標と基準年があるか、削減とカーボンクレジットを分けて書いているか、SBTiなど第三者の認定を受けているか、毎年の排出量を公開しているか、の6つです。国連の専門家グループも2022年の報告書で、クレジットを中間目標の削減に数えないことや、毎年の報告を求めています。
Q. 文系でもネットゼロに関わる仕事はできますか?
A. できます。企業のサステナビリティ部門での目標づくりや情報開示、脱炭素コンサルティング、ESG投資を行う金融機関、自治体の脱炭素の計画づくりなどは、文系の学びを活かしやすい分野です。これらの仕事では、国際的な基準や報告書を読み解く力、社内外の関係者に説明して調整する力が求められます。排出量の算定の考え方も、環境省のガイドラインなど公開された資料で学べます。まずは志望企業の統合報告書で、排出量と目標のページを読んでみることが第一歩になります。
まとめ
要点を振り返ります。
ネットゼロ(実質ゼロ)とは、温室効果ガスの排出量と、大気からの吸収・除去量を差し引きでゼロにする考え方です。
カーボンニュートラルなど似た言葉も同じ「差し引き」の考え方で、違いは対象のガスと数える範囲にあります。
企業研究でネットゼロの目標を見かけたら、Scope3を含むか、中間目標はあるか、クレジットをどう扱っているかを、統合報告書で確かめてみてください。
脱炭素に取り組む企業は、ココキャリアで環境分野の企業の事業内容を読み、気になった会社の目標を公式サイトで確かめる方法で探せます。
言葉の定義を一つずつ確かめる習慣は、あなたが納得して働ける場所を選ぶための物差しになります。
関連記事
【企業様向け】脱炭素・ネットゼロへの取り組みをPRしませんか?

この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
